2018/12/31(月) 午後 5:34
韓国は北朝鮮情勢や日韓及び米韓関係の悪化などから、外資系資本が韓国から次々に撤退している。それによって下請けの中小企業なども仕事が減り、更に追い打ちをかけるように文在寅政権の「最低賃金引き上げ」などによって逆に雇用が悪化。
業績指標の悪化は大企業も例外ではなく、革新的な技術開発（日本などからの技術移転）が出来ず、半導体を主力とするサムスンや自動車メーカーなどの韓国の財閥系大企業ですら将来的展望が見えなくなっている。
2018年現在、韓国の全体の昨年の失業率は３.7％、特に20～24歳が10.9%、25～29歳が9.5%と青年の失業率が増えている。
財閥系の大企業と中小企業の賃金格差や、住宅費高騰など複数の社会問題が背景となって、韓国の少子化傾向は留まるところを知らず、ついに合計特殊出生率（注）が2017年には1.05人（因みに2015年ベースで日本は1.46人、OECD35カ国平均は1.68人）と「１」を割り込む勢いで減少。
希望のない社会を象徴して自国のことを「ヘルコリア」などと自嘲気味に呼び、就職先のない自国を脱出して海外で就職希望する韓国の若者が増え、韓国が国を挙げてむしろそれを後押しする制度まで設けており、ちょうど百年前の状況を考えれば、これは日本にとってもむしろ警戒が必要なことであると思う。
以下は西日本新聞の記事より。
「日本で就職する韓国の若者が急増している。韓国では就職難が深刻化しており、韓国政府は国を挙げて海外就労を支援。人材不足や訪日外国人の増加など日本側の事情もあり、日本で就労ビザを得て働く韓国人は2017年に初めて2万人を超え、15年から2年間で3割増えた。入管難民法により業務内容は海外取引や通訳など特定分野に限られるが、一方で違法な業務を命じる受け入れ企業や悪質な仲介業者も存在し、早期離職が問題化しつつある」
「佐賀県武雄市などでホテルを経営しているメリーランド（山口修代社長）は、社員約50人のうち6人が韓国人。30代の韓国人男性に支配人も任せている。『皆、日本語や英語が堪能。営業で韓国の旅行社を一緒に回ると、交渉がスムーズに進む。待遇などは日本人社員と同じ条件だが、早く昇格する人が多い』と山内茂樹専務。韓国人採用を始めた5年前はほぼゼロだった韓国人宿泊客が今では全体の約2割を占める年間約4万人に達し、売り上げ増に大いに貢献した」
「韓国の昨年の失業率は3・7％。20～24歳が10・9％、25～29歳が9・5％と若年層で際立って厳しい。対照的に日本の10月の有効求人倍率（季節調整値）は1・62倍と高水準で推移。11月に韓国・釜山市であった日本企業の合同就職説明会には、千人を超える韓国人の若者が参加した」
「日本への就職熱が高まる一方で、韓国メディアによると、就職後1年以内に離職する韓国人が3～4割に上るという。「事務職のはずが、実際は市場での野菜の積み降ろしだった」。釜山市の男性（28）は2月、横浜市の青果卸業者に入社しわずか1週間で退職した」
「社長に説明を求めると、採用時の「裏事情」を打ち明けられた。社長は、仲介業者から「事務職で募集すればビザが取りやすい」と助言され、うその業務内容を掲げて募集した。日本の入管難民法は「技能実習」を除き、野菜の積み降ろしのような単純労働を外国人に認めておらず、就労ビザの対象を「高度人材」に限っているため」
「北九州市の会社に就職した釜山市の別の男性（27）は、休暇が取りにくいことなど職場への不満から9カ月で辞めた。本当は早々に辞めたかったが、韓国の仲介業者から3カ月以内に辞めたら罰金約20万円を支払うよう言われていたため、我慢したという」
「早期退職を理由に『罰金』を取るのは韓国でも違法。男性は『就職先は政府系の就職情報サイトで見つけた会社だし、仲介業者も株式上場企業なので信用したのに』と憤る」
「日本に若者を送り出す側にも課題がある。韓国の人材を日本企業に紹介しているホスピタブル（福岡市）の松清一平社長は「韓国の一部の大学などが学生を“押し売り”するような実態もある」と打ち明ける。松清社長が問題視するのは、韓国政府が力を入れる海外就職支援事業「Kムーブスクール」だ。韓国の大学や専門学校と提携し、語学研修費など学生1人当たり約80万円を各校に支給する制度。朴槿恵前政権時代に始まり事業費は年間約30億円に上る」
「同制度は提携時に学校側へ支援金の7割が支給され、残り3割は学生の就職実績などによって「成功報酬」のような形で支払われる仕組みだ。一部の学校は支援金目当てに学生の希望や資質に合わない業種でも就職を勧め、失望した学生が早々に会社を辞める構図が生まれているという」
「松清社長は日本企業に対しても「人手不足だからと安易に外国人を雇用するのは誤り。業務マニュアルや社員教育制度など外国人人材の受け入れ体制を整えた企業は、日本人社員の定着率も高い』とくぎを刺す」
「韓国で日本企業へ活路を求める若者が急増しているのは、就職難だけが理由ではない。韓国では2010年ごろから、就職難と低所得を理由に「恋愛・結婚・出産」を放棄する若者が増え「3放世代」と呼ばれた。以降も「人間関係・マイホームの購入」が困難な「5放世代」、「夢・希望」も諦めた「7放世代」へと深刻度を増している。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率は世界最低水準で1.07、18年に「1」を割り込む見通し」
「17年の大統領選でも若者を取り巻く厳しい社会状況が争点になった。朴槿恵前大統領の雇用施策を批判し、若者の圧倒的支持を得て当選した文在寅大統領は就任後、最低賃金引き上げなどの施策を打ち出した。だが、逆に企業が採用数を絞り込む悪循環を生み、直近の支持率は5割前後に低迷。特に20代男性の支持率が急落」
「韓国は日本以上に受験競争が激しく、大企業志向も強い。調査会社が発表した18年の大卒新人の年間平均給与は大企業約400万円に対し、中小企業約270万円。中小は昇給も望めず、人手不足から長時間労働を強いられるなど負の印象が強いという。大学関係者によると「教育費にお金をかける親の期待も大きく、中小企業に入るなら日本など海外で就職する方が箔が付くとの考え方もある」
「韓国の大学の就職支援担当者によると、学生は大企業の入社試験に失敗すると、大学院に進んだり、留学や専門学校に入り直して資格を取得したりして次の機会を目指す。男性は約2年間の兵役があり、日本ほど「新卒」重視の傾向はないが、就業しないまま30歳近くになり、結局、中小企業に就職する人も多いという」
「外国人の就労について現行の入管難民法は教育や経営、法律、科学技術などの「高度人材」に限って認めている。韓国人の多くは通訳や海外取引を担う「技術・人文知識・国際業務」の高度人材として在留資格を取得している。日本の技術を習得して母国に持ち帰る目的の「技能実習」を除き、単純労働は認められなかったが、来年4月1日施行の改正入管難民法は単純労働分野にも門戸を開く」
（以上引用記事より）
来年4月1日施行の改正入管難民法という新たな制度が今後の日本社会に与える影響を長期的観点から十分に検討しつつ慎重なマッチングを第三者的視点で監視することこそが成否の鍵となるのではないだろうか。日本で人手不足が深刻な業界が求めている人材と、韓国の若者が日本での就職で期待している職種は、彼らの「離職率の高さ」からもわかるように、双方が一致していないことが多い、というのが現実なのだ。
百年前、官製あるいは民間斡旋によって日韓併合時代に自発的に日本に出稼ぎで働きに来た朝鮮半島出身の「自称徴用工」問題が、元々内包していた「外国人の単純労働者を抱えることの難しさ」を隣国との正常な関係（距離）をとる上での教訓と考えて、緻密でかつ慎重な運用が必要であることはいうまでもない。
（注）合計特殊出生率：15～49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、次の２つの種類があり一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当。
Ａ「期間」合計特殊出生率：ある期間（１年間）の出生状況に着目したもので、その年における各年齢（15～49歳）の女性の出生率を合計したもの。女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の出生率」であり、年次比較、国際比較、地域比較に用いられている。
Ｂ「コーホート」合計特殊出生率：ある世代の出生状況に着目したもので、同一世代生まれ（コーホート）の女性の各年齢（15～49歳）の出生率を過去から積み上げたもの。「その世代の出生率」である。
引用：
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/476103/
https://biz-journal.jp/2018/10/post_25143.ht
http://news.livedoor.com/article/detail/15813934/
https://japanese.joins.com/article/649/248649.html?servcode=300§code=300&cloc=jp|main|inside_right
コメント
ブログの初めから終わりまで読ませていただきましたが、不勉強なためによく分からないところが多いことで、的外れなコメントになってしまうかもしれませんことをお許しください。
日本人の出生率が低くてこれからだんだん人口が少なくなっていくことはよく聞かされていましたが、韓国はそれよりももっと低いということは初めて分かりました。
日本の低さは若い人たちの意識が変化してきていることもあるとは思いますが、生活をやっていくこと、子どもの教育などにあまりにもお金が掛かりすぎるからっていうこともあるような気がいたします。
そして、このことは日本に限らず韓国にも当てはまるのではないのかなって思うのです。
2018/12/31(月) 午後 8:50 [ weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼) ]
韓国の若い人たちの失業率が高いのは、本当に仕事自体が少ないためなのかどうか分かりませんが、日本で就職する若者が増加しているということは、時間とか人間関係のことについては分かりませんが、少なくとも金銭的なことについては日本の方が条件がいいからっていうことなのでしょうか…？
ただ、わたしとしては、国を離れ、親元を離れてやって来る韓国のみなさんを陰ながら応援していって上げたいなって思います。
2018/12/31(月) 午後 8:51 [ weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼) ]
> weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼)さん
こんばんは。コメントをありがとうございます。泣いた赤鬼さんは優しい方なので、韓国の若者を応援して上げたいお気持ちはわかります。基本的に日本の入管法はこれまで単純労働の就労ビザを認めていなかったため、「技能実習生」や「語学留学生」と称しての不法就労の不法在留者が増えていますが、不法在留外国人の国籍別で、韓国人がトップ、しかも国外退去（帰国）を促すよう在日韓国大使館に要請しても、帰国が進まないという状況であることも報じられていました。
来年４月からスタートする改正入管法の枠も、専門技能を有さない「１種資格」の外国人は5年が在留期間の上限ですね。しかし５年後にもし彼らが帰国したときに果たして韓国社会が彼らを喜んで迎え入れるとは思えません。
2018/12/31(月) 午後 10:28 kamakuraboy
現在の「在日問題」の根っこも、朝鮮戦争の時に逃げてきた彼らを当時の朴正熙大統領が受け入れず「棄民」したことが原因です。従って北朝鮮政府及び朝鮮総連と日本政府の三者の協力で（小泉純一郎元総理のお父さんの小泉純也氏などが中心となって）北朝鮮にのみ「帰還事業」が行われたわけです。
現在の「自称徴用工」問題での日韓感情の最悪の状況で、百年前のこと、６５年の日韓基本条約の中身などを韓国の若者がきちんと正しい歴史教育をしてもらってからでなければ難しい事態、双方に悲劇的なことが起こる可能性もあるのではないでしょうか。
2018/12/31(月) 午後 10:36 kamakuraboy
> kamakuraboyさん
＞ 現在の「在日問題」の根っこも、朝鮮戦争の時に逃げてきた彼らを当時の朴正熙大統領が受け入れず「棄民」したことが原因です。
→ わたしが小さかった頃、東北高校に波山次郎というピッチャーがいて甲子園大会で準決勝まで行きました。
波山投手はその後、プロ野球の大洋ホエールズ（現在の横浜）に入りましたが、程なく北朝鮮に渡ってしまいました。
当時、北朝鮮にはたくさんの人たちが帰っていったのに、韓国のお話が聞かれなかったのにはそのようなことがあったんでしたか。
＞ （小泉純一郎元総理のお父さんの小泉純也氏などが中心となって）北朝鮮にのみ「帰還事業」が行われたわけです。
→ 小泉純一郎元総理が北朝鮮に行って何人かの拉致被害者を連れ帰ってくることができたのにも、もしかするとこのような伏線があったためかも知れませんね…？
2019/1/1(火) 午前 9:04 [ weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼) ]
kamakuraboyさん、
あけましておめでとうございます。
元朝鮮半島労働者の代理人が新日鐵住金に対する在韓資産の差し押さえの意向のようですが当面は状況を見守るとのことです。三菱重工はすでに撤退しているようですね。
いずれにしてもこのまま推移すれば70社もの日本企業は撤退しますから韓国経済は厳しさが増しますね。
サムソンは近年半導体以外はシェアがダウンしており、身から出た錆とはいうものの文大統領の支持率も５割を切り見放されてきた様子です。
日本政府はこれまでのような助け船は出さないので今年は韓国の就職難は加速し指摘されている危惧があたってしまいそうです。韓国人労働者の受け入れには相互に十分な注意が必要です。
2019/1/1(火) 午前 9:04 泉城
> weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼)さん
おはようございます。コメントをありがとうございます。
あけましておめでとうございます。昨年はありがとうございました。今年もよろしくお願い申し上げます。
1950年代から84年までの間に行われた朝鮮半島出身者の北朝鮮への帰還事業のことは
ネットにもいろいろ出ています。その当時の韓国は（日本が残してきた工場が多かった北朝鮮に比べ）朝鮮戦争による国土の荒廃で工業化が遅れ、北より貧しい社会だったようで、「受け入れ」には消極的だったそうです。貧富についていえば今と全く逆だったようです。
現在の韓国社会と北朝鮮とは、ある意味で本来彼ら自身が本当に協力し合って祖国統一出来るかどうかという重要な時期なのかもしれませんが、北朝鮮の核放棄がなければ国連決議による北朝鮮への経済制裁が解除されないため、「南北鉄道」などの事業にひとつでも、韓国の力では無理だと思えますね。
2019/1/1(火) 午前 11:13 kamakuraboy
韓国の若者は個人個人で日本に出稼ぎに来るよりも、国家として一丸となって「汗を流して」祖国や同じ民族同士に対する貢献を真剣に考えるべきだと思います。そうでなければこの先は、日本に併合された屈辱の歴史以前の中国の属国に戻るか、ロシアの南下政策による侵略がいずれ現実のものとなるのではないかと。
2019/1/1(火) 午前 11:14 kamakuraboy
> 泉城さん
おはようございます。コメントをありがとうございます。
あけましておめでとうございます。昨年はありがとうございました。このブログを1年間続けて来れたのも、泉城さんが「コメント」第1号を下さって、それから1年間しばしばいろいろと示唆に富む内容のコメントを書いて下さったおかげです。次々と問題意識が喚起されて、調べてみようと思う事柄が沢山出てきたことが大きかったです。
現在の我々日本人に直接関係のある近現代史のみならず、古代の日本のようすなどをいろいろと想像したり、泉城さんがご自身のブログで説明しておられる「多元的古代史」を知るきっかけとなった1年でした。今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
2019/1/1(火) 午前 11:34 kamakuraboy
> 泉城さん
この記事は4月から始まる改正入管法の問題として、「マッチング」（実際に双方が仕事の中身に関し納得しての契約に基づくものであるべきという点で）の重要性を「自称徴用工」問題などと感じておりまして、西日本新聞の記事をそのまま引用して書きました。
日本に職を求めてやってくる韓国の若者が2年間で3割も増えたということですし、「（経済の悪化から）今年は韓国の就職難は加速」を考えても、「韓国人労働者の受け入れには相互に十分な注意が必要」ですし日本企業も丁寧にきちんと適性などの審査を行った上での対応とフォローをすべきで、安易な受け入れはすべきではありませんね。
2019/1/1(火) 午前 11:38 kamakuraboy
> kamakuraboyさん
＞ そうでなければこの先は、日本に併合された屈辱の歴史以前の中国の属国に戻るか、ロシアの南下政策による侵略がいずれ現実のものとなるのではないかと。
→ とのことですが、
まだまだ自国の広い領土を開発する余地のある中国やロシアが、侵略や戦争などといった大きなコストを払ってまで、また、世界中からの避難を受けてまでそのようなことができるのかなってとても信じることができませんが…
2019/1/1(火) 午後 4:27 [ weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼) ]
> weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼)さん
確かに仰る通りですね。しかし現代の国際社会では武力による侵略が侵略とは限りません。
今日の朝鮮日報の中で、韓国の人自身が恐れていますよ「中国は韓国に対して、まるで親が子を訓戒するかのように接し、朝貢関係の復活をもくろんでいる。」「相次いで中国に主導権を奪われる韓国の主力産業」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/01/01/2019010180014_3.html
北朝鮮に関しては「中国と北朝鮮とロシアが国境を接する図們江デルタ地帯にある羅先特別市の港をめぐる中ロの駆け引きとして、羅津港に3つある埠頭のうち、ひとつをロシア（1番南側）もうひとつを中国（北側）が租借」ロシアに港を租借する期間は2015年から50年間だそうです。
「この3カ国デルタ地帯は、最近少しずつ中ロ両国がインフラ投資を始めている」そうです。
2019/1/1(火) 午後 6:25 kamakuraboy
北朝鮮は経済制裁による外貨の枯渇で、自国海域の漁業権を中国に売却し、「そうでなくても乏しい食糧資源を犠牲にしている。場所は、北朝鮮と韓国の日本海側と黄海側の限界線、北朝鮮沿岸の領海で、売却金額は７千５百万ドル（約７６億円）」
「この措置により、中国漁船が従来の三倍の1500隻が北朝鮮沿岸に入り込み、殆どがトロリー漁法で、種の保存や環境保全を無視して稚魚まで根こそぎ乱獲することで知られている」など。
歴史は繰り返されるではありませんが、中国やロシアの影響が強い北朝鮮だけだはなく、在韓米軍が仮に撤退すれば韓国もどうなっていくかわからないと思いませんか。
2019/1/1(火) 午後 6:29 kamakuraboy
韓国は北朝鮮情勢や日韓及び米韓関係の悪化などから、外資系資本が韓国から次々に撤退している。それによって下請けの中小企業なども仕事が減り、更に追い打ちをかけるように文在寅政権の「最低賃金引き上げ」などによって逆に雇用が悪化。
業績指標の悪化は大企業も例外ではなく、革新的な技術開発（日本などからの技術移転）が出来ず、半導体を主力とするサムスンや自動車メーカーなどの韓国の財閥系大企業ですら将来的展望が見えなくなっている。
2018年現在、韓国の全体の昨年の失業率は３.7％、特に20～24歳が10.9%、25～29歳が9.5%と青年の失業率が増えている。
財閥系の大企業と中小企業の賃金格差や、住宅費高騰など複数の社会問題が背景となって、韓国の少子化傾向は留まるところを知らず、ついに合計特殊出生率（注）が2017年には1.05人（因みに2015年ベースで日本は1.46人、OECD35カ国平均は1.68人）と「１」を割り込む勢いで減少。
希望のない社会を象徴して自国のことを「ヘルコリア」などと自嘲気味に呼び、就職先のない自国を脱出して海外で就職希望する韓国の若者が増え、韓国が国を挙げてむしろそれを後押しする制度まで設けており、ちょうど百年前の状況を考えれば、これは日本にとってもむしろ警戒が必要なことであると思う。
以下は西日本新聞の記事より。
「日本で就職する韓国の若者が急増している。韓国では就職難が深刻化しており、韓国政府は国を挙げて海外就労を支援。人材不足や訪日外国人の増加など日本側の事情もあり、日本で就労ビザを得て働く韓国人は2017年に初めて2万人を超え、15年から2年間で3割増えた。入管難民法により業務内容は海外取引や通訳など特定分野に限られるが、一方で違法な業務を命じる受け入れ企業や悪質な仲介業者も存在し、早期離職が問題化しつつある」
「佐賀県武雄市などでホテルを経営しているメリーランド（山口修代社長）は、社員約50人のうち6人が韓国人。30代の韓国人男性に支配人も任せている。『皆、日本語や英語が堪能。営業で韓国の旅行社を一緒に回ると、交渉がスムーズに進む。待遇などは日本人社員と同じ条件だが、早く昇格する人が多い』と山内茂樹専務。韓国人採用を始めた5年前はほぼゼロだった韓国人宿泊客が今では全体の約2割を占める年間約4万人に達し、売り上げ増に大いに貢献した」
「韓国の昨年の失業率は3・7％。20～24歳が10・9％、25～29歳が9・5％と若年層で際立って厳しい。対照的に日本の10月の有効求人倍率（季節調整値）は1・62倍と高水準で推移。11月に韓国・釜山市であった日本企業の合同就職説明会には、千人を超える韓国人の若者が参加した」
「日本への就職熱が高まる一方で、韓国メディアによると、就職後1年以内に離職する韓国人が3～4割に上るという。「事務職のはずが、実際は市場での野菜の積み降ろしだった」。釜山市の男性（28）は2月、横浜市の青果卸業者に入社しわずか1週間で退職した」
「社長に説明を求めると、採用時の「裏事情」を打ち明けられた。社長は、仲介業者から「事務職で募集すればビザが取りやすい」と助言され、うその業務内容を掲げて募集した。日本の入管難民法は「技能実習」を除き、野菜の積み降ろしのような単純労働を外国人に認めておらず、就労ビザの対象を「高度人材」に限っているため」
「北九州市の会社に就職した釜山市の別の男性（27）は、休暇が取りにくいことなど職場への不満から9カ月で辞めた。本当は早々に辞めたかったが、韓国の仲介業者から3カ月以内に辞めたら罰金約20万円を支払うよう言われていたため、我慢したという」
「早期退職を理由に『罰金』を取るのは韓国でも違法。男性は『就職先は政府系の就職情報サイトで見つけた会社だし、仲介業者も株式上場企業なので信用したのに』と憤る」
「日本に若者を送り出す側にも課題がある。韓国の人材を日本企業に紹介しているホスピタブル（福岡市）の松清一平社長は「韓国の一部の大学などが学生を“押し売り”するような実態もある」と打ち明ける。松清社長が問題視するのは、韓国政府が力を入れる海外就職支援事業「Kムーブスクール」だ。韓国の大学や専門学校と提携し、語学研修費など学生1人当たり約80万円を各校に支給する制度。朴槿恵前政権時代に始まり事業費は年間約30億円に上る」
「同制度は提携時に学校側へ支援金の7割が支給され、残り3割は学生の就職実績などによって「成功報酬」のような形で支払われる仕組みだ。一部の学校は支援金目当てに学生の希望や資質に合わない業種でも就職を勧め、失望した学生が早々に会社を辞める構図が生まれているという」
「松清社長は日本企業に対しても「人手不足だからと安易に外国人を雇用するのは誤り。業務マニュアルや社員教育制度など外国人人材の受け入れ体制を整えた企業は、日本人社員の定着率も高い』とくぎを刺す」
「韓国で日本企業へ活路を求める若者が急増しているのは、就職難だけが理由ではない。韓国では2010年ごろから、就職難と低所得を理由に「恋愛・結婚・出産」を放棄する若者が増え「3放世代」と呼ばれた。以降も「人間関係・マイホームの購入」が困難な「5放世代」、「夢・希望」も諦めた「7放世代」へと深刻度を増している。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率は世界最低水準で1.07、18年に「1」を割り込む見通し」
「17年の大統領選でも若者を取り巻く厳しい社会状況が争点になった。朴槿恵前大統領の雇用施策を批判し、若者の圧倒的支持を得て当選した文在寅大統領は就任後、最低賃金引き上げなどの施策を打ち出した。だが、逆に企業が採用数を絞り込む悪循環を生み、直近の支持率は5割前後に低迷。特に20代男性の支持率が急落」
「韓国は日本以上に受験競争が激しく、大企業志向も強い。調査会社が発表した18年の大卒新人の年間平均給与は大企業約400万円に対し、中小企業約270万円。中小は昇給も望めず、人手不足から長時間労働を強いられるなど負の印象が強いという。大学関係者によると「教育費にお金をかける親の期待も大きく、中小企業に入るなら日本など海外で就職する方が箔が付くとの考え方もある」
「韓国の大学の就職支援担当者によると、学生は大企業の入社試験に失敗すると、大学院に進んだり、留学や専門学校に入り直して資格を取得したりして次の機会を目指す。男性は約2年間の兵役があり、日本ほど「新卒」重視の傾向はないが、就業しないまま30歳近くになり、結局、中小企業に就職する人も多いという」
「外国人の就労について現行の入管難民法は教育や経営、法律、科学技術などの「高度人材」に限って認めている。韓国人の多くは通訳や海外取引を担う「技術・人文知識・国際業務」の高度人材として在留資格を取得している。日本の技術を習得して母国に持ち帰る目的の「技能実習」を除き、単純労働は認められなかったが、来年4月1日施行の改正入管難民法は単純労働分野にも門戸を開く」
（以上引用記事より）
来年4月1日施行の改正入管難民法という新たな制度が今後の日本社会に与える影響を長期的観点から十分に検討しつつ慎重なマッチングを第三者的視点で監視することこそが成否の鍵となるのではないだろうか。日本で人手不足が深刻な業界が求めている人材と、韓国の若者が日本での就職で期待している職種は、彼らの「離職率の高さ」からもわかるように、双方が一致していないことが多い、というのが現実なのだ。
百年前、官製あるいは民間斡旋によって日韓併合時代に自発的に日本に出稼ぎで働きに来た朝鮮半島出身の「自称徴用工」問題が、元々内包していた「外国人の単純労働者を抱えることの難しさ」を隣国との正常な関係（距離）をとる上での教訓と考えて、緻密でかつ慎重な運用が必要であることはいうまでもない。
（注）合計特殊出生率：15～49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、次の２つの種類があり一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当。
Ａ「期間」合計特殊出生率：ある期間（１年間）の出生状況に着目したもので、その年における各年齢（15～49歳）の女性の出生率を合計したもの。女性人口の年齢構成の違いを除いた「その年の出生率」であり、年次比較、国際比較、地域比較に用いられている。
Ｂ「コーホート」合計特殊出生率：ある世代の出生状況に着目したもので、同一世代生まれ（コーホート）の女性の各年齢（15～49歳）の出生率を過去から積み上げたもの。「その世代の出生率」である。
引用：
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/476103/
https://biz-journal.jp/2018/10/post_25143.ht
http://news.livedoor.com/article/detail/15813934/
https://japanese.joins.com/article/649/248649.html?servcode=300§code=300&cloc=jp|main|inside_right
コメント
ブログの初めから終わりまで読ませていただきましたが、不勉強なためによく分からないところが多いことで、的外れなコメントになってしまうかもしれませんことをお許しください。
日本人の出生率が低くてこれからだんだん人口が少なくなっていくことはよく聞かされていましたが、韓国はそれよりももっと低いということは初めて分かりました。
日本の低さは若い人たちの意識が変化してきていることもあるとは思いますが、生活をやっていくこと、子どもの教育などにあまりにもお金が掛かりすぎるからっていうこともあるような気がいたします。
そして、このことは日本に限らず韓国にも当てはまるのではないのかなって思うのです。
2018/12/31(月) 午後 8:50 [ weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼) ]
韓国の若い人たちの失業率が高いのは、本当に仕事自体が少ないためなのかどうか分かりませんが、日本で就職する若者が増加しているということは、時間とか人間関係のことについては分かりませんが、少なくとも金銭的なことについては日本の方が条件がいいからっていうことなのでしょうか…？
ただ、わたしとしては、国を離れ、親元を離れてやって来る韓国のみなさんを陰ながら応援していって上げたいなって思います。
2018/12/31(月) 午後 8:51 [ weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼) ]
> weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼)さん
こんばんは。コメントをありがとうございます。泣いた赤鬼さんは優しい方なので、韓国の若者を応援して上げたいお気持ちはわかります。基本的に日本の入管法はこれまで単純労働の就労ビザを認めていなかったため、「技能実習生」や「語学留学生」と称しての不法就労の不法在留者が増えていますが、不法在留外国人の国籍別で、韓国人がトップ、しかも国外退去（帰国）を促すよう在日韓国大使館に要請しても、帰国が進まないという状況であることも報じられていました。
来年４月からスタートする改正入管法の枠も、専門技能を有さない「１種資格」の外国人は5年が在留期間の上限ですね。しかし５年後にもし彼らが帰国したときに果たして韓国社会が彼らを喜んで迎え入れるとは思えません。
2018/12/31(月) 午後 10:28 kamakuraboy
現在の「在日問題」の根っこも、朝鮮戦争の時に逃げてきた彼らを当時の朴正熙大統領が受け入れず「棄民」したことが原因です。従って北朝鮮政府及び朝鮮総連と日本政府の三者の協力で（小泉純一郎元総理のお父さんの小泉純也氏などが中心となって）北朝鮮にのみ「帰還事業」が行われたわけです。
現在の「自称徴用工」問題での日韓感情の最悪の状況で、百年前のこと、６５年の日韓基本条約の中身などを韓国の若者がきちんと正しい歴史教育をしてもらってからでなければ難しい事態、双方に悲劇的なことが起こる可能性もあるのではないでしょうか。
2018/12/31(月) 午後 10:36 kamakuraboy
> kamakuraboyさん
＞ 現在の「在日問題」の根っこも、朝鮮戦争の時に逃げてきた彼らを当時の朴正熙大統領が受け入れず「棄民」したことが原因です。
→ わたしが小さかった頃、東北高校に波山次郎というピッチャーがいて甲子園大会で準決勝まで行きました。
波山投手はその後、プロ野球の大洋ホエールズ（現在の横浜）に入りましたが、程なく北朝鮮に渡ってしまいました。
当時、北朝鮮にはたくさんの人たちが帰っていったのに、韓国のお話が聞かれなかったのにはそのようなことがあったんでしたか。
＞ （小泉純一郎元総理のお父さんの小泉純也氏などが中心となって）北朝鮮にのみ「帰還事業」が行われたわけです。
→ 小泉純一郎元総理が北朝鮮に行って何人かの拉致被害者を連れ帰ってくることができたのにも、もしかするとこのような伏線があったためかも知れませんね…？
2019/1/1(火) 午前 9:04 [ weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼) ]
kamakuraboyさん、
あけましておめでとうございます。
元朝鮮半島労働者の代理人が新日鐵住金に対する在韓資産の差し押さえの意向のようですが当面は状況を見守るとのことです。三菱重工はすでに撤退しているようですね。
いずれにしてもこのまま推移すれば70社もの日本企業は撤退しますから韓国経済は厳しさが増しますね。
サムソンは近年半導体以外はシェアがダウンしており、身から出た錆とはいうものの文大統領の支持率も５割を切り見放されてきた様子です。
日本政府はこれまでのような助け船は出さないので今年は韓国の就職難は加速し指摘されている危惧があたってしまいそうです。韓国人労働者の受け入れには相互に十分な注意が必要です。
2019/1/1(火) 午前 9:04 泉城
> weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼)さん
おはようございます。コメントをありがとうございます。
あけましておめでとうございます。昨年はありがとうございました。今年もよろしくお願い申し上げます。
1950年代から84年までの間に行われた朝鮮半島出身者の北朝鮮への帰還事業のことは
ネットにもいろいろ出ています。その当時の韓国は（日本が残してきた工場が多かった北朝鮮に比べ）朝鮮戦争による国土の荒廃で工業化が遅れ、北より貧しい社会だったようで、「受け入れ」には消極的だったそうです。貧富についていえば今と全く逆だったようです。
現在の韓国社会と北朝鮮とは、ある意味で本来彼ら自身が本当に協力し合って祖国統一出来るかどうかという重要な時期なのかもしれませんが、北朝鮮の核放棄がなければ国連決議による北朝鮮への経済制裁が解除されないため、「南北鉄道」などの事業にひとつでも、韓国の力では無理だと思えますね。
2019/1/1(火) 午前 11:13 kamakuraboy
韓国の若者は個人個人で日本に出稼ぎに来るよりも、国家として一丸となって「汗を流して」祖国や同じ民族同士に対する貢献を真剣に考えるべきだと思います。そうでなければこの先は、日本に併合された屈辱の歴史以前の中国の属国に戻るか、ロシアの南下政策による侵略がいずれ現実のものとなるのではないかと。
2019/1/1(火) 午前 11:14 kamakuraboy
> 泉城さん
おはようございます。コメントをありがとうございます。
あけましておめでとうございます。昨年はありがとうございました。このブログを1年間続けて来れたのも、泉城さんが「コメント」第1号を下さって、それから1年間しばしばいろいろと示唆に富む内容のコメントを書いて下さったおかげです。次々と問題意識が喚起されて、調べてみようと思う事柄が沢山出てきたことが大きかったです。
現在の我々日本人に直接関係のある近現代史のみならず、古代の日本のようすなどをいろいろと想像したり、泉城さんがご自身のブログで説明しておられる「多元的古代史」を知るきっかけとなった1年でした。今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
2019/1/1(火) 午前 11:34 kamakuraboy
> 泉城さん
この記事は4月から始まる改正入管法の問題として、「マッチング」（実際に双方が仕事の中身に関し納得しての契約に基づくものであるべきという点で）の重要性を「自称徴用工」問題などと感じておりまして、西日本新聞の記事をそのまま引用して書きました。
日本に職を求めてやってくる韓国の若者が2年間で3割も増えたということですし、「（経済の悪化から）今年は韓国の就職難は加速」を考えても、「韓国人労働者の受け入れには相互に十分な注意が必要」ですし日本企業も丁寧にきちんと適性などの審査を行った上での対応とフォローをすべきで、安易な受け入れはすべきではありませんね。
2019/1/1(火) 午前 11:38 kamakuraboy
> kamakuraboyさん
＞ そうでなければこの先は、日本に併合された屈辱の歴史以前の中国の属国に戻るか、ロシアの南下政策による侵略がいずれ現実のものとなるのではないかと。
→ とのことですが、
まだまだ自国の広い領土を開発する余地のある中国やロシアが、侵略や戦争などといった大きなコストを払ってまで、また、世界中からの避難を受けてまでそのようなことができるのかなってとても信じることができませんが…
2019/1/1(火) 午後 4:27 [ weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼) ]
> weeping_reddish_ogre(泣いた赤鬼)さん
確かに仰る通りですね。しかし現代の国際社会では武力による侵略が侵略とは限りません。
今日の朝鮮日報の中で、韓国の人自身が恐れていますよ「中国は韓国に対して、まるで親が子を訓戒するかのように接し、朝貢関係の復活をもくろんでいる。」「相次いで中国に主導権を奪われる韓国の主力産業」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/01/01/2019010180014_3.html
北朝鮮に関しては「中国と北朝鮮とロシアが国境を接する図們江デルタ地帯にある羅先特別市の港をめぐる中ロの駆け引きとして、羅津港に3つある埠頭のうち、ひとつをロシア（1番南側）もうひとつを中国（北側）が租借」ロシアに港を租借する期間は2015年から50年間だそうです。
「この3カ国デルタ地帯は、最近少しずつ中ロ両国がインフラ投資を始めている」そうです。
2019/1/1(火) 午後 6:25 kamakuraboy
北朝鮮は経済制裁による外貨の枯渇で、自国海域の漁業権を中国に売却し、「そうでなくても乏しい食糧資源を犠牲にしている。場所は、北朝鮮と韓国の日本海側と黄海側の限界線、北朝鮮沿岸の領海で、売却金額は７千５百万ドル（約７６億円）」
「この措置により、中国漁船が従来の三倍の1500隻が北朝鮮沿岸に入り込み、殆どがトロリー漁法で、種の保存や環境保全を無視して稚魚まで根こそぎ乱獲することで知られている」など。
歴史は繰り返されるではありませんが、中国やロシアの影響が強い北朝鮮だけだはなく、在韓米軍が仮に撤退すれば韓国もどうなっていくかわからないと思いませんか。
2019/1/1(火) 午後 6:29 kamakuraboy
