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560億円の衝撃  -カード業界にもディープインパクト!?-

2006-10-20 | 会計・株式・財務

毎度馬鹿馬鹿しいタイトルで恐縮です。


本日、三菱東京フィナンシャルグループからIRメールが来まして、
開けてみますと連結子会社のカード会社・UFJニコスが業績下方修正を発表したとのこと。

リリースはこちら。
http://www.mufg.jp/data/current/pressrelease-20061020-001.pdf

ご覧の通り、かなり派手な修正ぶりです。

ご存知の通り、カード会社の収益もかなりの部分、消費者金融に依存しております。
で、例の「上限金利引下げ問題」の議論の進展を受けて、
その影響も織り込み始めております。

そんな中、私は当社の次のリリース文に注目しました。
P.4の「4.修正理由」の7行目

 また、本年9月に自民党より「貸金業の抜本改正の骨子」が提示されたことに伴い、
その改正の方向性を踏まえた影響を織り込んだ結果、
繰延税金資産560億円を取り崩しました


 ・・・・・エッ、560億円?


ご存知の通り、繰延税金資産は、「将来節約できる税金」。
一定の要件を満たせば、概ね5年分の節約額を計上できます。

 で、今回、560億円の繰延税金を取り崩すということは、
誤解を恐れずざっくり言いますと今後、年280億円※の課税所得が減少する、
という風に読み取ることができるのです


(※検証:年280億円×税率40%×5年=560億円)

当社の修正後の連結経常利益は470億円。
今回の修正幅の中に一過性の要因のものもあるでしょうから何とも言えませんが、
可能性の問題として、当社が想定している連結経常利益の下限を
470-280=190億円程度まで想定している、という推論も成り立つのではないでしょうか。

詳細は、今後のIRなどで明らかになるのでしょうが、
当社が表明した繰延税金の取崩額は今後の厳しい収益環境を見事なまでに暗示しております。
同業他社への波及・影響もこれまで以上に気になるところです。

楽天とか、ダイエーといった話題の会社もカード事業やってますしね。

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<参考:日経記事>

UFJニコス、最終赤字300億円・過払いで引当金

 UFJニコスは20日、2007年3月期の連結最終損益が300億円の赤字(前期は196億円の黒字)
になるとの見通しを発表した。06年9月中間期に利息制限法の上限金利を超える金利(過払い金)
返還に備えて引当金などを積み増したため。
日本公認会計士協会が引当金計上で厳格な監査指針を示したことに対応した。
中間期に3円を予定していた配当はゼロとする。

 従来の予想は570億円の黒字だった。貸金業界では過払い金の返還請求が増加、
返還に伴う債権放棄で貸倒関連費用も増えている。
同社ではキャッシングなどで上限金利を超えて貸し付けており、
過払い金返還が今夏以降目立って増え、中間期で約21億円に上ったという。

 協会の指針を受け、中間期で返還に備えた引当金を特別損失として約140億円積み増した。
引当金の見積もり方法を厳格にしたこともあり、営業費用の貸倒関連費用も約170億円膨らんだ。
さらに貸金業規制法改正後には収益環境が厳しくなるとみて、
繰り延べ税金資産を約560億円取り崩した。  


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