めずらしいものを食べる機会に恵まれた。生態がまだよく解らない魚『ゲンゲ(カンテンゲンゲ)』の揚げ物と鍋である。
ゲンゲは寒流に生息し、北海道から東北にかけての太平洋・日本海のどちら側でも獲れる魚である。いや、獲れるというよりは、エビ漁などの底引き網に間違って入ってしまうという方が正しい。
形は舌平目に似て、大きさは舌平目の倍の60センチ程になる。体表はスライムのようなドロドロ・ヌメヌメした妙なもので覆われていて、それを取り除かない限り気持ちが悪くて普通の人では触れない。肉質もまたブヨブヨで、オヤジの出っ張った腹の肉に触るようである。しかも、水っぽい感じがする。
という訳で、ゲンゲは、昔から魚河岸に出しても値段が付くような魚ではない。だから、漁師で専門に獲る者はなく、仮に間違って獲れれば岸壁に打ち捨てておくという至極当然な道理に沿って扱われ続けてきた。ランクとして『下の下』の魚だから『ゲノゲ』・・・『ゲンゲ』となったとも.....。もっとも、漁師はそれが美味しいのを知っていて、漁村では細々と食べられていたようだ。新鮮なものは刺身にもなるが、概ね揚げ物にするか出汁を取るのに使う。鍋にするとアンコウのゼラチン質に似た食感で、そのスープのおいしさは他に類がない。
ゲンゲは、いまだ魚河岸では値段があってないようなも。特殊な常連客のいる料理屋だけがそっと仕入れて行く。
FINIS
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