鑑識の井生によると、咲村の死因は頸部圧迫による窒息死。
『背後から首を絞められてますね。しかも、相当な力のようです』
『殺人・・・と見て間違い無いかと』
井生はそう言いながら、その場なら離れようとしたが、不意に立ち止まり
『短絡的ではなく、殺意を持った人間でないと、ここまで強く締め付けることはないと思います』
井生はそう言い残して現場を去っていった。
赤賀は井生の言い残した言葉をじっくりと考えていた。
(そこまで咲村に対し殺意を抱く人間とは・・・)
自分の中で少しずつこの事件に対する、解決の糸口が見つかりかけていたが
今回の咲村殺害で、少しずつそれが揺らぎ始めていた。
顎に手をやり、少しだけ俯き、赤賀は自分の中の情報を整理しようとしていた。
気づけば数分間同じ体勢、同じ格好で過ごしていた。
その様子を見ていた石原が、赤賀に声を掛けた。
『私は咲村は多加田殺害の犯人では無いと思っていました。でも、まさか殺害されるとは思ってもいませんでしたよ』
『もちろん、多加田殺害事件と今回の咲村殺害事件が関連があるか無いかは分かりません。
ひょっとしたら全く別の案件、別の事件に巻き込まれただけかも知れませんし』
『ただ、もしも多加田殺害と咲村殺害に関連があるとしたら、不謹慎ですが解決の糸口的な何かがあるんじゃないですかね?』
赤賀は石原の慰めにも似た口調に、フッと肩の力が抜け、顎にやった手をスッと下ろした。
そして
『そうだよな。我々が呼ばれたからと言って、咲村殺害と多加田殺害が関連があるとは言い切れないんだよな』
『それにヨシさんの言うように、もしも多加田殺害と関連があるのであれば、本当にそれは不謹慎だが咲村殺害はあるきっかけになり得るしな』
赤賀は自分でもおかしなことを言っている、不謹慎だと思いながらも、石原の慰めにも似た言葉に
救われた気がしてならなかった。
『うん。ヨシさん。本部に戻ろう。』
赤賀はそう言って、パトカーに乗り込んだ。
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