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呪の思想

2010年01月22日 20時58分34秒 | 読書
白川静/梅原猛「呪の思想」    平凡社

 やっぱり読んだ本のことなどもちょこちょこ、と。そうしないと観光ではなく、地形ブログとなってしまいそう。最近は寒くて自転車に乗って出かけたりもせず、暇があれば本ばかり読んでます。
 本はいいですね(ばかみたいな感想だな)。本を読むことは旅をすることに似てる。空間や時間の異なる場所へ赴き、その雰囲気を味わったり、また、そこから今・ここを再び照らすこともできるし。時間や空間が異なるだけじゃありません。たとえばモンゴメリの「赤毛のアン」を読む(素晴らしい本)。そうすると、ぼくはいつの間にかアンの気持ちになって、その時代を進んでいる。
 45歳の日本人男性が、プリンス・エドワード島に住むカナダ人の女の子のメンタリティを持つなど奇蹟に近い気がするけれど、本を読めば簡単にかなってしまう。ことばはまったく違う概念を結びつける画期的な手段なのです。
 いやあ、本はいいですね。

 そんなわけで、今回は白川静と梅原猛の対談集「呪の思想」です。漢字の中から膨大な情報と物語を引き出してくる白川静といろんなことに興味津々梅原猛の、まさに92歳児と76歳児、世界に関心ありまくりの二人の男の子(あえて)の対談集。時に噛みあってなかったり、進行するはずの「編集部」がやけに熱かったり、そういうところも楽しい。
 それと同時にやはり学のある人の話は面白いことを改めて実感する。1980年代以降、教養がププって感じに成り下がってしまったけれど、あれ、やりすぎだったよね、反権威主義運動。確かにあの時点では正しかったんだけれど、徹底すぎた。世に氾濫する新書を立ち読みすると、その知的レベルに驚く。で、これが売れてるって。1980年代に高校、大学あたりにいたわれわれの世代の教養が問題なのよ。でも、手っ取り早く頭よくなりたいという下心で「頭のいい人、悪い人の話し方」とかが売れる。いや、喋り方じゃないだろ、問題は。
 この本に話を戻すと、とくに感銘を受けたのは次の二つ。一つは殷と縄文、周と弥生とが関連あるという指摘。それから、征服した王朝を祭に参加させるのは、空間だけでなく、過去からすべて包摂していることの証だという点。日本では御霊信仰の面が強調されていたけれど、そればかりでない新たな視点に目からウロコです。

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