<朝日を浴びる塔ノ岳山頂;花立山より>
ネコとシカに出会った丹沢:塔ノ岳(今年63回目)
(登り単独・下りT添氏に同行)
2012年12月19日(水) 晴
■日の出間近の大倉バス停
何時ものように3時30分頃目が覚める.勿論外は真っ暗.ビュービューと風の音が聞こえる.今日は水曜日,塔ノ岳詣での日である.寒いので,なんだかんだと理屈を付けて,塔ノ岳はサボりたくなる.でもここで意を決して出掛けなければ,明るくなってからきっと,
“なぜ出掛けなかったんだろう”
と後悔するに決まっている.
朝食を済ませて,5時10分に家を出る.外に出た途端に凍てつく寒さでガツンと頭を小突かれたような気分になる.でも,辺りを見回すと霜が降りているわけでもないので,気温はそんなに下がっているわけでもなさそうである.
私はもともと極寒の信州生まれである.だから寒さには強いはずだが,今はもう温暖な湘南地方に住み着いてから何十年も経っているので,残念ながら,寒さには,からっきし弱くなってしまったようだ.
小田原駅で階段2段跳び乗換を無事クリアーして,渋沢駅発大倉行1番バスに乗車する.今日は平日なのにバスは結構混雑している.超韋駄天のN村さんとS藤さん,韋駄天のTさん,三角髭のTさん,Y内さん,大三郎さん,キャベツのT添さん,M田女史,ホッシーさん他,沢山のご常連も乗車している.
6時59分,バスは大倉に到着する.今日は12月19日.もう少しで冬至になる今日この頃,夜明けが随分と遅くなっている.7時頃になって,ようやく東の空が明るくなる.日の出にはまだ少し間があるが.上空の雲が朝日を浴びて黄金色に光っている.
<日の出間近の大倉バス停>
■寒そうなネコ
大倉バス停で寒そうに丸くなっているネコがいる.どこかの飼い猫らしく.人に馴れていて,私が近付いても怖がらない.早速,写真を数枚撮る.
このネコの風体や家の色が,尊仏山荘の華伊達美弥雄氏ことミー君に何となく似ているような気がする.
”ひょっとしたら,美弥雄さんの子供か孫かな・・・”
と想像をたくましくする.
<バス停大倉で出会ったネコ>
■光る海
大多数のご常連は,バスが大倉に到着したら,すぐに塔ノ岳に向けて歩き出す・
私も大三郎さん,韋駄天のTさんと一緒に,先発隊より数分送れて.バス停大倉から歩き出す.
歩き出してから暫くの間は寒いので,歩行ピッチを少し上げて歩く.
私の歩行パターンは,見晴山荘までの比較的平坦なところは,結構な速度で歩くくが,見晴階段や駒止階段のような急勾配は,脂汗をかかないように,できるだけユックリ登るこようにしている.
そんなわけで.観音茶屋から分岐辺りで先に歩き出した方々の何人かに追い付くが.見晴山荘の前で光る海の写真を撮っているときに.韋駄天のTさんと大三郎さんに追い抜かれる.そして,見晴階段を登り始める頃には.お二人の後ろ姿がだんだんと遠ざかっていくが,同時にT添さんの後ろ姿も見え始める.
<見晴山荘から光る海を望む>
■カメラの電池が切れる
一本松を過ぎる頃,T添さんから数十メートル後ろまで追い付く.そして駒止階段に差し掛かる頃は,数メートルの所まで迫ったが,階段を登り切る頃,私は息切れがしてしまう.そして,T添さんとの距離が再び開き始める.
8時10分,駒止茶屋を通過する.大倉から駒止茶屋までのラップタイムは1時間01分.これは今の私の体力から勘案すると,3~4分速すぎる.やっぱり前方に顔見知りの後ろ姿を見掛けるとついついオーバーペースになってしまう.私はまだ悟り切れていないなとつくづく思う.
引きつづき堀山の尾根歩きに入る.前方30メートル程先の所をT添さんが歩いている.平らな所では私もかなり速い速度で歩けるので,追い上げるが,距離は縮まるものの追いつけない.
富士山が良く見える場所に到着する.今日は富士山は見えないが,写真だけを撮っておこうとカメラを構える.ところが運悪く電池切れになってしまい斜視が撮れない.写真を撮る諦めて,歩きながら電池を入れ替える.モタモタしている内に,T添さんの後ろ姿が見えなくなる.ここで私の緊張感がプッツリと切れてしまう.その瞬間から私の歩き方はノソノソ歩きに変わる.
■長い急坂を登り始める
8時27分,堀山の家に到着する.ここで後ろから追い付いてきた三角髭のTに,
「・・・やっと,追い付きましたよ・・・」
と声を掛けられる.
「ここからはユックリ登ります・・・お先にどうぞ・・・」
と三角髭のTさんに進路を譲る.
T添さんを追って少々オーバーペース気味だった私は,ここからはマイペースで登ろうと自分を強く戒める.そして,今日の目標は堀山の家から花立山荘まで40分で登ることに設定する.
堀山の家から急坂に差し掛かる.前方には三角髭のTさんの後ろ姿が見えている.その先にもご常連らしい2人の後ろ姿が見えている.ただ,残念なことに三角髭のTさんの後ろ姿はだんだんと遠ざかるだけで,決して近づけない.その内に私の視界から消えてしまう.
<三角髭のTさんの後ろ姿が見える>
■萱場平
もう少しで戸沢分岐に差し掛かる頃,T添さんの後ろ姿が,また,次第に大きく見えるようになる.でも私の体力では今の速度が目一杯だし,このままでは途中で力尽きてしまい,設定時間の40分では花立山荘に辿り着けなくなる.そこで,私は歩行速度を少し落とすことにする.
8時48分,萱場平を通過する.この写真を撮ったとき,T添さんの後ろ姿は視界から消えた.以後,前後に誰も見えない全くの一人旅になる.
<萱場平>
■花立山荘
萱場平から先は,完全な一人旅なので,遅いながらも歩行速度が安定する.気温がどの程度か分からないが.夜間に降りた霜が粉雪のように路面をうっすらと白くしている.
後7分坂を,8分ほど掛けてやっと登る.坂を3分の2ほど登ったところで,下山してくるN村さんとすれ違う.
9時08分,やっと花立山荘に到着する.山荘前のベンチには誰も居ない.ベンチに付いた霜が朝日を浴びて溶け始めている.青空が広がっているが,肝心の富士山は雲の中だ.
堀山の家から花立山荘までの所要時間は41分.わずか1分とはいえ,設定時間の40分をオーバーしている.ただ,大倉から花立山荘までの所要時間は2時間丁度である.これは5分ほど速すぎる.
<青空が広がる花立山荘>
■花立山
花立山荘を過ぎる頃から,何となくシャリバテのような妙な気分になる.ちゃんと朝食を食べたはずなのに・・・
花立山荘から花立山までの登りが,私にとって気分的に一番辛い場所である.花立山の山頂が見えているのになかなか辿り着けないからである.今日もこの辺りはノソノソ歩きになってしまう.
9時13分,下山してくる超韋駄天のS藤さんとすれ違う.
路面は霜で真っ白になっている.上空には青空が広がっているが,相模湾上には暗い雲が湧いている.私は周囲の写真を撮りながら.8時18分に花立山山頂を通過する.花立山荘から10分もかかったスローペースである.
<花立山からの眺望>
■塔ノ岳山頂
9時23分に金冷シを通過する.少々バテ気味なので,さらにユックリペースで登り続ける.
山頂直下の階段で,下山してくる三角髭のTさんとすれ違う.そして,9時40分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.山頂は霜で真っ白になっている.上空は晴れてはいるものの沸き上がる雲も多くて富士山は全く見えない.山頂の温度計はマイナス3℃.じんとくる寒さである.この寒い中,数名の登山客が山頂で腰を下ろして休憩を取っている.
今日の大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間32分.偶然にも前回と全く同じラップである.まあ,今の私には,この程度のラップが適当なところだろう.
<凍てつく塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘
山頂で儀式としての写真を一通り撮ってから,9時45分頃尊仏山荘に入る.
先客は韋駄天のTさん,大三郎さん,T添さん,Y内さんなど.
「・・・今,FHさんの噂話をしていましたよ・・・聞こえなかったですか・・・」
とどなたかが茶化す.
何が和田になっていたのか分からないが,多分,
”あいつ(私のこと),出出しは速かったが,どこで躓いているんだろう・・・やけに遅いな”
とでも言っていたんだろうと想像する.
私も同感.ついつい前方に見えているご常連に追い付こうとして,前半を飛ばしすぎたようである.でも,まあ,こんなところが今の私の実力である.
今日の小屋番は.オーナーのH立さん.
何となく疲労感がある私は,甘酒を注文する.
<花立山荘>
■牡シカ
10時11分,T添さんと一緒に下山開始.
山荘前に,大きな牡シカが居る.誰かが餌付けをしたのだろうか,どうやらエサが欲しいらしい.「メエ,メエ・・」と鳴いている.
早速デジカメを取り出して,シカの写真を撮る.そういえば前回登ったときも,このシカがウロウロしていたなと思い出す.
<尊仏山荘前の牡シカ>
■堀山の尾根
T添さんと一緒に雑談をしながら実にノンビリユックリと下る.
今回,T添さんは,塔ノ岳登頂最高記録,2時間××分を達成したという.今の私には到底及びも付かない記録である.それにしても・・・・今から3~4年前までは,この私でも2時間20分代で軽く登れていたのに・・・やっぱり寄る年波には勝てないのかなと寂しい気分になる.
途中で道草をしながら.初冬の丹沢を存分に楽しむ.
堀山の尾根で,登りでは電池切れで撮れなかった富士山の写真を撮る.もっとも肝心の富士山は雲の中だが・・・
<堀山の尾根で雲に隠れて見えない富士山の写真を撮る>
■再びネコの写真を撮る
観音茶屋に差し掛かる頃,少し急げば大倉発12時52分のバスに間に合いそうだと気がつく.
T添さんには申し訳ないが,観音茶屋の少し手前でお別れして,先を急ぐ.そして,12時48分に大倉に到着する.バスの時間まで4分の余裕がある.
自動販売機の近くに今朝方見掛けたネコが居る.早速,このネコの写真を撮る.このネコ,人なつこいのですぐに足許に寄ってくる.
「おいおい,そんなに近付くなよ.写真が撮れないじゃないか・・」
とネコをあやす.抱き上げるとしなやかな体をしている.甘える姿が実に可愛い.
■今日一日楽しかった
予定通り12時52分のバスに乗車する.大倉で乗車したのは登山客3人だけ.空いている.
渋沢駅,小田原駅での電車の接続が良くて.14時30分頃帰宅する.
1週間ぶりの塔ノ岳だったが,登山後の開放感は何とも言えないほど爽快でだる.早々と風呂を沸かして,ノンビリと湯船に浸かる.
”いや~ぁ・・・極楽,極楽・・! だから山はやめられない!”
<ラップタイム>
7:08 大倉歩き出し
7:27 観音茶屋
7:44 見晴山荘
8:10 駒止茶屋
8:27 堀山の家
9:08 花立山荘
9:23 金冷シ
9:40 塔ノ岳山頂着(-3.0℃)
10:11 〃 発
10:21 金冷シ
10:38 花立山荘
11:10 堀山の家
11:56 駒止茶屋
12:14 見晴山荘
12:32 観音茶屋
12:48 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:08
塔ノ岳 着 9:40
(所要時間) 2時間32分(2.53h)
水平歩行速度 7.0km/2.53h=2.77km/h
登攀速度 1269m/2.53h=501.6m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:11
大倉 着 12:48
(所要時間) 2時間37分(2.61h)
水平歩行速度 7.0km/2.61h=2.68km/h
下降速度 1269m/2.61h=486.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f2fd5dee3c4a15d4fb571eae987c8e30
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ffbf55ace37d485b5f158f9f5c6277bd
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