貧しい、何も持たない女性が高みを目指そうとしたとき必要なモノは天賦の才と努力を続ける根性と、そして魅力。
魅力があれば金とコネのある権力者の男が釣れる。美貌はすごく美味しい餌っつうこと。
金とコネは近道です。いかなる分野においても。
権力は最強の近道です
ま、それがあっても才がなければどうしようもないんだけどね。
この映画の主人公は才も根性も魅力もありました。さてどうなるのかしら。
すごく面白かった。
この映画は実在したプロの指揮者アントニア・ブリコをモデルにして描かれています。彼女のあくなき挑戦を楽しく美しくときには惨めに描いています。
「底辺に甘んじていれば女は欲しいものを得られる」
って猛烈に酷いセリフがあるんだけど(そしてそれは結局真実)そう言う男だけが敵ではない。
抜きん出ようとする女を許さない女もまたそれ以上の敵だったりするのですね。
抜きん出ようとする女を許さない女もまたそれ以上の敵だったりするのですね。
面白くて痛快だけど辛い映画でもありました。女性の立身出世はかくも難しい。
アントニアは、困難や妨害、嘲笑セクハラ毒親と、ありとあらゆるいじめにに打ち勝ちヨーロッパで成功し、アメリカでも一応の成功をおさめました。
なにより女性演奏家の地位を向上させました。
男に比べて女の演奏家は劣っているとまで新聞に書きたてられていた時代です。そんな時代に女だけのカンパニーを作るのです。
当然ひどい妨害といじめにあいます。けどついに後ろ盾もあらわれました。ルーズヴェルト大統領夫人!そしてそれは。
ああなんというカタルシス。エルガーの愛の挨拶を満面の笑みで指揮する彼女で幕が下りる。幸せな気分で映画は終わります。
けれど結局今はほとんど忘れられた存在です。
女性指揮者にいたっては世界的音楽雑誌が選ぶ
「世界のもっとも著名な指揮者上位20名」に女性は一人もおらず、
「世界で最も偉大な管弦楽団 ベスト20」に女性指揮者を有するカンパニーはひとつもないのです。
って最後にテロップで出るのよ…単純なハッピーエンドにならないところがもうね。けどすっごく面白かったです。ハーレクイン要素もたっぷりです。主人公役の女優がクリムトの絵のように知的で美しいのです。