2021/4/2
・浜家の当代である太郎が、日露戦争直後の講和条約に納得できない人たちや、クセのある家族に振り回される話。
・日露戦争を歴史ではなく庶民の目線で見返している。
・戦果なんて、損失の量に比例するわけがないんだけど(むしろ反比例しそう)、それで納得できない人が多いのは仕方ない。
・作中最も学があるはずの海外留学経験者、次郎さんが一番胡散臭い存在に見える。素敵な低く通る声で、言うことにもそこそこ説得力があって、質が悪い。
・知識階級への不信感は普遍的なものだと思うけど、一般化しすぎるのも有害なので、彼の一応の恋人アキでバランスをとっている感じ。知識は知識で大事。
・なので、ちゃんと知識階級ではなく、次郎さん個人が胡散臭く見える。
・知識がなければ、正しい判断をすることができない。なので、当時の庶民が愚かではなく、誤魔化して情報を出さないほうが悪い。
・この傾向、おそらくアジア太平洋戦争の終戦まで続くと思う。下手したら今に至るまでそうかもしれない。
・現代で暮らす自分の感覚だと、年老いた奉公人、オマサの言うことには共感できるけど、ほかの登場人物に全く響いていないところが悲しい。
・後半の会話劇をちょっと逸脱するシーンが面白い。なかなかあんな思い切りのいい展開にはできない。
・ネさんは名前から勝手に朝鮮ルーツだと思っていたけど、パンフを見たら全然違った。
・ちょうど、テレビ番組のアイヌ差別表現を見たばっかりだったので、動物例えに少しどきりとする。
・勘違いだったけど、検証は後でもできるので、気づくことが大事なはず。
・猫の話は終盤のある展開にもつながる。おしゃれ。
・薬屋さん、たしかに嘘をつくような感じの人でもなかったけど、ほんとに川の水汲んでたんだろうか。普通の水で実演しても不都合なさそうだけど。
・カレーは作中少しだけ出てくる。他の方の感想で、「カレー」が現代の何に例えられるのかという問題提起があったけど、自分にはうまく思いつかず。
・作者のごまのはえさんとお話する機会があったので、聞けばよかったような、自分で考えたほうがいいような。
・ある日、突然気づくのを待ちたい。
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