久々に短信ツッコミネタ。定期的にフォローしておりますUSENについて。
19日、決算が発表されました。
因みに私はこれまで、3度、ネタにしております。
3月15日 「ライブドア支援候補・USENに思う」
http://blog.goo.ne.jp/dancing-ufo/e/fade3317f25ed76d1eab044c2377c17a
4月20日 「USENの業績下方修正に思う」
http://blog.goo.ne.jp/dancing-ufo/e/ee03de7a58b01f53d3d6bad4781769b6
4月23日 「4842 USEN中間決算に思う」
http://blog.goo.ne.jp/dancing-ufo/e/214eaca00157dae100ff8b9277eee377
で、今回は本決算。まずは日経記事より。
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USEN、前期最終赤字88億円に
有線放送大手のUSENが19日発表した2006年8月期連結決算は、
最終損益が88億円の赤字(前の期は277億円の赤字)だった。
従来予想は10億円の黒字だったが、子会社株式の減損処理による45億円や
有線放送事業で将来的に発生が予想される電線撤去費用の引当金58億円を
新たに特損計上した。年間配当は前の期比変わらずの10円を維持する。
売上高は前の期比18%増の1820億円。
有線放送とカラオケの既存事業はほぼ横ばいだったが、
5月に買収した自動精算機販売のアルメックスやブロードバンド(高速大容量)通信事業の
伸びなどが寄与した。
営業利益は63%減の35億円。映画配給子会社の映像使用権の評価損20億円が
新たに発生、従来予想を15億円弱下回った。
経常損益は36億円の赤字(前の期は62億円の黒字)だった。
金融機関に支払うシンジケートローン組成手数料の一括償却や
棚卸資産の減損処理などで、10億円の黒字としていた従来予想から一転、赤字となった。
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(コメント)
・決算短信などの資料はここからどうぞ。
(業績下方修正プレスリリース)
http://www.usen.com/admin/corp/news/pdf/2006/061019.pdf
(連結短信)
http://www.usen.com/admin/corp/news/pdf/2006/061019_2.pdf
(単体短信)
http://www.usen.com/admin/corp/news/pdf/2006/061019_1.pdf
以下、とりとめのないことを思いつくまま。
① これだけの大幅な業績下方修正を決算発表まで引っ張るべきではない。
さすがに無いだろうが、インサイダー取引の温床になりかねない
(事実、4月の業績下方修正発表時にはその直前から株価急落してましたけど)。
今回は大丈夫だったのでしょうか。
② 利益剰余金がマイナスなので資本剰余金から配当を実施。
前に言及したことがありますが、本来、資本剰余金の配当はエクイティファイナンスで
膨らんだ資本剰余金を株主に払い戻すことで、資本効率の向上を図るもの。
それが赤字会社の配当維持・復配策になっている現状は当初の狙いからズレています。
これだけ業績が下ブレおりますし、下記④も踏まえますと、無配にすべきでしょう。
株主さんの冷静な判断に期待します。
③ 05年8月期と比べ、連結特別損失がどう変化したのか見てみましょうか。
といいますのも、05年8月期の連結特別損失には、本来、販管費か営業外費用に
計上すべき費目が4項目▲66億円も計上されていました。
で、これが「上」の方で処理されていれば、当時の連結経常利益は63億円ではなく、
▲3億円だった可能性があったワケでして・・・・・。
・棚卸資産評価損 ▲23億円
・退職給付会計基準変更時差異償却 ▲14億円
・貸倒損失+貸倒引当金繰入額 ▲27億円
・連結調整勘定償却 ▲ 2億円
では06年8月期はどうか?
・棚卸資産評価損 ▲1億円
・退職給付会計関係 ▲6億円
・貸倒損失+貸倒引当金繰入額 ▲5億円
・連結調整勘定償却 -
ということでグッと減少。っていいましょうか、経常損益の段階ですでに▲36億円の損失に
なっていたので、意味のない検証だったかも知れません。
④財務面はどうか?これが私にとって最大の注目点でした。
旧商法ベースで見た連結自己資本=新会社法の純資産-少数株主持分、としますと、
H18/8末で506億円。300億円の増資が効きました。
でも、連結調整勘定(のれん)残高はいくらあると思います?
なんと780億円。この1年で約560億円も増加しております。
膨らませすぎです。
のれんの資産性を厳格に見る人ですと、この会社の実質的な自己資本を、
既述の連結自己資本506億円-780億円=▲224億円と計算してしまう可能性は
否定できません。(北斗の拳ではないですが「おまえは既に・・・・・」とならないことを祈ります。)
そうでなくても、のれんの償却負担は確実に高まります。
現に、当社では償却年数を従来の「主に10年」から「5年から20年」へとコソッと変更
していましたので、H18/8期の償却額(純額31億円)も本当はもっと高かったかも知れません。
となると、損失ももっと広がっていた可能性も・・・・。
で、今期は大幅黒字化を計画しておりますが、手元の情報は乏しく、計算の前提が分かりません。
決算説明会資料などを見て、できるのであれば追加コメントしたいと思います。