遠藤雷太のうろうろブログ

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ペドロ・アルモドバル監督『ヒューマン・ボイス』

2022-12-03 22:50:54 | 映画を見てきた

11/3公開『ヒューマン・ボイス』予告編

2022/12/2

・恋人の帰りを続けた女が、ついにかかってきた彼からの電話に、思いのたけをぶつける話。

・ほぼ、人間一人と犬一匹。30分の短編。

・ジャン・コクトーの「人間の声」を翻案。

・最初にただの翻案ではなく「自由に翻案」とわざわざテロップが出てくる。

・「人間の声」は電話の受話器で会話するところ、ハンズフリーのイヤホンを使っている。

・一人芝居の小道具として電話は定番中の定番だけど、受話器を使わないパターンは見たことなかった。たまたまなんだろうけど、新鮮。

・舞台作品の一人芝居でも、端末を耳に当てて通話する演技は古くなっていくのかも。

・彼女の部屋と撮影所のような場所が大した説明もなく何度も切り替わるなか、彼女は一定のリズムで語り続ける。

・ハンズフリーで話し続ける人と演劇の一人語りとの中間くらいのミニマムな演技を、大きなスクリーンで見るという不思議体験。

・「人間の声」は情念に囚われた女性が自壊していく話なんだけど、本作のヒロインは、そういう自分の中にいる不幸な女をフィクションに託して突き放そうとしているように見える。

・変わり身の術。あるいは脱皮。

・派手な色の服装もそうだし、彼の服にわざわざそれ用に買ってきた斧をたたきつけるところや、薬を飲むところ、最後の放火もどきまで、いちいち行動が儀式っぽい。

・最後はなんだか彼女はすっきりした感じだったし、たぶん儀式はうまくいったんだと思う。強い。

・なので、単に捨てられた不幸な女の話ではない。たしかに自由に翻案している。軽い。

・工具を使った文字表現がおしゃれ。無機質な金属を使うことで、恋愛のようなじめじめした感情から一歩引いているようにも見える。

・と、ここまで書いてみたものの、忘れてしまっていたり、あとから「人間の声」を読み直した記憶が混ざってしまっているような気もするので、正直解釈に自信がない。

・できれば、あと3回くらい見たい。

・おそらく複数回見た方がいいというか、あらすじを知ってから見たほうがいいし、「人間の声」との違いを踏まえてみたほうが面白いタイプの作品だと思う。

・あと犬かわいい。がんばって演技もしている。かしこい。

(サツゲキ)


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