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「最後の資本主義」に思う

2017-02-14 | 会計・株式・財務
いつもご覧下さり誠に有り難うございます。

さて、注目の日米首脳会談は表向きは無事終了。
でも、周辺では色々な情報が錯綜しておりますが、私は東洋経済オンラインのこの記事に注目。(以下一部抜粋)

2月11日 日米首脳会談で安倍首相は「罠」にハマった
今回の日米首脳会談前には、米国で4500億ドル(約51兆円)規模の市場と70万人の雇用創出を目指す超巨大プロジェクトを矢継ぎ早にとりまとめた。51兆円と言えば、日本のGDPのほぼ10分の1、日本の防衛費の約10倍にあたる相当な額だ。この投資の原資の一部としては、私たち日本人の老後の蓄えとなる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の積立金をあてる案も検討されている。

ご、51兆円も貢ぐんですかぁ?そりゃぁトランプ氏は機嫌が悪いわけがない。
他の筋も同様なことを伝えておりまして、週明けから冴えない気分になっっております。


で、そのトランプを生んだアメリカ社会。
最近出版されたこの本では、社会構造に仕掛けられた目に見えない格差増幅装置を明快に炙りだしております。

最後の資本主義
ロバート・B・ライシュ
東洋経済新報社


(第16章を中心に一部要約)
著者は、政府が富める者から貧しい者へ再分配しても格差問題を解決できないと訴える。そもそも「市場ルール」が圧倒的に大企業に有利だからだ。その傾向は1980年代以降、特に顕著だ。上から下への再配分はむろし全体の一部にすぎず、実際のところ、再配分のほとんどが逆の方向、すなわち消費者からや労働者や中小企業、小口投資家から、大企業や金融機関の重役、ウォール街のトレーダー、個人資産家へと向かっている。しかしこうした下から上への再分配は目に見えない。そのための主な手段が、莫大な富と政治的影響力を持つ勢力が作り上げた市場のルール(所有権、独占、契約、倒産、執行)の中に隠されているとして著者は圧倒的な説得力で例証していく。市場が巨大な格差増幅装置として働く限り、政府が事後的に是正しても効果は知れているのである。

経済が形あるモノからアイデアへと移行する中で、このように隠れたルールはさらに見えにくくなり、だからこそ、それらを操作する手段を持った勢力によって、さらに簡単に操作されてしまう。例えば、特許や著作権の保護期間は長期化し、あらゆる派生物に及ぶ。経営者は破産で合法的に年金債務から逃れ、労働組合を解体できるが、個人は住宅ローンや学費ローンの重圧から逃れられない。企業財務が非常に不透明になったため、CEOが自社株の買い戻しと同じタイミングで自分のストックオプションを行使したり、ストック・アワードで現金化することで小口株主から価値を不正に奪うことも可能になった。時に消費者保護や金融規制も、執行段階で無力化される。こうして常に大企業、株主、富裕層の立場が強化され、中小企業、消費者、貧困層の権利は弱体化してきた。市場のルールは、決して中立的ではない。
そこで著者は、新しい多数派形成で市場ルールを組み直し、逆再分配を止める。「政府による事後的再分配」から「市場ルール改革による公正経済」を目指そうと提言している。


正直、そうなって欲しいとは思う。しかし、トランプ政権のメンバーの顔ぶれも重ね合わせますと、とてもじゃないが期待できないと思いますが。
おそらくトランプ大統領は今後も派手なパフォーマンスを通じて支持者に対して「やってる感」を演出していくのであろうが、その水面下で一体何が進行していくのか。我が国が拠出するとされる51兆円の使途も含めて、注意深く見ていくとしましょうか。


またいきます。

ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。



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