空港の建物にニース、コート・ダジュールと書いてあって、空色の海と白壁のホテルが、美しく生まれついた娘のように光り輝いている。花の薫りに酔い心地の遊歩道では、渚の玉石の上にタオル一枚で寝そべっている娘が、日ざしの熱烈な抱擁に身を任せているだろう。
旅人は、もうここを動かない。
我を忘れてしまいそうだが、さらに山のグラースの町の方へ花の薫りを辿って行くがいい。風雪になめされた石壁の間にも花の薫りがしみついている町があって、そこで軽やかな心を抱いて野へ出ることもできる。
さながら、朝露に濡れた花畑で、娘たちとともにバケツ一杯の花を...
【花のかおり / 堀内茂男】
Niagara Fall of Sound Orchestra / 恋するふたり
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