和田秀樹氏は30年以上にわたって高齢者専門の精神科医として医療現場に携わってきた方である。この新書は2022年上半期のベストセラー第1位だったようで、35万部以上売れている。満75歳が近づいてきた私。どういうことが書いてあるのだろうかと思って、購入して読んでみた。
「人生100年、これからは70代がカギになる!」というフレーズで、読み手を呼び込んでいる。そして、「要するに70代をうまく生きないと、長生きはできてもよぼよぼとしたり、介護を受ける期間の長い高齢者になってしまうということです。」と書かれていた。
「70代をうまく生きる」方法や考え方など、高齢者医療の専門医の観点から述べられている新書だった。
たいへん参考になった本でした。私が実行してきていることの裏付けとなる記述も多くあり、「なるほど、なるほど」と共感できる記述内容も多かったですね。
たとえば、「働くことは、老化防止の最高の薬」という考え方に共感しています。
(私の場合)退職後、15年続けていることは、畑作業。畑作業も「働くこと」に入ると思っています。楽しみながら働くことは、精神的にも肉体的にも健康になるものです。ボランティア活動も「働くこと」に入ると思います。収入になる「働くこと」と収入にはならない「働くこと」とがありますが、どちらにしても、「老化防止の最高の薬」になると思います。
また、「高齢になると、肉を控えた野菜中心の食事が身体にいいと考えている人の多いですが、それは間違っています。」との記述にも共感。日本の高齢者はあっさりとした食事を毎日とっている人が多い。その結果が、「70歳以上の日本人の5人に1人が、タンパク質不足」になっている。1日当たり80gほどしか肉を食べていません。(一方、アメリカ人は300gほど食べている。)アメリカ人は食べすぎかもしれませんが、日本の高齢者はタンパク質不足にならないように肉や魚をしっかり食べるべきなのでしょう。私の場合、国産肉は高価なので、たくさん食べていませんが、オーストラリア(タスマニア)産の牛肉を食べるようにしています。「ステーキ肉はタスマニア産」を食べています。やや安価でおいしいですよ。
次に、医療についての考え方においても、共感する内容が書かれていました。
「70代になったら、健康診断に関する考え方も変えたほうがいいでしょう。 (中略) 日本の検診では50~60項目くらい検査しますが、このなかで病気との因果関係がはっきりしているのは、血圧や血糖値、赤血球数などの5~6項目くらいです。それも、血圧や血糖値が非常に高いと、今後、健康状態を害する可能性が確率論的に高いと言えるだけの話です。それ以外の検査項目は、よほどの異常値でないかぎり、その人の寿命と関係しているというエビデンス(根拠・証拠)はないのです。」と書かれていた。
長い引用になりましたが、高齢者医療の専門家の指摘ですから、私は信用しています。
そして、「健診結果を妄信して数値改善に取り組むことは、健康になるどころか、その人をどんどん『元気のない老人』にしてしまうのです。意味のない検査数値に踊らされるくらいなら、私は健診など受けない方がいいと考えています。」と言い切っている。 和田秀樹医師はあっぱれである。大いに共感できる記述内容でした。
私は脳梗塞を(14年前に)発症しているので、再発防止の薬(血液をサラサラにする薬)と血圧を下げる薬は近くの町医者から処方してもらっています。ですが、「血液検査などの健康診断」はしてもらっていない(申し込みそのものをしていない)。5年ほど前まで通院していた病院では、行くたびに「尿検査・血液検査」があり、心臓検診やエコー検査、MRI検査なども時々受けていました。それらの結果が出るたびに、結果を待っている間も含めて、ドキドキしたものでした。ちょっと基準よりも悪い結果があると、説明があり、指導されたものでした。
現在は(この5年間)健康診断など(堺市が郵送してくる無料健診案内も含めて)受けることはなくなりました。血液検査はしていません。コレステロール値や血糖値など、5年前までは健診結果の数値を気にしていましたが、今はまったく気にしなくなりした。がん検査をすすめられるケースもありましたが、検査を受けると、結果が気になるのが人間だれしもです。私も気にするタイプです。どこかの痛みがひどくなったら、がん検診を受けるつもりですが、その日が来るまで受けないで生活していこうと決めています。がん以外の検診についても、同じように考えています。そういう私にとって、和田医師や近藤誠医師(がん放置方針の医師)らの書物は力強い味方のように感じています。(去年、近藤誠医師は亡くなられましたが、書物は数冊読んで大いに参考になっています。)
健診については、人それぞれの考え方があり、治療についても人それぞれの考えがあることでしょう。私と妻や子どもとも考え方が違うもので、妻や子どもたちに私の考え方を押し付けるつもりはまったくありません。同じように、どなたにも私の医療に関する考え方を押し付けるつもりはまったくございません。
ただ、「早期発見、早期治療」をすすめる医師会の方針に「私たち70代以上の者」は、医学界の治療ペースを妄信してもいいのかな? と、(現時点で)思っている一人です。
ブログ訪問の方が、部分的にでも参考にしていただけたら・・・と、あれこれと書いてみた次第です。
今回のブログ内容は以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。