DayDreamNote by星玉

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やぎのお手紙

2015年03月17日 | 創作帳
さみしがりやの、やぎがいました。

やぎは、森の奧の奧の奧に行く道をぬけたところにある、
山の奧の奧の奧の、切り立った、がけの、まんなかの、小さなあなに、すんでいました。

めったに、だれに会うこともありません。

さみしいので、遠くのお友だちや知りあいに、毎日、お手紙を書きました。

ゆうびんやさんは、めったに、ここまできません。
だから、書いたお手紙は、めったに、出せませんでした。

たまに、うんよく、お手紙を出せたとしても、おへんじは、ちっとも、きません。

おへんじを、書いてもらえないのか、お手紙が、とどいていないのか、わかりません。

あまりにおへんじがこなくてさみしすぎるので、
やぎは、自分あてに、おへんじを書くことにしました。

自分へのお手紙。
自分へのおへんじ。

さみしがりやのやぎは、毎日毎日、お手紙を書きました。

やがて、やぎのおうちは、お手紙でいっぱいになりました。

しかたないので

古いお手紙から、むしゃむしゃ食べちゃおうかな……と、思い、


ひとくち、お手紙をかじってみましたが、

なんだか、あんまりおいしくないので、食べるのは、やめにしました。


きょうも、お手紙を書きながら
さみしがりやのやぎは、
まっています。


ゆうびんやさん、こないかなあ。




(イラスト提供は「イラストAC」蘭丸さんより。ありがとうございます。)



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