・バターButter ばたー
中近東を中心に紀元前2000年ごろより作られていた。当初は、牛乳の上澄みより造られ生産量が少なく貴重品で薬味、香辛料として使われていたと考えられている。フランドル地方、現在のオランダ、ベルギーに12~13世紀に製造法が伝わり主産地としている。
1870年代に遠心分離機器の登場により消費量が増大していったが保存方法が確立されていなかったので発酵バターが主流を占めていた。日本では、645年に牛酪(ぎゅうらく:バター)が百済(くだら)の帰化人によって天皇に献上したという記録がある。
バターとして日本に伝来したのは明治に入ってからで北海道を主産地とする。現在では牛乳から分離したクリームからの脂肪分を主成分として製造、乳脂肪分80%以上、水分17%以下と定められている。クリーム・牛乳からバターを作るとき、エマルションEmulsion(乳濁液)はO(油相)/W(水相)型のクリームからW/O型のバターに入れ替わり転相し転移する。
25kgの牛乳から1kg程度のバターを得ることができる。有塩と無塩があり、無塩はケーキ、菓子類、アイスクリームに使われる。風味がよくそれを生かし有塩はトースト、サンドイッチに塗って用いることが多い。
じゃがいも、トウモロコシに相性がよく風味が増す。スープ、シチュー、ソテー、ムニエルなどに使われる。
ヨーロッパでは発酵バターも作られクリームに乳酸菌のスターターを加え発酵している。脂肪分は80~83%、水分が16.2%を含み油中水型のエマルジョンで一度溶けだし放置されたバターは風味を失い元には戻らないので保管は、4℃以下、長期では空気に触れないようにして冷凍保存とする。
バターの風味は、不安定でこげやすく、香りも変化しやすいので、直接長時間加熱するのは避けた方がよい。低級脂肪酸のカプロン酸Caproic acid(ヘキサン酸Hexanoic acid:融点-1.5℃)、酪酸Butyric acid(融点-8℃)が含まれ消化率98%と消化、吸収がよい。
夏に牧草を食べる牛からのバターは、黄色が濃くβーカロテンが多く冬期のものは少なく色が白っぽい。ビタミンA520μg(レチノール500μg、カロテン140μg)/100g中を多く含む。
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