あ、やばい、と思ったのは、主人公がマーブルチョコをポイポイ口に入れるところ。ああ、この子悲しい、こんな悲しいヒロインを造形させた奴ら、罪作りだ、悲しいじゃないか、と。
ヒロインは日本のやくざ(阿部寛)とタイ人女性との間に生まれた女の子。生まれつき知能に障害があって、まともに口がきけないのですが、動物的と言っていい反射神経と動体視力、そして格闘技へののめり込みで、ものすごいファイターになります。かわいくて細っこくて、でも幼児のような会話しかできなくて、ハエが出るだけでパニックになるのに、めちゃくちゃ強い。ある種アニメです。その極端さは、まるでアニメのキャラのようです。
そして一部のアニメのように、残酷です。
病名には直接触れられていませんが、母親がガンに冒され抗癌剤の副作用でしょう、髪が抜け落ちてる姿を見ると泣き叫び、自分も髪を切ってしまうなど、彼女の幼児性をこれまでかと描写するのです。その幼児性と格闘、この二つの幅をこの映画は描きます。
そしてある夢を見た後彼女は覚醒します。それは悪意に満ちた世界を敵に回すことと同義でした。この覚醒の後、彼女は初めて叫ぶんです。それは、何かに目覚めた叫びでした(何かは映画を見てください)。
この後の彼女のアクションシーンは出色です、ほんとうに。すごい。
で、その後、障害者同士の一騎打ちになるんです。どっちも何か障害を負ってるが故の悲しい強さ。こんなシーンは今まで見たことがありません。
そして最後のクライマックス。CGなしでこれですか。これ、すごすぎませんか。人死んでませんか。
キャラ立ちもいいし、素晴らしい映画でありました。
P.S.最後の歩くシーン。あれ、ずるい。泣くに決まってんじゃん。あれ。あとエンドロールのNGシーン。普通NGシーンって笑うとこじゃないですか。このNGシーン、一切笑えません。こんなNGシーン集見たことありません。主人公の女の子を含めて、必ず誰かが流血しているNGシーンって。ここで言われるNGって、芝居を失敗したからじゃないのね、映画としてまずい部分のことなのね、と。ヒロインの手から刺さったガラスを抜くなど、血とケガを冷やすための氷がこれほど登場するNGシーン、初めてです。
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