・馬乳酒Horse Milk alcoholic drinks ばにゅうしゅ
クミスKumiss(アルコール1~2%)の類があり馬乳酒の起源は定かでないが、中央アジアで多く飲まれている。馬乳酒が作られる期間は、馬が出産を終えた初夏から9月頃までの、搾乳可能な2ヶ月程だけ。その他の季節では馬乳が取れない他、季節によっては気温が発酵させるために必要な温度に達しない。第一次世界大戦当時にグルカ兵(ネパールの山岳民族)が多く飲用しグルカ兵の結核罹患者が少なかったことから、結核を防ぐ飲み物として広まったとしている。
モンゴルでは人間は「赤い食べ物」と「白い食べ物」で生きているという考えがあり、赤が肉、白が乳製品を指す。肉食中心の遊牧民の生活において、貴重な野菜の代わりにビタミンやミネラルを補うものとして大量に飲まれる。馬乳(ばにゅうMare's milk)は、ウマの乳汁で馬乳酒(アイラグ)などの乳製品の原料とする。またヒトの母乳(人乳ビタミンCで5mg、たんぱく質が少ない)と似た成分構成をしているといわれ、脱脂粉乳に加工して栄養補助食品・健康補助食品、化粧品や石鹸などに配合することもある。
馬乳酒にはビタミンCが100mlあたり8~11 mg含む。酒とは言うものの、アルコール度数は1%~ 3%程度であり、水分、エネルギー、ビタミンC補給源として、モンゴルでは赤ん坊から年寄りまで飲用する。酒ではあるのだが、モンゴルではヨーグルトに近い乳酸飲料といった扱いで食事の代わりとなり、夏のモンゴルの主な食事的存在で大体1日に0.5~1.5リットル位を摂っているという報告がある。
また馬乳酒は特有の臭気があり殺菌処理を行なわないと乳酸発酵が進行し続け、醸造してからも酸味と匂いが増していく。酒母(スターター)は、残った馬乳酒を穀物に含ませ乾燥保存した物、ツリガネ科の野草(ハルガイ)を生のまま、自家製の発酵乳、干しぶどう、白ワイン等が用いられる。モンゴルの伝統的発酵乳(アイラグ[クミス]およびタラグ)乳酒を蒸留した「アルヒ」という蒸留酒もある。日本の乳製品であるカルピスはアイラグをヒントに開発したという。
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