<長久保宿を歩き出す>
[改訂版]歩いて巡る中山道中六十九宿(第9回);第1日目(1)長久保宿を出発
(五十三次洛遊会)
2010年9月11日(土)~13日(月)
※本稿の初出は2010年9月17日である.
初稿の地図の差し替え,本文の加除修正を行った.
第1日目:2010年9月11日(土)
<ルート地図>
■第1日目概要図
■長久保宿周辺
■長久保宿詳細図
<新幹線とタクシーで長久保へ>
■資料準備が大変だ
いよいよ今日から3日間,五十三次洛遊会中山道中六十九宿巡り第9回目が始まる.今日から3日間掛けて,長野県内の長久保宿から塩尻宿まで歩く予定である.
余談になるが,私はボランティアで,パソコンを使って,歩行ルートを示す沿線地図を,事前に作成している.これをメンバーの1人に郵送し,その方に参加者への配付資料としてコピーをしていただいている.
この地図の作成には,意外と手が掛かる.今回も,ロッキー山脈の旅に出掛ける前に,この地図作りに.丸4日間も精を出していた.さらに,これらを幹事の方お二人を含めて,お三方に郵送する.これがまた面倒で,まずは100円ショップで,A4の用紙がすっぽり入るビニール袋と,A4の大きさの封筒を,それぞれ何枚か購入する.そして,パソコンで複製した10数枚の地図を仕分けして,ビニール袋に入れ,さらに封筒に入れる.ここからがまた面倒で,近くの郵便局まで行かなければ発送できない.私はロッキー山脈に出掛ける直前の日に,我が家から丸山という山を越えて,鎌倉梶原郵便局から,漸く発送した.
この地図を作成するに当たり,主として資料1と資料2を参考にした.
また,以前入手した下記の資料・・・こんな話はヤメにしよう.とにかく沢山の資料を参考にしながら,カシミールとPowerPointを使って資料を纏める.馬鹿馬鹿しくなるほど大変な手数が掛かってしまう.
私はこんなことをするのが好きだから,ヒイヒイ言いながらも地図を作っているが,その内に疲労が重なって作れなくなってしまうのではないかと,自分のことながら心配になる.とはいえ,私の作る地図など無くても,実際の中山道中の旅には大して影響はないことは自明.
「それなら,なぜお前は好きこのんで地図作りに励むんだい・・」
と口の悪いもう一人の私が私を揶揄する.
■新幹線上田駅集合
それはともかく,私は大方の同行者と東京駅長野新幹線ホームで落ち合って,東京8時40分発あさま509号の自由席に乗車する.列車の中では隣の席に座っているお仲間と他愛のない雑談をしていたが,同時に私の頭の中では,地図作りの傍らあらかじめ予習した街道筋の情景を思い浮かべている.
予習した範囲では,第1日目の今日は,なだらかで単調な登り坂,第2日目の明日は,中山道中の難所である和田峠越えがある.ここも予習した範囲でプロフィールマップを見た限りでは,そう大したことがないように思えるが,山道に馴れていない参加者が居たら,案外苦労するのではないかと心配になる.そして,第3日目の塩尻峠越えである.第3日目歩行距離は大したことはないが,距離は短いながら結構急傾斜の山道になっているようである.
そんなことをいろいろと考えている内に,10時07分,上田駅に到着する.今回の参加者7名(男性5名,女性2名)全員が同じ列車で到着する.長野新幹線が開通してから,上田も随分と近くなったものだと感心する.
<長野新幹線上田駅に到着>
■タクシー相乗りで長久保へ
上田駅前で,タクシー2台を拾って分乗する.幹事が,タクシー運転手に話しかける.
「長久保バス停までお願いします・・」
「JRのバス停ですね」
「えっ・・JRなんて,通っていないでしょう」
私たちは線路があるのがJRだという固定観念があるので,若干,話が嚙み合わない.なるほど言われてみれば長久保のバス停はJR関東バスのバス停だった.
タクシーに乗る前は,長久保まで小一時間掛かるのではないかと思っていたが,案外早く10時54分に長久保バスターミナルに到着する.
<長久保バスターミナルに到着>
<長久保から南西へ>
■長久保を出発
出発前に,私が音頭を取って,6~7分間,ウオーミングアップ用のストレッチを行う.そして,11時頃,いよいよ長久保バス停から歩き出す.
閑散とした聚落の中の道路を歩き始める.道路の両側には民家が並んでいるが,人影が全くない.まるで映画のセットの中を歩いているような錯覚に陥る.
元旅籠辰野屋(竹重屋)の角を右折して路地に入る.そしてすぐに左折する.そして,ほんの少し歩くと,また元の自動車道にでる.そして,再び右折して旧中山道に入が,また再び国道142号線に合流する.
<この角を右折>
■長閑な田園風景
長久保の住宅地を抜けると,実に長閑な田園風景が広がる.
気温がどの程度あるか良く分からないが,少々蒸し暑い.先頭を行く2人と後ろの方で,だんだんと距離が開き始め,列がとても長くなる.
「もっと頑張って歩いて下さい…」
と先頭から檄が飛ぶ.
<長閑な道を歩く>
<まずは昼食>
■食堂「中山道」に入るイワナ定食
長閑な雰囲気の道路が続く.道路は綺麗に舗装されているが,自動車の通行量はそれほど多くない.気温はやや高めだが,歩いていても心地が良い.
11時35分,進行方向右手にある「中山道」という屋号の食堂に入る.幹事の話だと,今日の行程の中で確実に開店しているのはここだけだという.昼食には少々早いが,全員がこの店で昼食を摂ることにする.店先に大きな字で「岩魚」と書いた看板が出ていたので,迷わずイワナ定食を食べようかと思う.
<食堂「中山道」に立寄る> <食堂の内部>
■イワナ定食
私は迷わずイワナ定食を注文する.
イワナは勿論美味しいが,小鉢に盛りつけられた信州の「お葉漬」が殊更に懐かしくて美味しい.
今でこそ,私は鎌倉に住んでいるが,もともとは生粋の信州人である.だから,お葉漬,イナゴ,蜂の子など,信州特有の食材には目がない.本音を言えば,イワナが無くても,どんぶり一杯のお葉漬が欲しいなと思うほどである.
<イワナ定食>
<一里塚跡と道祖神>
■四泊の一里塚跡
信号長久保で国道か県道か分からないが152号線の道路と合流する.
暫くの間,依田川と付かず離れずで南西に向かうが,やがてY字型の分岐に到着する.この分岐で進行方向右側の旧道に入る.
12時30分,四泊の一里塚跡を通過する.江戸日本橋から48里目の塚である.資料1によると,昭和35年の道路改修工事で,この一里塚は消滅したようである.
<四泊の一里塚跡>
■道祖神
私たちが歩いている枝道は,ほどなく152号線と合流する.地形図によるとこの辺りの標高は682メートルのようである.
長閑な田園風景が続く.私はこの風景をデジカメに収めたが,何やら設定がおかしいのか,左下の写真のように,随分とおかしな写真になってしまった.このおかしな写真をパソコンで色々弄ってみたが,どうやら極度の露出オーバーになっているらしく,これ以上,見られるようにはならない.
12時35分,道祖神の前を通過する.例によって道祖神には注連縄が掛けられている.
<長閑な田園風景> <道祖神>
■落合橋
信号大和橋で,152号線と142号線が分岐する.私たちは一旦152号線に沿って南下する.そして,落合橋を渡って,142号線に戻る.何だかややこしいが,昔の中山道はこうなっていたんだろう.地形図によると,今,私たちは和田村下和田青原という聚落の南側を通過中である.
<落合橋を渡る>
■長閑な道と水明の里
12時48分頃,私たちは長閑な間道を南西に歩き続ける.日射しが少し強いが,心地よい.
12時54分,「水明の里」と書いてある看板の前を通過する.
<依田川沿いの道を南西に向かう> <水明の里>
■上深山口バス停
13時01分,進行方向左手に草葺きのバス停待合室が建っている.なかなか風情のある建物である.何とも素晴らしい造形美.時間があれば是非スケッチしたいなと思うが,団体行動なのでそれも叶わない.
<上深山口バス停>
■石塔群とみみず道祖神
13時08分,みみず道祖神に到着する.奇妙な碑が立っている.
傍らの案内板によると,ミミズの碑は,この地蚯蚓に住む人々の希望によって建立されたものだという.
蚯蚓地区では,「ミミズの干物(はらわたを出して板の上にはりつけてた)」をつくり,解熱剤として煎じて使ったらしい.
<石塔群> <みみず道祖神>
(つづく)
[参考資料]
資料1:『ちゃんと歩ける中山道六十七次』五街道ウォーク事務局
資料2:今井金吾,1994,『新装版今昔中山道独案内』JTB日本交通公社出版事業局
[加除修正]
2013/8/4 地図の差し替えと当たらし地図の挿入,本文の加除修正を行った.
「中山道六十九宿巡り」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/c4183ed0c83fdc107b5d8f7086fb7cc6
「中山道六十九宿巡り」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b8bc04134e1288bdeb58c411b54fc95b
「中山道六十九宿」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b0fff7ecf75b54c3f443aa58cfa9424e
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