きみの靴の中の砂

昨夜は濡れて帰った





 アメリカ西海岸で生活すると、すぐに独特な風土に気付く。
 まず、その日の天気図の配置により日本のような四季が日替わりでやって来る。当然、衣替えという習慣はなく、クローゼットには通年、四季の衣類を用意しておくことになる。昨日は夏だったのに、今日は朝から晩秋のような天気で、ようやく昼過ぎから春めいてきたということもめずらしくない。

 また、西海岸では傘を持っている人が少ない。それは、雨の日に傘を持ち歩く人が少ないという意味ではなく、そもそも傘を財産としていない。家に傘はないのかと聞くと、探せば一本くらいどこかにあったかも知れないと答えるほど。まあ、年間雨量が少ないこともある上に、雨に濡れること自体、拭いて乾けば済むじゃないかという地域住民性も背景にある。傘を持たない代わりにその代用品としての帽子は一人いくつも持つ。

 土地に起伏があっても、日本のようになるべく水平に道を作ることもなく、また、路肩に排水溝の設置もない。つまり、ちょっとした雨が降れば道の低いところは冠水する。余程のことがない限り、それはニュースにもならず、みんな勝手に迂回していく。西部開拓時代に迂回を繰り返しつつ西へ向かっていった頃からの伝統なのだろう。

                    

 昨日は友人の結婚式があって、その流れで旧友と夜中まで遊びまくった挙げ句、予報どおり、夜更けて雨に祟られた。
 幸い、駅から家が近く、昨夜は濡れて帰った。




【The Three Degrees / Can't You See What Youre Doing To Me】


 

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