きみの靴の中の砂

日盛りを迎える頃




 暑い夏だった。日本中が、まだ団扇や扇風機だけで凌いでいた頃の話なのだが...。

 冷蔵庫のある家庭も稀な、その時代の家の作りは、食べ物の腐敗を避ける目的で、台所は北に面しているものだった。だから、冬の朝は寒さが厳しく身に染みたが、反面、夏は開け放った勝手口を涼しい日陰の風が通り抜けた。

 日盛りを迎える頃、ポンプで汲み上げられた井戸水には、子供では抱えきれないほどの大きさの西瓜が浮かべられていた。


FINIS
 

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