夏の日、きみが傍らのテーブルに置いたカルピス・ソーダ。 『仁丹の広告燈、すべての詞華集やカルピスソーダ水』を嫌いだと言ったのは、中也だったか富永太郎だったか。 * 話しかけるのがためらわれ、ぼくは、斜め後ろのデッキ・チェアから、きみの麦藁帽子の陰で見え隠れする、その日焼けした首筋をただぼんやりとながめていた。 氷が溶けてグラスが寂しげな音を立てると、きみはきみで、海に向けて寂しげな視線を送っているかもしれない、昼下がりのこんな時間。