若手研究育成が「事業仕分け」で「縮減」判定を受けて以来、周囲がにわかに騒がしくなった。特に、来年度の特別研究員を勝ち取った連中などは、「これからのことが心配でたまらない」、といった感じだ。
若手支援に対する世間の目、とりわけ「仕分け人」たちの目は、ことの他厳しく、「雇用対策的な意味合いが強い支援などを血税でする必要はない」といった発言が繰り返し聞かれた。
だが、ひとつ仕分け人たちに尋ねたい。我が国では、高等教育にかかる学費がべらぼうに高いわりに、(返済の必要がない、もしくは金利がほぼゼロの)奨学金制度などは、全く充実していないという問題については、どう考えるのか。
大学院に進学する学生の多くは、有利子で巨額の借金を抱えるはめになる。その額は、修士と博士課程の年限をあわせて、5年間でおよそ600万円。
そもそもが、(国民が高等教育を受けようとするには)金がかかりすぎるシステムになっているのだ。
しかも、我が国の場合、大学院(特に博士課程)などを修了しても、民間にはほとんど吸収先がないという、雇用システムの壁もあり、年間5千人程度の「博士」たちが、無職の憂き目にあっている。
雇用の枠にもれた人たちが、毎年、積み重なっていった結果、現在では十万人近くの無職に近い状態、あるいはワーキングプア状態の博士が存在するといわれる。
だが、これは氷山の一角にすぎない。
大学で雇用されている若手のポストを見れば、多くが「特任」助教・講師、あるいはポスドク、などとなっており、実態は任期付きでかなりの安月給(年収300万以下も珍しくない)といった具合だ。もちろん、任期が切れた後の保障など全く無い。
これらのことを勘案すれば、大学院を出た若手研究者の50%以上は、非正規雇用者となるだろう。
ちなみに、大学に正規雇用されている人たちは十六万人余りしかいない。
そして、そこに入れずあぶれている人は十万人。もしここに、図書館の職員さんや事務員さんを含めたら、こんな数ではもうすまなくなる。
政府は、緊急雇用対策として10万人の雇用創出を年度内に行うということだが、すでに、あぶれている大学院修了者たちだけでその数になってしまう。
これって、仕分け人の多くが認識しているような「就職できない人(博士)の個人の問題」ではなく、明らかな「社会問題」ではないのかい?
「いや、博士の質が落ちたからしょうがない」などという声も聞くが、そんなこと言ってる場合か!?、と逆に突っ込みたくなる。大体、何の根拠があってそんなくだらないことを言うのか、その真意は一体どこになるのか!
働く意欲があるのに、働く場所がなく、困窮にあえぐ人たちに向かって言う言葉なのか、それ!?
かりに、就職難にあえぐ大学生に、おなじようなニュアンスの言葉を発したら、どうなると思うのか。
その大学生だが、来春の就職内定者は約63%だそうだ。
これは、過去最低に近い水準という。
翻って、大学院生(特に博士)。実質50%以下です。
雇用対策、(本人の問題などと言わず)どの領域でもしっかりやって欲しいと思うのは私だけではないはずだ。若手研究者たちにきちんとした給与や保険を保障して頂きたいとも願うばかりだ(実質、無給で奉仕し続けている博士たちは、かなりの数にのぼるのだから)。
文藝春秋編 日本の論点PLUS 今週の必読・必見 【高学歴の就職難をどうする】
若手支援に対する世間の目、とりわけ「仕分け人」たちの目は、ことの他厳しく、「雇用対策的な意味合いが強い支援などを血税でする必要はない」といった発言が繰り返し聞かれた。
だが、ひとつ仕分け人たちに尋ねたい。我が国では、高等教育にかかる学費がべらぼうに高いわりに、(返済の必要がない、もしくは金利がほぼゼロの)奨学金制度などは、全く充実していないという問題については、どう考えるのか。
大学院に進学する学生の多くは、有利子で巨額の借金を抱えるはめになる。その額は、修士と博士課程の年限をあわせて、5年間でおよそ600万円。
そもそもが、(国民が高等教育を受けようとするには)金がかかりすぎるシステムになっているのだ。
しかも、我が国の場合、大学院(特に博士課程)などを修了しても、民間にはほとんど吸収先がないという、雇用システムの壁もあり、年間5千人程度の「博士」たちが、無職の憂き目にあっている。
雇用の枠にもれた人たちが、毎年、積み重なっていった結果、現在では十万人近くの無職に近い状態、あるいはワーキングプア状態の博士が存在するといわれる。
だが、これは氷山の一角にすぎない。
大学で雇用されている若手のポストを見れば、多くが「特任」助教・講師、あるいはポスドク、などとなっており、実態は任期付きでかなりの安月給(年収300万以下も珍しくない)といった具合だ。もちろん、任期が切れた後の保障など全く無い。
これらのことを勘案すれば、大学院を出た若手研究者の50%以上は、非正規雇用者となるだろう。
ちなみに、大学に正規雇用されている人たちは十六万人余りしかいない。
そして、そこに入れずあぶれている人は十万人。もしここに、図書館の職員さんや事務員さんを含めたら、こんな数ではもうすまなくなる。
政府は、緊急雇用対策として10万人の雇用創出を年度内に行うということだが、すでに、あぶれている大学院修了者たちだけでその数になってしまう。
これって、仕分け人の多くが認識しているような「就職できない人(博士)の個人の問題」ではなく、明らかな「社会問題」ではないのかい?
「いや、博士の質が落ちたからしょうがない」などという声も聞くが、そんなこと言ってる場合か!?、と逆に突っ込みたくなる。大体、何の根拠があってそんなくだらないことを言うのか、その真意は一体どこになるのか!
働く意欲があるのに、働く場所がなく、困窮にあえぐ人たちに向かって言う言葉なのか、それ!?
かりに、就職難にあえぐ大学生に、おなじようなニュアンスの言葉を発したら、どうなると思うのか。
その大学生だが、来春の就職内定者は約63%だそうだ。
これは、過去最低に近い水準という。
翻って、大学院生(特に博士)。実質50%以下です。
雇用対策、(本人の問題などと言わず)どの領域でもしっかりやって欲しいと思うのは私だけではないはずだ。若手研究者たちにきちんとした給与や保険を保障して頂きたいとも願うばかりだ(実質、無給で奉仕し続けている博士たちは、かなりの数にのぼるのだから)。
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