
会津は町並みが美しい。景観に気を遣い、観光客に便利なように巡回バスも運行されており、街を挙げて観光都市を目ざしているようだ。
しかし、東京からのアクセスは決していいとは言えない。福島、郡山なら一本で行けるのに、会津には磐越西線を使わなくてはならない。しかもこの路線、会津まで結構時間がかかるのだ。
街を歩いていると、「あいづっこ宣言」なるものを見つける。いくつかのきまりの最後に「ならぬことはならぬものです」が続く。これが会津精神の基本なんだろう。
「社会病質者は、社会的相互作用を規定している道徳律を認識できるし、それが彼の目的に合致する限り、道徳的に行動することさえできるが、彼には何が正しくて何が間違っているかに関する「本能的直観」、つまり外的な社会的規則に関わりなく「やってはいけないことはやってはいけないのだ」という感覚が欠けている」(ジジェク「ラカンはこう読め」)
ジジェクに言わせれば「ならぬことはならぬ」という感覚の欠如が社会病質者の特徴だということになる。つまり、会津の人たちは当たり前のことを言っているのだが、その当たり前のことがなかなか当たり前じゃなかったのは、歴史を見てみればわかる。

美しい鶴ヶ城。
お腹がすいたので城の下にある店で会津ラーメンを注文したのだが、あいにく売り切れてしまったとのこと。
「あ、でも会津のラーメンならおいしいとこ他にもありますよ」と女性の店員さんが親切にいろいろ教えてくれる。隣接している観光案内所にぼくを連れて行き、ラーメン店のパンフをとって、そこの係の人とどこがおいしい、ここはどうかとお勧めラーメンの決定会議。
このホスピタリティが東北の人の特徴なんだよなあ。東北っていいなあ。実は江戸っ子ってえのもちょっと甘え上手なとこがあって、東北人とは不思議に馬が合う。
結局彼女たちが親切に教えてくれたラーメン屋さんを目ざすことにしてバス停へ向かう。向かいながらパンフをよく見るとその日は定休日だった。お茶目さんだな、まったく。

帰りは時間がちょうどあったので快速会津ライナー。
これに乗れるとラッキー。座席はいいし、速いが、残念ながら本数が少ない。下りは一日2本、朝の10時45分と19時40分のみ。もちろん乗れなかった。
上りの会津ライナーに乗れたけれど、いずれにしても終点は郡山。これから、郡山~黒磯~宇都宮~上野と旅は続く。でも、昔ならやんなっちゃう局面なのに、なぜかうきうき。もっと電車に乗っていられることが嬉しいのだ。人間変われば変わる。
今度の青春18切符の旅は3月だから水戸に梅でも見に行こうかな。