毎日
水をやり
朝晩
話しかけ
大事にしてきた
お花が
殺されそうだったのです
少なくとも、わたしには
そんなふうに、感じられました
それで
とっさに
お花の上に
身をかぶせたのです
すべての悪しきものが
お花に、触れないように
しばらく
そうしていました
もう、だいじょうぶかしらと
からだを、起こしたわたしは
ああ何てことだと
崩れ落ちました
泣きながら
自分を殴り
自分を責めました
お花は
おおいかぶさった
わたしのからだの
重みで
つぶれてしまったのです
ああ、ごめんなさいごめんなさい
つぶれたお花を前に
わたしは、長いこと
ひざを抱えて泣き暮らしました
もとにはもどらない花を
何度も何度も、なでては
何年も何年も、泣きました
そうして
涙も枯れたころ
顔をあげると
お花の種を植えている
おばあさん
お花畑に肥料をやっている
おじさん
花束をかかえ
いそいそと歩く娘さん
が、目に入りました
何年かぶりに
わたしは、口を開いて
この人たちに
きいてみよう、と思いました
わたしのお花
わたしが、つぶしてしまったお花が
なくなりました
どこに
きくと
土になったのよ
星になったんだよ
あなたの心になったのよ
そんなこたえが、かえってきました
それから
おばあさんから
種を分けていただきました
おじさんに
満開の花を見せていただきました
娘さんに
花束の香りをかがせていただきました
やさしき人たち
わたしの、いなくなったお花は
いないままで
かなしみが
消えることは、ないけれど
そして
やさしき人たちのこたえが
正しいかは
確かめられないけれど
やさしき人たちの
花は、咲きます
(写真提供は「写真AC」acworksさんより。ありがとうございます。)
水をやり
朝晩
話しかけ
大事にしてきた
お花が
殺されそうだったのです
少なくとも、わたしには
そんなふうに、感じられました
それで
とっさに
お花の上に
身をかぶせたのです
すべての悪しきものが
お花に、触れないように
しばらく
そうしていました
もう、だいじょうぶかしらと
からだを、起こしたわたしは
ああ何てことだと
崩れ落ちました
泣きながら
自分を殴り
自分を責めました
お花は
おおいかぶさった
わたしのからだの
重みで
つぶれてしまったのです
ああ、ごめんなさいごめんなさい
つぶれたお花を前に
わたしは、長いこと
ひざを抱えて泣き暮らしました
もとにはもどらない花を
何度も何度も、なでては
何年も何年も、泣きました
そうして
涙も枯れたころ
顔をあげると
お花の種を植えている
おばあさん
お花畑に肥料をやっている
おじさん
花束をかかえ
いそいそと歩く娘さん
が、目に入りました
何年かぶりに
わたしは、口を開いて
この人たちに
きいてみよう、と思いました
わたしのお花
わたしが、つぶしてしまったお花が
なくなりました
どこに
きくと
土になったのよ
星になったんだよ
あなたの心になったのよ
そんなこたえが、かえってきました
それから
おばあさんから
種を分けていただきました
おじさんに
満開の花を見せていただきました
娘さんに
花束の香りをかがせていただきました
やさしき人たち
わたしの、いなくなったお花は
いないままで
かなしみが
消えることは、ないけれど
そして
やさしき人たちのこたえが
正しいかは
確かめられないけれど
やさしき人たちの
花は、咲きます
(写真提供は「写真AC」acworksさんより。ありがとうございます。)