<お知らせ>
ブログお引っ越ししました。お引っ越し先はfc2ブログです。
コチラ(←クリック)に新装開店しました。
これからも宜しくお願いします。
マムより



2011年下半期の芥川受賞作を読んでみました。
受賞後のインタビューをご覧になられた方々は
椅子から滑りおちるのではと、期待をもこめて
お行儀の悪い田中慎弥氏をニヤニヤしながら
ご覧になったのではないでしょうか。
彼の不機嫌ぶりは結果として出版の増刷に
つながり、集英社はしてやったり、という
ことでしょう。
田中氏の作品は彼のあの不埒な態度とま逆の
整った作品です。
スケールは小さいですが中上健次や宮本輝の初期作品
や車谷長吉の作品を彷彿させる古典的な小説です。
2010年度下半期に受賞した西村賢太 『苦役列車』 も
この系譜です。
私個人としては西村賢太さんの作品を読み苦行のような陰々滅々とした
日々を描く、
そしてそこに性的なものや暴力をともなう小説はもう「飽いた」と
思ったものです。
4畳半フォークに飽きてしまって、
荒井由美がでてきたときのスコーンと抜けるような青さを
もう一度経験したい。
そんな感じです。
それがどんなに出来がよいとしても、うっ屈したものは
たとえいい作品であっても、「もういいよ」と小声で
呟いてしまいます。
そうはいっても、田中氏の作品はたしかに芥川賞に
あたいするものに間違いありません。
読みだして数行で石原慎太郎氏の酷評が
彼にたいしてではなく、もう片方の受賞者、
円城氏であることが誰もが想像できます。
一見お行儀のよい円城氏が不遜な小説、といっても
目を覆う悲惨な描写があるわけではありません。
空。くう。空虚な文字の羅列。


作品は
「わかる人にわかってもらえればいい」という氏の考えが
徹頭徹尾貫かれている作品ですが、
こういう考えは逃げではないかなあと読みながら考えたものです。
その理屈を通したいのなら、最低限、読者が何度も本を閉じるような
内容の小説ではいただけないと思うのです。



彼の作品を読みだしすぐにある小説が私の脳裏に浮かびました。
古川日出夫氏のアラビアの夜の種族です。
荒唐無稽、時空をかけての妖術合戦、語りは入れ子状態と、
下世話ないい方をすれば「ひっちゃかめっちゃか」な作品です。
が、
引きずり込まれて、先へ先へと時間を惜しみ読み進む。
手だれの使い手です。
どうも円城氏は古川氏のような作品を目指しておられるのではと
思います。
いえ、文章に関しては古川氏より円城氏の方が整っています。
この円城氏の作品は選者の過半数をとれなかったといわれています。
過半数におよばなかったにもかかわらず芥川賞を与えるというのは
わたくしは選者が小粒になってしまったなあと、独りごちてしまいます。
次回

文藝春秋 2012年 03月号 [雑誌]
*芥川賞あれこれ 1/2/3/4/5/6/7/8
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2011年下半期の芥川受賞作を読んでみました。
受賞後のインタビューをご覧になられた方々は
椅子から滑りおちるのではと、期待をもこめて
お行儀の悪い田中慎弥氏をニヤニヤしながら
ご覧になったのではないでしょうか。
彼の不機嫌ぶりは結果として出版の増刷に
つながり、集英社はしてやったり、という
ことでしょう。
田中氏の作品は彼のあの不埒な態度とま逆の
整った作品です。
スケールは小さいですが中上健次や宮本輝の初期作品
や車谷長吉の作品を彷彿させる古典的な小説です。
2010年度下半期に受賞した西村賢太 『苦役列車』 も
この系譜です。
私個人としては西村賢太さんの作品を読み苦行のような陰々滅々とした
日々を描く、
そしてそこに性的なものや暴力をともなう小説はもう「飽いた」と
思ったものです。
4畳半フォークに飽きてしまって、
荒井由美がでてきたときのスコーンと抜けるような青さを
もう一度経験したい。
そんな感じです。
それがどんなに出来がよいとしても、うっ屈したものは
たとえいい作品であっても、「もういいよ」と小声で
呟いてしまいます。
そうはいっても、田中氏の作品はたしかに芥川賞に
あたいするものに間違いありません。
読みだして数行で石原慎太郎氏の酷評が
彼にたいしてではなく、もう片方の受賞者、
円城氏であることが誰もが想像できます。
一見お行儀のよい円城氏が不遜な小説、といっても
目を覆う悲惨な描写があるわけではありません。
空。くう。空虚な文字の羅列。
作品は
「わかる人にわかってもらえればいい」という氏の考えが
徹頭徹尾貫かれている作品ですが、
こういう考えは逃げではないかなあと読みながら考えたものです。
その理屈を通したいのなら、最低限、読者が何度も本を閉じるような
内容の小説ではいただけないと思うのです。
彼の作品を読みだしすぐにある小説が私の脳裏に浮かびました。
古川日出夫氏のアラビアの夜の種族です。
荒唐無稽、時空をかけての妖術合戦、語りは入れ子状態と、
下世話ないい方をすれば「ひっちゃかめっちゃか」な作品です。
が、
引きずり込まれて、先へ先へと時間を惜しみ読み進む。
手だれの使い手です。
どうも円城氏は古川氏のような作品を目指しておられるのではと
思います。
いえ、文章に関しては古川氏より円城氏の方が整っています。
この円城氏の作品は選者の過半数をとれなかったといわれています。
過半数におよばなかったにもかかわらず芥川賞を与えるというのは
わたくしは選者が小粒になってしまったなあと、独りごちてしまいます。
次回

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*芥川賞あれこれ 1/2/3/4/5/6/7/8