老舗『阿以波』の京団扇を今年も引っ張り出してきた。
夜は窓を開け、団扇で扇ぎつつ寝落ちするのが空調より塩梅がいい。寝床で使うには多少贅沢なブランドだが、柄が桐で出来ていて、見た目に非ず軽く腕が疲れず、そこに価値を感じている。
右利きなので、夏を何回か過ごすと同じ所が寝間着に擦れて和紙が綻びてくる。新調しどきと言えばそうなのだが、愛着も湧いて、なかなかの思い切りを要す。
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大暑から立秋までが暑さの盛り。のち、十日もすると大文字の火で、それが済むと、昼夜の寒暖差が大きい京では秋と言われているが、今時の気象では、東京の秋はいつになるやら。