きみの靴の中の砂

廃墟と点景は共に長い時間軸の上にあって

 

 中学・高校と美術部だった割りには、私は、どちらかと言えば絵は下手くそだし、美術史も西洋の宗教画を多少理解する程度で、それ以上の知識は至ってお粗末と言っていい。
 そんな状況にあって、なぜユベール・ロベールのいわゆる廃墟画にここまで惹かれるのか我ながらその理由を見出すのにしばしの熟考を要するほどだ ------ そもそもいつから好きだったのかも今ではもう思い出せない。

 2012年にフランス大使館の後援でロベールの作品が日本を巡回した時のカタログ ------ 『時間の庭』と副題がある ------ が今手元にあって、それを自分でも呆れるくらい飽きずに毎日眺めている。

 石造りの家屋の歴史の長い国々では、廃墟と言っても日本建築の廃墟とは違い、完全に土に帰ることはない。後世の人たちがその石の廃墟を様々な理由から訪れ、そしてその人々を点景として廃墟を描くロベール ------ 廃墟と点景は共に長い時間軸の上にあって、その関係を想像する時、余りにもの歴史の時間の長さから見る者をある種の陶酔境に導くのかもしれない。

 


【Apollo 100 - Joy】

最新の画像もっと見る

最近の「これくしょん」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事