本日は実務書1割引で有名な水道橋の丸沼書店で
前から気になっていたこの本をゲット。
さっそく電車の中でフォトリーディング。スポーツジムでジョーバに乗りながら「活性化」しましてだいたい把握したつもりになりました。ていうか結局、熟読しちゃいました。
で、この本は、企業=経営者が感じているであろう機関投資家への素朴な数々の疑問に応える形で、機関投資家の考え方を伝えようとする初の試み。
いわば株式投資家によるまさにインベスターズリレーション。
Q&A形式で書かれていましてたとえば
「株主が誰であれ経営が分かるはずがないのに、多額増配の株主提案などする妥当性はあるのですか?総会屋の手口と同じではないですか」
と一瞬ギクっとする内容も入っておりまして、場数を余り踏んでいない機関投資家(アナリスト、ファンドマネジャー)向けの想定問答集としてもなかなか好適ではないかと思われます。
その中で私が「へえー」って思ったのがp.185
「意外に思われるかも知れませんが、日本の株主の力は潜在的に強いのです」というくだり。
これはどういうことかといいますと、要は米国との比較の中での話。
たとえば、・・・・
① 米国では剰余金配当は取締役会決議の対象で、日本のように株主総会決議の対象ではない。昨年、日本で見られた増配提案は米国の株主総会はなされない。
② 日本では株主が定款変更を総会に提案できますが、米国では定款は基本定款と付随定款の2重構造になっておりこのうち基本定款については変更提案ができない。
③ 取締役の選任についても日本の株主は大きな権限が与えられている。
米国は「相対多数基準」を採っており得票の多かった候補者から順に取締役に選任。
日本は「絶対多数基準」を採っており候補者一人一人が過半の賛成票を得ることが求められている。
④ また株主提案についても米国ではその大多数が取締役会を拘束しないが、日本では社会的問題を提起する株主提案の多くが定款変更の形を取っているため、可決されれば取締役会はこれに拘束される。
こんな具合に日本の株主は力を持っているんだけど、株主が気づいていなかったり、株式の相互保有(持ち合い)などで安定株主が存在していることなどから、日本では株主権限が空洞化している状態にあるとのこと。・・・・・・・なるほどねぇ。
でもどうでしょうか、会計制度改革の視点から見ると、株式持ち合い解消圧力が働くかも知れません。
いわゆる「包括利益」の概念が入ってきて、これまで決算の辻褄合わせにも使われてきた持合い株式の売却益がP/Lで計上できなくなるとか、そんな議論があったことを記憶しております。
ついでに言えば、この本でも問題視している「親子上場問題」。
これも今後の会計制度改革の視点から見ると、これも早晩見直しする先が出てくるかもしれません。
すでにご案内の通り、欧米の新しい連結会計では少数株主持分も株主資本にカウントされる。となると、これまで日本企業の多くが計上してきた子会社が上場に伴う持分変動益の計上とか(マニアックですかね)、子会社株式売却益が計上できなくなり、これも決算の辻褄が合わせにくくなるってこと。
以上、話が流れに流れましたが、要は今後の会計基準変更の動きが、日本企業のガバナンスにも何らかの影響を与えるんではないか?そして株式持合いや子会社上場といった欧米から不評の財務政策も徐々に是正されていくのではないか?と思った次第です。
またいきます。
前から気になっていたこの本をゲット。
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さっそく電車の中でフォトリーディング。スポーツジムでジョーバに乗りながら「活性化」しましてだいたい把握したつもりになりました。ていうか結局、熟読しちゃいました。
で、この本は、企業=経営者が感じているであろう機関投資家への素朴な数々の疑問に応える形で、機関投資家の考え方を伝えようとする初の試み。
いわば株式投資家によるまさにインベスターズリレーション。
Q&A形式で書かれていましてたとえば
「株主が誰であれ経営が分かるはずがないのに、多額増配の株主提案などする妥当性はあるのですか?総会屋の手口と同じではないですか」
と一瞬ギクっとする内容も入っておりまして、場数を余り踏んでいない機関投資家(アナリスト、ファンドマネジャー)向けの想定問答集としてもなかなか好適ではないかと思われます。
その中で私が「へえー」って思ったのがp.185
「意外に思われるかも知れませんが、日本の株主の力は潜在的に強いのです」というくだり。
これはどういうことかといいますと、要は米国との比較の中での話。
たとえば、・・・・
① 米国では剰余金配当は取締役会決議の対象で、日本のように株主総会決議の対象ではない。昨年、日本で見られた増配提案は米国の株主総会はなされない。
② 日本では株主が定款変更を総会に提案できますが、米国では定款は基本定款と付随定款の2重構造になっておりこのうち基本定款については変更提案ができない。
③ 取締役の選任についても日本の株主は大きな権限が与えられている。
米国は「相対多数基準」を採っており得票の多かった候補者から順に取締役に選任。
日本は「絶対多数基準」を採っており候補者一人一人が過半の賛成票を得ることが求められている。
④ また株主提案についても米国ではその大多数が取締役会を拘束しないが、日本では社会的問題を提起する株主提案の多くが定款変更の形を取っているため、可決されれば取締役会はこれに拘束される。
こんな具合に日本の株主は力を持っているんだけど、株主が気づいていなかったり、株式の相互保有(持ち合い)などで安定株主が存在していることなどから、日本では株主権限が空洞化している状態にあるとのこと。・・・・・・・なるほどねぇ。
でもどうでしょうか、会計制度改革の視点から見ると、株式持ち合い解消圧力が働くかも知れません。
いわゆる「包括利益」の概念が入ってきて、これまで決算の辻褄合わせにも使われてきた持合い株式の売却益がP/Lで計上できなくなるとか、そんな議論があったことを記憶しております。
ついでに言えば、この本でも問題視している「親子上場問題」。
これも今後の会計制度改革の視点から見ると、これも早晩見直しする先が出てくるかもしれません。
すでにご案内の通り、欧米の新しい連結会計では少数株主持分も株主資本にカウントされる。となると、これまで日本企業の多くが計上してきた子会社が上場に伴う持分変動益の計上とか(マニアックですかね)、子会社株式売却益が計上できなくなり、これも決算の辻褄が合わせにくくなるってこと。
以上、話が流れに流れましたが、要は今後の会計基準変更の動きが、日本企業のガバナンスにも何らかの影響を与えるんではないか?そして株式持合いや子会社上場といった欧米から不評の財務政策も徐々に是正されていくのではないか?と思った次第です。
またいきます。
時々、拝見しています。勉強になりました。
貴兄のコメントに、小生もハッとしました。
今月は、株主総会たけなわですが、個人株主も投資対象
会社の事業報告書や計算報告書に良く目を通し、議決権
を行使すれば、数は少なくともΣで、大きな力になりますね。
Serendipity(目利き)に磨きをかけたいと思います。
横浜ザルさま
コメントありがとうございました。
なんらかのお役に立てれば幸甚です。
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