今回は重く、厳しいネタです。
私のこのブログでも何度か紹介した「拒否できない日本」の著者、
関岡英之氏。
文藝春秋の最新号に「奪われる日本」というタイトルで
14ページの論文を寄稿しております。
早速、私もナナメ読みしました。
骨子はざっと次のようなものです。
----------------------------------------------------------------
・郵政民営化によって簡保120兆円市場をこじあけた米国の次なる
目標は世界一を誇る日本の医療と健保制度だ。
我々の「健康と安心」が外資の手に落ちる。
・次なる主戦場は健康保険となる。郵政民営化(簡保民営化)の後、
米国の手垢にまみれていない「官営保険」が健康保険。
これを狙う第一歩が「混合診療」。
高額かつ利幅の取れる「自由診療部分の医療費のための保険」を
民営保険会社に開放しろ!としている。
・しかし結果として、カネのある人は医療を受けられて長生きできるが、
その逆のまた真なり。本当にこれでいいのか?
------------------------------------------------------------------
これに相前後する形で日米両政府による
「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ・4年目の報告書」が
11月2日に公表されております。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/keizai/pdfs/4_houkoku_j.pdf
内容は、「日本政府は米国のためにこんなに頑張りましたor頑張ります!!」
といったものでして、まさに“拒否できない日本”の動かぬ証拠と
なっているわけです。
また先日の総選挙大勝を受けて規制改革は加速していくわけですが、
その多くは米国政府が要望しているものであり、(繰り返しになりますが)、
それが「健康保険」「医療機器・医薬品」に象徴される、
生命にかかわるものに及ぼうとしているわけです。
民意が選択したわけですから、やむを得ない面があります。
今話題の「下流社会」に落ちるのは良しとしても、
低所得ゆえに医療を受けられなくなる、という米国で当たり前の
厳しい現実が徐々に迫っているんです。
しゃれになりませんね。
あとは、非常に情けない話ですが、
世の中が米国の要望通りに進んでいくことを前提としつつ、
現在自分が関わっているビジネス・所属する会社・生活にどう影響が
出てくるかを考え、準備をすることが重要ではないかと思います。
(抽象的ですけど)
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◆「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ・4年目の報告書」の概要◆
日本側措置
I.電気通信
(1)固定電話通話量の減少が続く中、コスト算定モデルの見直しやNTSコストの除外によって接続料の上昇抑制が図られた。
(2)携帯電話用周波数の新たな開放に向けて透明な手続による作業が進展している。
(3)(日米共通事項)電気通信機器の相互承認協定(MRA)早期締結に向けて交渉を進め、また日本で試験された情報技術機器の受入れ実現に向け作業する意思を確認。
II.情報技術(IT)
(1)個人情報保護、セキュリティ、裁判外紛争解決制度(ADR)整備により電子商取引の環境整備が進展。迷惑メール対策における米国との協力を確認。
(2)知的財産推進計画により知財保護政策を推進。
(3)新しい調達制度の活用等による省庁横断的なIT調達改革が進展。
III.エネルギー
電力・ガス市場の自由化に係る電気事業法とガス事業法の改正を受け、電力・ガス市場における部分自由化範囲拡大に係る詳細な制度設計についての議論が着実に進展。尚、ガス分野に引き続き、電力分野においては、この詳細制度設計に基づき、4月より新たな制度の運用を開始したところ。
IV.医療機器・医薬品
(1)効率的で質の高い医療を確保するべく、透明性を確保しつつ医療機器・医薬品価格算定制度の見直しを継続。医薬品等の価格算定について、引き続き画期的な医薬品等の適切な評価及び透明性の確保に努める。
(2)医薬品医療機器総合機構(PMDA)が引き続き薬事承認プロセス迅速化のための努力を継続。
V.金融サービス
(1)「金融改革プログラム」(昨年12月発表)に基づき、高度な「金融サービス立国」に向けて金融改革を実施。
(2)ノーアクションレター制度の更なる活用に向けた措置を継続。
VI.競争政策
(1)課徴金算定率の引上げや公取委の法執行力強化を含む改正独占禁止法が4月に国会で成立。
(2)橋梁談合事件を受けて再発防止のための検討を実施。地方自治体での談合対策措置を引き続き実施。
(3)規制緩和が進んでいる分野や民営化の過程において、公取委と関係省庁が連携して競争促進を実現。
VII.透明性及び政府慣行
(1)パブリック・コメント手続について、改正行政手続法においてこれを法制化し、最低30日間の意見募集期間を原則義務づける等の制度改正を実施。
(2)構造改革特別区域(特区)を引き続き日本経済再活性化の重要な要素と位置づけ、特区認定や全国化を透明な形で行うとともに、内外無差別の原則を維持。
(3)いわゆる「無認可共済」に対する新しい規制の導入や、保険契約者保護機構(PPC)制度の見直しを含む改正保険業法が成立。
(4)現在、日本郵政公社は簡保新商品を導入する計画を有していない。現行郵政事業に係る透明性を引き続き確保。
VIII.民営化
郵政民営化関連法が10月に国会で成立。民営化後の各会社は、原則として、他の民間事業者と同様の規制のもとで業務を行うことなどを同法に規定。また、郵政民営化の過程における透明性の確保に配慮。
IX.司法制度改革
(1)4月に改正外弁法施行。
(2)裁判外紛争解決制度(ADR)の利用の促進を図るための法律が成立。同法はADRサービス提供者が自主的にADR手続を定めることを許容するなど国際的な基準や慣行に配慮。
X.商法
(1)合併等対価の柔軟化を含む会社法が6月に国会で成立した。
(2)年金基金や投資信託において、議決権の代理行使等に関する改善措置が進展。
XI.流通
成田国際空港株式会社と国際航空運送協会(IATA)との協議が合意に至り、10月から着陸料の引き下げを実施。
私のこのブログでも何度か紹介した「拒否できない日本」の著者、
関岡英之氏。
文藝春秋の最新号に「奪われる日本」というタイトルで
14ページの論文を寄稿しております。
早速、私もナナメ読みしました。
骨子はざっと次のようなものです。
----------------------------------------------------------------
・郵政民営化によって簡保120兆円市場をこじあけた米国の次なる
目標は世界一を誇る日本の医療と健保制度だ。
我々の「健康と安心」が外資の手に落ちる。
・次なる主戦場は健康保険となる。郵政民営化(簡保民営化)の後、
米国の手垢にまみれていない「官営保険」が健康保険。
これを狙う第一歩が「混合診療」。
高額かつ利幅の取れる「自由診療部分の医療費のための保険」を
民営保険会社に開放しろ!としている。
・しかし結果として、カネのある人は医療を受けられて長生きできるが、
その逆のまた真なり。本当にこれでいいのか?
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これに相前後する形で日米両政府による
「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ・4年目の報告書」が
11月2日に公表されております。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/keizai/pdfs/4_houkoku_j.pdf
内容は、「日本政府は米国のためにこんなに頑張りましたor頑張ります!!」
といったものでして、まさに“拒否できない日本”の動かぬ証拠と
なっているわけです。
また先日の総選挙大勝を受けて規制改革は加速していくわけですが、
その多くは米国政府が要望しているものであり、(繰り返しになりますが)、
それが「健康保険」「医療機器・医薬品」に象徴される、
生命にかかわるものに及ぼうとしているわけです。
民意が選択したわけですから、やむを得ない面があります。
今話題の「下流社会」に落ちるのは良しとしても、
低所得ゆえに医療を受けられなくなる、という米国で当たり前の
厳しい現実が徐々に迫っているんです。
しゃれになりませんね。
あとは、非常に情けない話ですが、
世の中が米国の要望通りに進んでいくことを前提としつつ、
現在自分が関わっているビジネス・所属する会社・生活にどう影響が
出てくるかを考え、準備をすることが重要ではないかと思います。
(抽象的ですけど)
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◆「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ・4年目の報告書」の概要◆
日本側措置
I.電気通信
(1)固定電話通話量の減少が続く中、コスト算定モデルの見直しやNTSコストの除外によって接続料の上昇抑制が図られた。
(2)携帯電話用周波数の新たな開放に向けて透明な手続による作業が進展している。
(3)(日米共通事項)電気通信機器の相互承認協定(MRA)早期締結に向けて交渉を進め、また日本で試験された情報技術機器の受入れ実現に向け作業する意思を確認。
II.情報技術(IT)
(1)個人情報保護、セキュリティ、裁判外紛争解決制度(ADR)整備により電子商取引の環境整備が進展。迷惑メール対策における米国との協力を確認。
(2)知的財産推進計画により知財保護政策を推進。
(3)新しい調達制度の活用等による省庁横断的なIT調達改革が進展。
III.エネルギー
電力・ガス市場の自由化に係る電気事業法とガス事業法の改正を受け、電力・ガス市場における部分自由化範囲拡大に係る詳細な制度設計についての議論が着実に進展。尚、ガス分野に引き続き、電力分野においては、この詳細制度設計に基づき、4月より新たな制度の運用を開始したところ。
IV.医療機器・医薬品
(1)効率的で質の高い医療を確保するべく、透明性を確保しつつ医療機器・医薬品価格算定制度の見直しを継続。医薬品等の価格算定について、引き続き画期的な医薬品等の適切な評価及び透明性の確保に努める。
(2)医薬品医療機器総合機構(PMDA)が引き続き薬事承認プロセス迅速化のための努力を継続。
V.金融サービス
(1)「金融改革プログラム」(昨年12月発表)に基づき、高度な「金融サービス立国」に向けて金融改革を実施。
(2)ノーアクションレター制度の更なる活用に向けた措置を継続。
VI.競争政策
(1)課徴金算定率の引上げや公取委の法執行力強化を含む改正独占禁止法が4月に国会で成立。
(2)橋梁談合事件を受けて再発防止のための検討を実施。地方自治体での談合対策措置を引き続き実施。
(3)規制緩和が進んでいる分野や民営化の過程において、公取委と関係省庁が連携して競争促進を実現。
VII.透明性及び政府慣行
(1)パブリック・コメント手続について、改正行政手続法においてこれを法制化し、最低30日間の意見募集期間を原則義務づける等の制度改正を実施。
(2)構造改革特別区域(特区)を引き続き日本経済再活性化の重要な要素と位置づけ、特区認定や全国化を透明な形で行うとともに、内外無差別の原則を維持。
(3)いわゆる「無認可共済」に対する新しい規制の導入や、保険契約者保護機構(PPC)制度の見直しを含む改正保険業法が成立。
(4)現在、日本郵政公社は簡保新商品を導入する計画を有していない。現行郵政事業に係る透明性を引き続き確保。
VIII.民営化
郵政民営化関連法が10月に国会で成立。民営化後の各会社は、原則として、他の民間事業者と同様の規制のもとで業務を行うことなどを同法に規定。また、郵政民営化の過程における透明性の確保に配慮。
IX.司法制度改革
(1)4月に改正外弁法施行。
(2)裁判外紛争解決制度(ADR)の利用の促進を図るための法律が成立。同法はADRサービス提供者が自主的にADR手続を定めることを許容するなど国際的な基準や慣行に配慮。
X.商法
(1)合併等対価の柔軟化を含む会社法が6月に国会で成立した。
(2)年金基金や投資信託において、議決権の代理行使等に関する改善措置が進展。
XI.流通
成田国際空港株式会社と国際航空運送協会(IATA)との協議が合意に至り、10月から着陸料の引き下げを実施。
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