【十三夜】
月明かりの海岸を歩いていると
陸に上がった魚に出会った。
魚は尾びれを砂の上に広げた紙にこすりつけていた。
絵を描いているのだという。
紙は黒一色に塗られていた。
長く憧れていた夜の水平線を描こうと、
と魚は十三夜の月に絵をかざす。
憧れも未完のままと嘆く魚に月色の粉が降る。
#78『十三夜』
月明かりの海岸を歩いていると
陸に上がった魚に出会った。
魚は尾びれを砂の上に広げた紙にこすりつけていた。
絵を描いているのだという。
紙は黒一色に塗られていた。
長く憧れていた夜の水平線を描こうと、
と魚は十三夜の月に絵をかざす。
憧れも未完のままと嘆く魚に月色の粉が降る。
#78『十三夜』