<大平山からの眺望>
初冬の鎌倉;西御門から番場ヶ谷の秘境を一回り
(塔ノ岳常連会)
2012年12月17日(月) 曇夕方薄日
<ハイキング地図>
※実際に歩行したルートはこの地図と少し違います
<まずは鶴岡八幡宮へ>
■天気予報は最悪
昨日は衆議院総選挙.自民党が圧勝した.小選挙区制度になってから,随分と極端から極端への振れが大きくなったなと実感する.ブログでは政局がらみのことは話題にしないようにしているが,ジックリと,たゆみなく物事が進捗するような世相になってもらいたいものだと思う.
それはさておき,ここ数日来,今日の天気が気になって仕方がなかった.というのも今日は丹沢塔ノ岳のご常連の鎌倉案内の日だったからである.
鎌倉の住民である私は,
”鎌倉の第一印象が最高であって欲しい・・・!”
と思っている.そして,これを機会に,塔ノ岳のご常連にも,定期的に鎌倉へ来て頂きたいからである.
ところで,私は月額315円の携帯電話の天気予報を見ている.昨夜遅くの予報では“鎌倉は午後3時頃から雨”という予報だった.ぎりぎりになって予報が好転することを願っていたが,今朝になっても,一向に変わらなかった.
もともと多少の雨でも,一人でも参加者が居られれば,案内するつもりでいた私は,何の躊躇もなく,集合場所の鎌倉駅に向かうことにする.
途中,大船駅で山旅スクール同級生トドさんとバッタリ.トドさんは,今日,飛び入り参加される.また,山旅スクール同級生のノシイカさん,野菜漬物さんも参加される予定である.
鎌倉駅前は,天気予報が悪いせいか,何時もより随分と人が少ない.上空は今にも降り出しそうな分厚い雲で覆われている.
こんな悪天候なのに,定刻の9時30分には,総勢10人の方々がお集まりである.K村さん,ジャイアンさん,M田さん,S田さん,Y田さん他塔ノ岳ご常連の方々,総勢男性6人,女性4人.計10人がご参加である.
9時34分逗子行の電車まで待ってから,いよいよ出発である.私は頭の中のアナログ“勘”ピュータを頼りに,雨が降り出す15時前に鎌倉駅まで戻ってくる積もりである.
■鶴岡八幡宮
まずは小町通りの裏道を抜けて,鉄の井に到着する.蛇足だが,鉄の井は鎌倉十井のひとつに数えられる井戸である.人混みを避けて近代美術館前から鶴岡八幡宮の境内に入る.ところが,天気予報が響いたのか,境内の人影は実に疎らである.これに気をよくした私は,境内にある由比若宮遙拝場,白旗神社,国宝館前をぐるり一回りする.実は,この辺りの紅葉が実に見事だからである,ただ,今はもう見頃を過ぎているが・・・
<人かが疎らな鶴岡八幡宮>
<西御門から尾根道へ>
■西御門を北へ
西御門に入る.住宅街の中の緩やかな登り坂を北に進む.やがて進行方向右手に来迎寺が見え始める.ちなみに鎌倉には来迎寺という寺が2箇所にある.
来迎寺を右手に見ながら,西御門から山道に入る.直ぐに急傾斜の登り坂になり,その後はヤセ尾根のアップダウンが連続する.
この道は近くにある中学校の生徒達の散策路にもなっているところである.そのため途中で道を間違えると学校を一回りして,また中学校のグラウンドに降りてしまうので,注意が必要である.
<来迎寺>
■草に覆われた山道
鎌倉の気候は温暖である.もう12月も中旬だというのに登山道は青々とした樹木と竹に覆われている.小さなアップダウンが連続する踏み跡のような登山道を暫くの間続く.
やがて長閑な山道に変わる.道の両側には見頃は過ぎたとはいえ,名残の紅葉が見え隠れする.
<西御門から山道を登る>
■ヤグラ群を遠目に・・
天園ハイキングコースに突き当たる少し手前の平坦地を北へ進む.大きな倒木を潜ると,なだらかな尾根道に変わる.まだ紅葉が残る心地よいところである.進行方向右手の眺望が開ける.
やがて覚園寺裏山ヤグラ群の側を通過する.ここで有名な朱だるきヤグラを遠目に拝む.貴重な遺構には近付かないように配慮する.
ここからやや急な坂を登って天園ハイキングコースに突き当たる.ここから暫くの間は天園ハイキングコースを歩く.
<心地よい尾根道> <ヤグラの一例>
<天園ハイキングコース>
■百八ヤグラ前の十字路
11時21分,百八ヤグラ前の十字路に到着する.ここを南へ下れば覚園寺近くに下山できる.また北へ進めば今泉台の住宅地を経由して散在ヶ池森林公園へ行くこともできる.私は心の中で,
“天気が悪くなりそうなので,散在ヶ池を一回りして下山しようかな”
とも思ったが,まあ,折角だから,雨が降ったら運がなかったと諦めることにして,予定通り大平山方面へ向かうことにする.
<百八ヤグラ前の十字路>
■百八ヤグラ見学
ほんの少しだけ,百八ヤグラを見学させて頂く.明治36年(1903年)に作られた四国八十八箇所めぐりの大師像が建ち並ぶ.ヤグラの風化が進み,首のない石像が立ち並ぶ風景は,何とも言えない雰囲気を醸し出している.
<百八ヤグラ群>
■大平山の展望
当初の予定では,天園ハイキングコースの途中にある切岸脇から一旦獅子舞に下山して,もう一度新林を登り返す予定だったが,15時頃から雨という予報が変わらないので,スケジュールを変更して,登り返しはやめて,このままハイキングコースを歩くことにする.
12時13分,鎌倉の最高峰大平山山頂に到着する(地形図に示されている大平山は峠の茶屋付近の山頂).相変わらず上空は雲に覆われているが,今朝方より幾分雲が薄くなったような気もする.
大平山山頂からの眺めは最高である.遠く三浦三山,二子山,阿部倉山などの三浦半島の名山が一望の下に良く見えている.
何時もなら必ずハイカーの姿が見える広場も,今日は全く人の気配がない.
<大平山からの眺望>
■峠の茶屋
山頂直下の広場で昼食を摂ろうかと思ったが,東京湾から吹き上げてくる風が冷たいのと,私達の姿を見付けたトンビが数羽上空で舞い始めたので,ここで食べる気がしなくなる.そこで,今回は峠の茶屋で食事を摂ることにする.
「皆さん,峠の茶屋で食事にします・・・お一人一品購入して下さい.ただ天気が悪いので茶屋が開いているか分かりません・・もし開いていなければ,この先のどこか適当なところを探します・・・」
12時34分,峠の茶屋に到着する.お馴染みの皆さんが一箇所に座っておられるだけで,一般のお客の姿は見当たらない.
「今日は丹沢塔ノ岳のご常連をお連れしました・・・」
と女将に挨拶をする.
「今日は天気が悪そうなので(お店を)開くかどうか迷っていした・・・来て頂いて大助かりです」
と感謝される.
女将の話だと,私の山友達「仙人」こと”お髭”が,この所,週に1度程度は峠の茶屋に顔を出しているとのこと.「仙人」は,私に山の魅力を教えてくれた大恩人である.仙人が元気だと聞いて私も嬉しくなる.
私達も適当な場所に座って,いよいよ昼食である.
例によって,野菜漬物さんお手製の煮物,漬物が沢山提供される.勿論,どれもこれも大変美味である.
私が峠の茶屋の女将と話しているのを見て,同行者のお一人が,
「FHさんは,この茶屋にも何回か来られているんですか・・・」
と私に質問する.
「ええ,まあ,尊仏山荘へ行くのと似たり寄ったりですよ・・・」
<峠の茶屋で昼食> <野菜漬物さん提供の品々>
<番場ヶ谷を下る>
■吉沢川の源流
食事の途中で携帯電話の天気予報を見る.どうやら雨雲は鎌倉地区の北側と南側に分かれて通過中で,鎌倉には雨雲が掛からないようである.
”これならば予定通り番場ヶ谷を下っても大丈夫・・・”
と私は確信する.
13時10分,昼食を終えた私達は,峠の茶屋から出発する.
ほんの数分,市境広場に向かって歩いてから,番場ヶ谷に入る.ここから一気に谷筋を下る.辺り一面にイチョウの落ち葉が広がっている.途中,新しい倒木があって,進路を阻んでいる.
V字方の谷底の滑りやすい急坂を下る.やがて吉沢川(滑川の支流)の源流に到着する.ここからは川の中をひたすら下る.ときどき川岸沿いの小径を通るが,すぐに小径がなくなって川の中に戻る.こんなことを繰り返している内に,だんだんと道らしい道になり始める.
途中滑りやすい露岩の場所があったり,崖を高巻きをする箇所があったりで結構変化に富んでいる.
<吉沢川の上流を下る>
■素晴らしい渓谷美
吉沢側の下流に近付くと,V字形も谷間も,谷幅が次第に広がる.それにつれて,道らしい所も増えてくる.上空を見上げるとまだまだ紅葉が見事である.実はここは鎌倉の隠れた紅葉の名所である.
<渓谷が次第に開けてくる>
■秘境にある池の畔で・・
13時54分,小さな池に到着する.ここは知る人ぞ知る紅葉の名所でもある.
参加者のお一人が,池の先にある登山道を見付けて,
「あれ,あんなところに道がある・・・」
と驚いている.私は心の中で,
“その道を通ろうと思って,ここまで下ってきたんですよ・・”
と思っている.
<秘境の池>
■集合写真
私は今朝出掛ける前に,思いつきで「塔ノ岳常連会」という横断幕を作って持参している.
本当は峠の茶屋で,この温暖幕を入れて集合写真を撮るつもりだったが,ついつい忘れてしまった.
そこで,この谷間を彷徨いている内に集合写真を撮ることにする.ところが字が小さかったためか,私のカメラが悪いのか分からないが,ご覧の通り文字は殆ど読めない.残念!
でも,この写真が,塔ノ岳常連による初回の鎌倉散策記念である.この写真を『尾根の瓦版』の編集長に提供する積もりである.
<番場ヶ谷で集合写真>
<稲荷小路から再び天園ハイキングコースへ>
■稲荷小路
14時丁度に池を出発する.
当初の予定では,夫婦坂を遡って貝吹地蔵近くで天園ハイキングコースに出る予定だったが,吉沢川の先が見たいという人が多いので,このまま吉沢川に沿って,藪っぽい悪路を下る.途中から泥んこ道になると思っていたが,至る所に排水用の溝が掘られていて,従来に比較すると大分歩き易くなっている.
やがて十二所近くの住宅地に出る.ここで,このまま市街地を歩いて鎌倉駅に向かうか,それとも市街地をなるべく避けながら,鎌倉駅に向かうかで迷う.幸いなことに,天気予報は外れて,どうやら天気は持ちそうである.むしろ薄日さえ射し始めている.
結局,市街地をなるべく避けて歩くことに決める.
稲荷小路から谷筋の道を登る.紅葉が美しい登山道をひたすら登る.
<紅葉の谷間を突き上げる>
■天園ハイキングコースに合流
それほどの距離はないが,悪路の急坂を登る.参加者は全員塔ノ岳の常連なので,体力を心配する必要はないので,ほどほどの速度で登り続ける.
14時21分,天園ハイキングコース明王院分岐から偏界一覧亭に少し寄ったところに突き上げる.
<天園ハイキングコースに合流>
■明王院分岐で一休み
天園ハイキングコースとの合流点から,ほんの50メートルほど先にある明王院分岐で,小休止する.
眼下に浄明寺4丁目の住宅地が見下ろせる.その先には鎌倉の名峰,衣張山,浅間山が見えている.さらにその先に由比ヶ浜が広がっている.
幸いなことに南の空がさらに明るくなり,薄日が射し始めている.
<明王院分岐>
<理智光寺谷,鎌倉宮を経由して鎌倉駅へ>
■鎌倉宮
天園ハイキングコースから浄明寺4丁目の西端へ下山する.
その後,理智光寺谷を経由して.14時47分,鎌倉宮に到着する.
「ここから鎌倉駅までバスがありますよ.ご希望の方はどうぞ・・」
と言うが,バスに乗りたいという人は居ない.結構! 結構!
<鎌倉宮>
■宇津宮稲荷
鎌倉宮から荏柄天神前,清泉女学院脇,宝戒寺,若宮幕府跡,大佛次郎邸,妙寺を経由する路地道を辿って,15時23分,宇津宮稲荷に到着する.
ここから先,すぐに若宮大路に出る.若宮大路からは沢山の観光客が散策する観光道路になる.静かな散策はここでオシマイ.
<宇都宮幕府跡>
<無事に鎌倉駅へ戻る>
■小町通り「モア」で懇親会
宇津宮稲荷から若宮大路に出る.
ほんの少し小町通りを歩いて,15時29分に鎌倉駅前(正確には「モア」の前)に戻る.ここで解散.希望者だけ「モア」で軽く懇親会を開催する.
結局,全員が懇親会に出席する.
今回は,初めての塔ノ岳常連のご案内である.無事,ハイキングが終わって,私も上機嫌である.だから,大方の皆さんの予想に反して,私も久々にグラスビールを所望する.
「あら・・FHさんもビールですか・・・」
とノシイカさんに言われてしまう.
<小町通り「モア」で懇親会>
■大船駅経由で帰宅
16時25分頃お開きになる.
外に出る.結局,鎌倉では,今日一日,全く雨は降らなかった.天気予報は大外れである.
私は自宅近くを通るバスに乗りたいが,バスの発車時刻まで30分ほど間がある.このまま待っているのもイヤなので,横須賀線で大船まで戻って,大船駅前からバスに乗ることにする.結果的には,どちらを経由しても,あまり違いがないことは分かっているが・・・どうもジッとしているのがイヤなのだから困ったものだ.
横須賀線の電車は,学校帰りの生徒や観光客で想像以上に混雑している.大船駅で皆さんとお別れする.
大船駅からのバスの接続はピッタリ.17時頃無事帰宅する.
これで2日間連続で,鎌倉をウロウロと歩き回ったことになる.やっぱり,少々気疲れがした2日間であった.
<ラップタイム>
9:35 鎌倉駅歩き出し
9:57 鶴岡八幡宮
10:20 西御門登山口
11:00 朱だるきヤグラ前
11:21 百八ヤグラ前十字路
12:25 大平山山頂
12:34 峠の茶屋(13:10まで昼食)
13:54 番場ヶ谷の小さな池
14:21 天園ハイキングコースに合流
14:22 明王院分岐
14:47 鎌倉宮
15:23 宇津宮稲荷
15:29 鎌倉駅着
{ハイキング記録]
■水平歩行距離 11.7km
■累積登攀高度 497m
■累積下降高度 497m
■所要時間(休憩時間込み)
鎌倉駅発 9:35
鎌倉駅着 15:29
(所要時間) 5時間54分(5.90h)
水平歩行速度 11.7km/5.90h=1.98km/h
(おわり)
「鎌倉あれこれ」の前回の記事
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「鎌倉あれこれ」の次回の記事
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