2019/8/4
・30分弱の短編を2ブロック合計6作品。
・『コルチカム』と『カウント9.99』がおもしろかった。
・『コルチカム』はお笑い芸人の楽屋で起きたちょっとした事件を川添公二さんが一人四役で演じる。
・基本進行は会話。最初のコント部分を除けば、登場人物四人の間の会話だけ。
・たとえば、川添さんが登場人物Aを演じている時、登場人物Bのセリフは観客の想像で補う感じ。ひとつのシークエンスが終わると、ドアが開くような音がして別の登場人物を演じ始める仕組み。
・このバトンを繋いでいくような見せ方は、話全体の構成とも重なる。うまい。
・「やめるには年を取りすぎている」という話は身につまされる。実際、自分もよくそういうことを考える。
・作演出の野村有志さんは、こういう「人生に失敗しちゃったけど諦めきれない底辺にいる人」をとても愛情深く描いてくれる。過去作の『さようなら』もそう。
・オパンポンダンスは生で見たい。
・あと、サンゴは握り締めちゃダメ。
・『カウント9.99』は、一人の女子プロレスラーが引退セレモニーで自分の半生を振り替えろうとする話。
・演劇の題材で女子プロレスというとイロモノ感が強いけど、一方で、一人芝居には「女の一生モノ」というジャンルがある。
・そういう意味で、一人芝居というジャンルのど真ん中にいる作品とも言える。
・作演出は上田龍成くん。いつも思うけど、既存ジャンルの文脈を自作に取り込むのが本当にうまい。
・プロレス好きなら納得の塩梅の固有名詞や、語られるエピソードも現実から新旧色々取り込んでいる。
・演じているのは大和田舞さん。
・しまっているんだかしまっていないんだかよくわからない肉付きも、ちょっとプロレスラーっぽい。
・必要最低限の動きでプロレスラーらしい威厳をキープしつつ、マイクアピール、謝罪、スナックのママ、スーパーのレジ打ち、高いレベルで語り口を切り替えているので飽きない。
・レジ打ちは映画『レスラー』のオマージュだと思う。
・あと、衣装とメイクがほんとうに素晴らしい。
・カーテンコール後のパイプ椅子を肩に担いで意気揚々と退場していくのも良いシーンだった。
・たぶん、どこに持っていっても大丈夫な強度のある作品だった。