トランプ前米大統領の娘婿で、大統領上級顧問を務めたクシュナー氏と、同じくトランプ政権下で中東担当特使だったアビ・バーコウィッツ氏が、ノーベル平和賞の候補に推薦されたと報じられている。
「2020年にイスラエルとアラブ諸国との国交正常化、いわゆる『アブラハム合意』に貢献したことが評価された」のだそうだ。
「アブラハム合意」とは、米国仲介によるイスラエル・湾岸アラブ二か国の国交樹立のことで、8月15日にイスラエル・UAE間で国交正常化を合意し、バハレーンがこの合意に参加して2020年の9月15日、ワシントンでイスラエル・アラブ首長国連邦(UAE)・バハレーンの三か国間の和平合意に関する共同声明が発表されたことをさす。
「名称の由来は、ユダヤ教、キリスト教、イスラームの三宗教の共通の祖先アブラハム(アラビア語でイブラヒーム)にあることに由来するのだそうで、1948年のイスラエル建国以降、四回にわたる中東戦争があったが、UAEとバハレーンはこれまでイスラエルと直接戦闘を交えたことがなかったそうだ。
これによりイスラエルと湾岸二国間での完全な国交正常化、経済・技術協力、コロナ対策協力、直行便の就航等が可能となった、とある。サウジアラビアなどもこの合意に対して実質賛同の立場と考えられている。
「UAEの真の目的は高性能の武器購入であり、12月までには米国から最新鋭ステルス戦闘機F35を購入予定で、湾岸アラブ二か国がイスラエルの高度な技術(監視技術を含む)の導入を期待する一方、イスラエルは地域内における立場の強化、湾岸アラブ諸国との経済関係の発展およびアジア諸国への空路を期待している、一方で国際社会から非難されてきたイスラエルの「西岸併合問題」や占領の継続問題は放置され、対イランでの戦略的同盟の成立と位置付けられている。
大統領ではなく、娘婿で大統領の上級顧問であった人物が「ノーベル平和賞候補者」となるというのは不思議な話なのではあるが、これはつまりトランプ大統領本人ではなく「大統領の上級顧問」を務めていたクシュナー氏がトランプ政権の中東政策のキーパーソンであったということを意味している。
メキシコ国境
■「不法移民の国外退去」を凍結させる大統領令の背景にあったもの
バイデン大統領(仮)が大統領として執務初日から、いきなり「不法移民の国外退去を100日間凍結する」という大統領令を出して、多くの米国人を驚かせ、特にテキサス州のパクストン司法長が、この大統領令は違憲だとし、同州南部地区連邦地方裁判所に仮差し止めを請求し、1月27日にその請求が認められた、というニュースがあった。
なぜバイデン氏はいきなり「不法移民の国外退去を100日間凍結」という大統領令を出したのか?
実はその背景に、バイデン政権発足初日である1月20日に、全米の1100人以上のユダヤ人聖職者が集まって、バイデン政権と第117回議会に、「難民と亡命希望者の権利と安全に取り組むことの緊急性」を要求するという動きがあったようです。
全米の1100人のユダヤ人聖職者の要求は以下のような内容。
2021年1月20日私たち、ラビ、カンターズ、そして全米のユダヤ人聖職者は、バイデン政権と新しく選出されたすべての役人に、難民と亡命希望者の権利と安全を確保するために緊急に行動するよう呼びかけます。私たちの伝統は、他人の命を救うこと以上の義務はないことを教えています。人類史上最大の難民危機に直面し、私たちはその使命を真剣に受け止め、ジェノサイド、拷問、迫害、戦争から逃れている人々の権利、安全、そして命そのものに対する声を上げています。私たちの国は、米国の安全へのすべての道をひどく傷つけた最後の政権の政策に取り組むために迅速に行動しなければなりません。 これらの政策は、米国の難民第三国定住プログラムと庇護制度をほぼ全滅させた。彼らは、米国とメキシコの国境を含む無数の人々に対する基本的人権を否定しました。この被害に対処するには、単に政策を逆転させるだけでは不十分です。難民と庇護の保護システムの改革、再発明、近代化に焦点を当て、一人一人を公平かつ思いやりをもって扱うことを目標としています。過去の世代では、私たちの家族の多くはアメリカで安全と自由を見つけました。それでも、私たちはまた、非常に必要なときにドアが閉まるのを見てきました。米国が再び難民を歓迎し始めているので、私たちはあなたのパートナーになることを誓います。ユダヤ人の指導者として、私たちの多くは証言のために国境を訪れ、空港や収容所の外で抗議し、地元の連合や組織を構築し、地域社会や若者を教育し、声を広めました。すべてのレベルで選出された役人に。今日、アメリカのユダヤ人コミュニティは、難民の権利をめぐる闘争が、私たちが抱く他の価値観と結びついていると考えています。私たちは、この国を癒すためのあなたのパートナーになることをお約束します。私たちがこの国で生まれたのか、ここに移住したのか、私たち自身が難民であるのか、難民の孫であるのかに関わらず、私たちは「見知らぬ人を歓迎する」という他者の人類を守るために団結しています。私たちは、難民と庇護政策に人類を回復することへのあなたのコミットメントと、現在の差し迫った緊急性を認識してくれて感謝します。ユダヤ人の指導者として、私たちは心と扉を開いたままにし、難民や亡命希望者を新しい隣人や友人として歓迎するためにあなたと協力することを誓います。
以上の様な内容の要求書がバイデン氏と117回議会に対して出されていたということです。
これが意味していることは、ユダヤ人聖職者らが、メキシコ国境から米国を目指してくる不法移民の誰彼でも、区別なく移民として平等に無制限に受け入れるならば自分達はバイデン政権を支持する、といっているわけです。
普通に考えれば、テキサス州のバクストン司法長官が指摘しているように、このようなことを認めれば、米国国民の生存権の方が脅かされかねず、「違憲」であることは明らかであるのに、バイデン氏は真っ先に「不法移民の国外退去の凍結」を行おうとしていた。
そのことが意味しているのは、バイデン政権誕生の背後に米国国内のユダヤ人聖職者を含めたユダヤ人勢力の後押しがあったということなのだろうか。
バイデン政権による不法移民の国外退去凍結について違憲とする仮差し止めの請求が認められましたか。
これとともに、やっと最高裁は、不正選挙に関するトランプ側の訴訟を受けつけ始めたようですね。
弾劾裁判も却下されましたし、今後はトランプ大統領のいう「不思議な旅」がどのような展開をみせるのか楽しみです。
現地時間の25日にフロリダで保守陣営の米国最大のイベントであるCPACがあり、最後にトランプ大統領が登壇して演説するそうです。大統領の移行期間は60日なので、3月20日までに新たな動きがあるにではないかと予想されています。