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日本人として日々の暮らしの中で思うこと、知りたかったこと

アマゾンの熱帯雨林火災はなぜ起きてしまったのか

2019-09-25 03:04:36 | 科学
現在地球規模の環境問題として最も深刻なのが南米のアマゾンの森林火災で、想像以上の勢いで森林面積を焼失しているらしい。

参考:

「南米アマゾン川流域の60%はブラジル国内にあり、アマゾン川の一帯の世界最大の熱帯雨林は固有の植物種・動物種が多数育まれており、生物多様性の宝庫と考えられ、密度の高い原生林は、気候変動の最大の要因と考えられている温室効果ガスの二酸化炭素を膨大に吸収しており、科学者らによれば「アマゾン熱帯雨林の保全が地球温暖化対策に必須である」と考えられてきた。



熱帯雨林であるアマゾンのジャングルはカリフォルニア州の極度に乾燥した山林(注)とは違って、火災が起きても手に負えなくなるような事態はこれまでならば起きなかったのである。


現在、消火活動による鎮火が出来ずに大規模火災が続いている原因は1970年代から始まった「森林伐採」によってアマゾンの生態系が変化し、枯葉が増えたことが要因らしい。以下は、米国フロリダ大学の生態学者エミリオ・ブルーナ博士による「熱帯雨林アマゾンの生態系の変化がどのようにして起きたか」についての解説。

引用元:


■「エッジ効果」
「森林伐採によって熱帯雨林と人間が住む土地の境界部分で農業が行われ、農地や牧草地に囲まれた熱帯雨林がいくつもの小さな島のように分割されてそれぞれが孤立化し、島のように孤立した熱帯雨林での生態系の変化で、枯葉が増えてしまった


「熱帯雨林の周縁部の環境は大きく変化する。木々の生い茂るアマゾンの奥地は暗く湿度が高いが、農地などと隣接する“へり”の部分では湿度が大幅に低下。気温も急上昇し、湿度が下がって菌類が減り、落ち葉などの分解が進まなくなり、残されたものが乾燥して枯れ葉となったことで火災が燃え広がりやすい環境が生まれていた」


「同時に熱帯雨林の周縁部では樹木などの植生も変わり、十分な量の水がないため大きな木は枯れて倒れてしまい、熱帯雨林のなかに巨大な空間が生まれ、この空間に新しい植物が侵入。具体的には樹木の密生の度合いが低くなり炭素の蓄積量も減少。こうなると生態系が変化し、植物の在来種が死に絶えてしまう事態がおきる」


「これは生態学では『エッジ効果』と呼ばれ、特定の区画が孤立化しなくても、例えばアマゾンのどこかに道路を1本通すだけで、境界部分は外部からの影響を受け、道路の数が増えるにつれ変化は進行。トラックのドライヴァーが窓から投げ捨てた1本のたばこが大火災にまで発展するような状態になっていた」ということのようだ。


「ジャングルのパラドックス」
現在起きている火災の主な要因は、言うまでもなく焼き畑。熱帯雨林の開拓では、まずは余分な木を伐採し、乾燥するまで放置してから焼却する。そして“裸”になった土地で、大豆などの商品作物を育てるのであるが、実はこうして切り開いた農地はなぜか土地が痩せているため、焼き畑を定期的に繰り返さなければならないそうで、これを「ジャングルのパラドックス」と呼ぶそうなのだ。


「楽園の庭のようなアマゾンの熱帯雨林を見れば、何を植えても簡単に育つに違いないと考えてしまいがちであるが、熱帯雨林は数千年という長い時間をかけて植物を育む上での効率的なメカニズムを構築し、ここまで成長してきたのである」


「木を燃やせば作物の肥料になる灰ができるが、土壌の栄養素などは燃焼の過程で失われ、結局は貧弱な土地しか残らなず、その土地はすぐに農地としては使い物にならなくなり、新たな土地を求めて熱帯雨林を焼き払うという悪循環が生まれ、あっという間に、緑豊かな熱帯雨林が完全に非生産的な牧草地になってしまった」


■アマゾンが温室効果ガスの排出源になるという悪夢
「アマゾン川流域の熱帯雨林の破壊は、組織的かつとどまるところを知らず、火災の燃焼過程でCO2が生じるばかりでなく、森林が失われればそこに溜め込まれていたCO2が大気中に放出されるという事態にもなる」らしい。


「アマゾンの場合、熱帯雨林が失われれば、火災が起きていないときでも地域全体で見て温室効果ガスの排出源になってしまう可能性がある」のだそうだ。「熱帯の河川や湖には人間と同じようにCO2を出す生物がたくさんいて、熱帯雨林がなければCO2を閉じ込めておくことは出来ない」ということらしい。


アマゾンの熱帯雨林で続く森林火災への対応で国際社会からの批判が相次ぐ中、ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は8月29日に「60日間の野焼き禁止令」を公布。


しかし、アマゾン地域では今年、違法活動の監視を担当する機関が弱体化されたことを背景に森林伐採が急増。人里離れた地域で60日間に渡る禁止令を実際に施行できるのかを疑問視する声が既に上がっているらしい。アマゾンでは今も連日数百件の火災が新たに発生しており、その様子を衛星画像でとらえたのが下のような写真。

NASAがウェブサイト「Earth Observatory」で8月26日に公開した南米の森林火災を捉えた衛星画像(2019年8月15~22日観測)そのままお借りしました。オレンジ色の部分が火災発生場所、都市部は白、森林は黒、サバンナ気候地域は灰色を表しているそうだ。




国連総会の「気候行動サミット」の中で、スウェーデン人の環境活動家のグレタ・トゥーンベリという16歳の少女が「気候変動問題について行動を起こしていない」として各国首脳を非難。自分をにらみつけた少女に対しトランプ大統領は「からかいの言葉」を ツイッター上でつぶやいていた。彼は米国ファーストを唱えて大統領になった人物であって地球規模のことを考えるリーダーではないし、そのような人物こそが大国のリーダーとして望まれるのではあるが、彼女も言うように、それぞれの国が自国の経済の問題にばかり目を向けている状況では対策も遅々として進まず、アマゾンの森林火災の問題もブラジル一国だけでは解決困難に陥っている。


海水温の上昇で、大型台風の被害などが甚大化している昨今、気候変動の大きな要因とされる温室効果ガスの問題への取り組みについては特に是非、日本の経産大臣や環境大臣らに世界の先頭に立ちリーダーシップをとって頂きたいのではあるが、あの環境大臣はちょっと軽すぎ(注)のようだ。

参考:


(注)
昨年の8月の米カリフォルニア州の山火事は同州北部メンドシーノ郡周辺の2か所で続いていた火災は同州史上最大の山火事で、2か所の火災の総称「メンドシーノ・コンプレックス(Mendocino Complex)」によって11万4850ヘクタールが焼失。焼けた面積はほぼロサンゼルスの面積に相当。この火災の原因は高気圧が気温の上昇と乾燥した強風をもたらしたためであったそうで、その後11月にも再び米国カリフォルニア州で発生した大規模な山火事による犠牲者は、北部だけで88人と過去最悪。人口2万6000人のこの街は、山火事でほぼ全て焼失。

(注)引用元よりそのまま転載:
「ロイター通信は、アントニオ・グテーレス国連事務総長が、温暖化進行の最大の原因である石炭火力発電を止めるよう呼びかけていることに言及。日本がG7諸国の中で、唯一、石炭火力発電を国内外で増やそうとしていること、またアジアでの石炭火力発電事業に資金協力していることを指摘した。その上で『それにもかかわらず、小泉環境大臣は(世界の温暖化防止の取り組みの中で)私達は強力な行動と強力なリーダーシップを取りたい、と発言している。なんの具体策もなしに』と皮肉っている。気候行動サミットで、小泉環境大臣が発言の機会を与えられなかったのも、日本政府が温暖化対策に対し、抜本的な対応策を用意してこなかったからであろう」などとこき下ろされている始末。


小泉大臣は日本の環境大臣としての立場での準備が出来ておらず、就任早々墓穴を掘りつつ、第四次安倍第二次改造内閣のアキレス腱になりそうな雲行き。




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大気汚染 (泉城)
2019-09-26 19:06:07
kamakuraboyさん
こんばんは
先日、2019年気候行動サミットが開かれて2050年までの温室効果ガスを実質排出ゼロにするなどの目標が示されましたが、ガスを大量に放出している中・米などの国が努力していない状況ではかけ声倒れです。日本がイニシアティブをとれないのは残念です。
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こんばんは (kamakuraboy)
2019-09-26 21:32:35
コメントをありがとうございます。今朝もニュースで、日本海の海水温が1度上昇した影響で北海道の道南でブリの漁獲量が急増し、一方でスルメイカの不漁が深刻になるなど漁業にも影響が出始めているようですね。

温室効果ガス削減目標に逆行するように、日本では原発事故以来、石炭火力発電所の新設が増え、2012年以降で50もの新設や増設が計画されているそうです。

環境保護活動家らの抗議デモの参加者らが、NYで石炭バケツの上に立つ笑顔の安倍晋三首相を模した高さ4メートルの風船を掲げ「石炭はいらない」と抗議デモを行って、小泉環境相の例の発言を受けて「石炭ほどセクシーじゃないものはないと言いたい」と皮肉っていたそうです。

日本も明確なビジョンの下に、何を優先させるのかという決断が迫られているようですね。
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