更なる大物を求めてしゃくり続けるが、時合いは既に終わりつつあり、あたりが遠のいていった。
赤魚さんとの待ち合わせも有るので、ゆっくりと合流ポイントに移動しながら、所々ポイントを叩いていく。

このあたりでは移動がメインになってきたので、パドリングのフォームを気にしつつ、ひたすら離されない様に漕ぎ続けた。
「少しまづいなあ」と思い始めていた。
変に力が入っているので、上半身のあちこちの筋肉が痛くなってきていた。
力で漕ぐのではないという事は判っているのだけれど、追いつかなくてはいけないという事も有り、どうしても力が入ってしまう。
時折Shuさんに漕ぎ方を見てもらいながら少しづつフォームを修正していった。
そうして振り返れば、出発地点からは遥か遠くの海域まで来ていた。
「あー帰りは大変な事になるなあ」容易に想像がついた。
パドリングがきつくなってくると、釣をしている間が休息時間に感じてきた。
のんびり釣りをしていると、必ずといっていいほど、行きたい方とは違う方向に流されているような気がしてくる。
被害妄想か。
そうしている間も風向きは刻々と変化し続けている。
Shuさんはそれを敏感に察知していたが、自分には気が付かない時もあった。
早めに気づく事が大事な事はいうまでも無いと思うけど、こう風が吹いたら、万が一に備えて岸に寄っておくという洞察力がないと命取りだ。
内地(主に本州ね)ではあまりそんな事は無いと思うけど、この360度広い海に囲まれた島では当たり前の事だ。
風が変われば雲も動く。
島の天気は気まぐれだ。
漸く赤魚さんのいる辺りに到着して、付近にステイしながら、リーフエッジを探っていく。
相変わらず魚信は無く、ぼんやり休みながら赤魚さんをさがした。
こう書いていくとカヤックは苦痛なのか?というふうに思うかもしれない。でもそれはNOだ。
正にやらない人には謎の部分かもしれない。
誰も居ない広い海上に浮かんでいる状態は最高に気持ちのよいものだ。
パドリングさえ覚えてしまえば、移動も楽しいツーリングだ。
こう考えると判りやすいかもしれない。
何で山に登るのだろうか?
とか
何でバイクで走り回るのかとか・・。
釣り好きでバイク好きの人は多いので判ると思うけど、バイクは単なる移動の手段ではないので、走っているだけで楽しいし、これから遠くにツーリングに行くぞ!と思った時から気持ちのテンションは上がる訳で、カヌーでもそれはまったく同じなのだ。
山に登るのは疲れるけれど、頂上にたどり着いた時の感動と、景色の素晴らしさを体験している人は、やはりまた山に登りにいくのだろう。
疲れるから楽しくない・・・は頭で考えている時の単なる妄想なのだと思う。
よく、カヤックに動力を付けたら楽で良いのではないかという話が出る。
自分でもそう考えた時があったけど、やってみて感じたのは、それはまったく意味の無い事だった。
バイクではなく車で行けば楽でよいのでは?とか頂上までヘリで行ったら簡単だよって言うようなもので、そこにはまったくやる意味が無い事になってしまうからだ。
何が楽しいかは人それぞれだけど、基本的に変わらないのは、結果だけではなく、プロセスを楽しむという事。
挑戦して、失敗して、考えて、克服して、結果が出る。
このプロセスを抜きにして結果だけ求めても、心は本当に満足しないのではないだろうか。
きつくてしょうがない移動が続き、もう余分な力を入れる余裕もなくなってきて、パドリングのフォームも自然なものになって来たような気がした。
力を入れないのではなく、入れられないから自然に無駄がなくなっていく。
カヤックが海面を滑るような感じが少しつかめたような気がした。
遠くに見えるのは赤魚さんか?
姿を確認して、少し元気が回復してきた。
風は相変わらず向かい気味なので、根気よく漕がないと追いつけない。
やっと追いついて一緒に釣りが出来る頃にはヘロヘロだったけど、二人が釣りをしているからには、ほってはおけない。
赤魚さんお勧めタマンゾーンに入る頃には、そこそこ魚の活性も上がっていて、楽しい釣りが出来た。

タマン、ガーラに根魚をみんなでぽつぽつ拾いながら、リーフエッジを釣り進んだ。
二人とも進むスピードが速い。
あ”~もうあんな所に!

必死なんだけど、その先には更に遠くに出発地点がなんとなく見える。
ここで使い切る訳にはいかないのだ。
来た以上は帰らなくてはいけない。
当たり前の事だけど、泣きが入る。
そろそろ時間なので赤魚さんと別れ、ゆっくりと帰途についた。
ここからはツーリングだ。
リーフの上を漕ぎながら珊瑚を見たり、北部の山並みが夕日に照らされるのが見えている。
最高のロケーションで贅沢なツーリングだ。
動力船なら10分もかからないのかも知れない。
そこをカヤックは歩くようなスピードで進んで行く。
スピードが速ければ得るものも有る代わりに、失う物も多いと改めて思い知る。
夕方の地合いで、リーフ内の海面も騒がしくなってきた。
飛び跳ねる魚を見物しつつ、無人の浜で暫く休憩。
更にのんびり漕いで出発地点に無事到着。
すっかり夕方だった。
「丁度全部使い切りました。」
無い余力で後片付けをしてShuさんと別れた。
途方も無い時間と努力をを必要とするカヤックによるジギングのポイント開拓をShuさんも赤魚さんも本気で楽しんでいるのが良く判ったし、何がそうさせるのかという魅力の一部も僅かながら体感する事が出来た夏の一日でした。
赤魚さんとの待ち合わせも有るので、ゆっくりと合流ポイントに移動しながら、所々ポイントを叩いていく。

このあたりでは移動がメインになってきたので、パドリングのフォームを気にしつつ、ひたすら離されない様に漕ぎ続けた。
「少しまづいなあ」と思い始めていた。
変に力が入っているので、上半身のあちこちの筋肉が痛くなってきていた。
力で漕ぐのではないという事は判っているのだけれど、追いつかなくてはいけないという事も有り、どうしても力が入ってしまう。
時折Shuさんに漕ぎ方を見てもらいながら少しづつフォームを修正していった。
そうして振り返れば、出発地点からは遥か遠くの海域まで来ていた。
「あー帰りは大変な事になるなあ」容易に想像がついた。
パドリングがきつくなってくると、釣をしている間が休息時間に感じてきた。
のんびり釣りをしていると、必ずといっていいほど、行きたい方とは違う方向に流されているような気がしてくる。
被害妄想か。
そうしている間も風向きは刻々と変化し続けている。
Shuさんはそれを敏感に察知していたが、自分には気が付かない時もあった。
早めに気づく事が大事な事はいうまでも無いと思うけど、こう風が吹いたら、万が一に備えて岸に寄っておくという洞察力がないと命取りだ。
内地(主に本州ね)ではあまりそんな事は無いと思うけど、この360度広い海に囲まれた島では当たり前の事だ。
風が変われば雲も動く。
島の天気は気まぐれだ。
漸く赤魚さんのいる辺りに到着して、付近にステイしながら、リーフエッジを探っていく。
相変わらず魚信は無く、ぼんやり休みながら赤魚さんをさがした。
こう書いていくとカヤックは苦痛なのか?というふうに思うかもしれない。でもそれはNOだ。
正にやらない人には謎の部分かもしれない。
誰も居ない広い海上に浮かんでいる状態は最高に気持ちのよいものだ。
パドリングさえ覚えてしまえば、移動も楽しいツーリングだ。
こう考えると判りやすいかもしれない。
何で山に登るのだろうか?
とか
何でバイクで走り回るのかとか・・。
釣り好きでバイク好きの人は多いので判ると思うけど、バイクは単なる移動の手段ではないので、走っているだけで楽しいし、これから遠くにツーリングに行くぞ!と思った時から気持ちのテンションは上がる訳で、カヌーでもそれはまったく同じなのだ。
山に登るのは疲れるけれど、頂上にたどり着いた時の感動と、景色の素晴らしさを体験している人は、やはりまた山に登りにいくのだろう。
疲れるから楽しくない・・・は頭で考えている時の単なる妄想なのだと思う。
よく、カヤックに動力を付けたら楽で良いのではないかという話が出る。
自分でもそう考えた時があったけど、やってみて感じたのは、それはまったく意味の無い事だった。
バイクではなく車で行けば楽でよいのでは?とか頂上までヘリで行ったら簡単だよって言うようなもので、そこにはまったくやる意味が無い事になってしまうからだ。
何が楽しいかは人それぞれだけど、基本的に変わらないのは、結果だけではなく、プロセスを楽しむという事。
挑戦して、失敗して、考えて、克服して、結果が出る。
このプロセスを抜きにして結果だけ求めても、心は本当に満足しないのではないだろうか。
きつくてしょうがない移動が続き、もう余分な力を入れる余裕もなくなってきて、パドリングのフォームも自然なものになって来たような気がした。
力を入れないのではなく、入れられないから自然に無駄がなくなっていく。
カヤックが海面を滑るような感じが少しつかめたような気がした。
遠くに見えるのは赤魚さんか?
姿を確認して、少し元気が回復してきた。
風は相変わらず向かい気味なので、根気よく漕がないと追いつけない。
やっと追いついて一緒に釣りが出来る頃にはヘロヘロだったけど、二人が釣りをしているからには、ほってはおけない。
赤魚さんお勧めタマンゾーンに入る頃には、そこそこ魚の活性も上がっていて、楽しい釣りが出来た。

タマン、ガーラに根魚をみんなでぽつぽつ拾いながら、リーフエッジを釣り進んだ。
二人とも進むスピードが速い。
あ”~もうあんな所に!

必死なんだけど、その先には更に遠くに出発地点がなんとなく見える。
ここで使い切る訳にはいかないのだ。
来た以上は帰らなくてはいけない。
当たり前の事だけど、泣きが入る。
そろそろ時間なので赤魚さんと別れ、ゆっくりと帰途についた。
ここからはツーリングだ。
リーフの上を漕ぎながら珊瑚を見たり、北部の山並みが夕日に照らされるのが見えている。
最高のロケーションで贅沢なツーリングだ。
動力船なら10分もかからないのかも知れない。
そこをカヤックは歩くようなスピードで進んで行く。
スピードが速ければ得るものも有る代わりに、失う物も多いと改めて思い知る。
夕方の地合いで、リーフ内の海面も騒がしくなってきた。
飛び跳ねる魚を見物しつつ、無人の浜で暫く休憩。
更にのんびり漕いで出発地点に無事到着。
すっかり夕方だった。
「丁度全部使い切りました。」
無い余力で後片付けをしてShuさんと別れた。
途方も無い時間と努力をを必要とするカヤックによるジギングのポイント開拓をShuさんも赤魚さんも本気で楽しんでいるのが良く判ったし、何がそうさせるのかという魅力の一部も僅かながら体感する事が出来た夏の一日でした。