<残雪の塔ノ岳山頂>
猫がのんびりの丹沢:塔ノ岳(第4回)
(単独山行)
2009年1月15日(木)
■何時ものバスに乗車する
天気予報では,今日は北風が強く寒い1日になるとのことである.昨夜から,私は,今日こそ塔ノ岳を往復するぞと思っていたが,北風が強いとなると,どうしても出掛けるのを躊躇してしまう.出掛ける直前,どうしようかと随分迷ったが,結局は意を決し,家を出る.西の空には,満月を過ぎた月が,煌々と輝いている.
外は真っ暗である.誰一人歩いていない.私は寒さで身体を丸めながら最寄りの駅へ急ぐ.大船,藤沢,相模大野と電車を乗り継いで,7時12分,渋沢駅に到着する.途中,伊勢原付近で東の空が明るくなり始めるが,渋沢に到着する頃には,辺りはスッカリ明るくなっている.
定番の大倉行2番バスには.6~7名の登山客が乗り合わせる.その内,3名はご常連.ローギヤー氏も乗っている.さすがに厳冬期の平日なので,登山客も随分と少なくなっている.
■路傍の霜柱
登山口大倉の気温は良く分からないが,ピリッとしている.それでも,風がないために,それほど寒いとは感じない.7時37分に大倉を歩き出す.私より数分先に歩き出したご常連のFさんは,克董窯の軒先で立ち止まって,ストックの準備をしている.私は挨拶をして先に行かせて貰う.ところが,ものの数分も経たない内に,Fさんに追いつかれてしまう.
私はFさんに先を譲る.Fさんは,追い抜きざまに,
「・・・今日は天気が良くて気持ちが良いですね・・・」
と私に話しかける.二言三言雑談を交わした後,先行したFさんと私の間が,だんだんと広がっていく.それでも,暫くの間,私はFさんの10メートルほど後について歩いていたが,高原ノ家分岐を過ぎることから,二人の感覚は,徐々に広がってしまう.
8時13分,ようやく見晴茶屋を通過する.一本松に至る急坂に取り付いたときには,Fさんの姿はもう見えないほど,私は遅れてしまう.今日は珍しく,私の前後に登山客の姿は全くない.私は暫くの間,一人旅になる.
今日の路面の状態は,まあまあである.気温が低いのだろうか,まだ,それ程標高が高くないのに,路傍には霜柱が立っている.
■デジカメの電池
8時41分に駒止茶屋を通過する.何となくからだが重い.そのためか,大倉を歩き出してから,駒止茶屋までの所要時間が1時間04分とかなり遅い.正月休みで鈍ってしまった身体が,まだまだ本調子になっていないなと実感する.
8時50分頃堀山の尾根を通過する.南斜面に雲が棚引く富士山が雪を被って真っ白に輝いて見えている.私はここで富士山の写真を気が済むまで撮ることにする.ところが,またもや電池が消耗していてい,カメラが動かない.そういえば,前回,塔ノ岳に登ったときに,動かなくなった電池を体温で暖めて回復させて以来,そのまま使い続けてきた.もうこの辺が,今の電池を捨てる潮時かもしれない.そこで,仕方なく,デジカメに新しい電池に入れ替える.
<花立山荘前から見た富士山>
■ご常連のYさん
堀山ノ家の手前で,やや長い坂道に取り付く.3人の登山者が喘ぎながら登っているのに追いつく.申し訳ないが追い越させて頂く.
8時58分に堀山ノ家に到着する.目の前の小草平から,抜けるような青空の中に富士山が見えている.ここでも富士山の写真を撮る.そのとき,例の2本ストックのご常連,Yさんが上から駆け下りてきてベンチにどっかりと座り込む.そして小さなペットボトルを取りだして水を飲む.私はYさんに,
「・・・今日は,今日の山頂の気温は何度でしたか・・」
と伺う.Yさんはニッコリとしながら,
「・・・私が出るときにはマイナス8℃でしたよ・・・」
■霜柱が融け始めた萱場平
何となく身体が重くて,体調が本調子でないので,無理をしないように気を付けながら,急坂を登り続ける.登山道は,日中の泥濘が凍結したままになっている.無数の足跡が凸凹のままコチコチになっている.気温が低いのに,ユックリと登っているし,薄着なので,全く汗が出ないまま登り続ける.
9時17分に萱場平を通過する.凍結した地面が朝の太陽を浴びて融け始めている.柔らかくなり始めた地面が白から茶色の変わり始めている.辺りには誰も居ない.
<霜が融け始めた萱場平>
■花立山荘から上は残雪
全くの一人旅で急坂を登り続け,9時38分に花立山荘に到着する.堀山ノ家を通過してから40分も経過している.通常ならば所要時間35分の行程である.いくら路面が悪いとはいえ,ここで5分も超過してしまうのは珍しい.
先週日曜日(1月11日)にここを通過したときに比較すると,残雪は随分と少なくなっているが,それでも花立場から先は,凍結した雪が沢山残っていて,歩きにくい.
<金冷シ付近の残雪道>
■ご常連のYさん
9時49分,私は花立場の平で腰を下ろし,リュックの奥から軽アイゼンを取り出す.ところが,リュックの中の整理がついていないので,なかなかアイゼンが取り出せない.衣類や食料品をリュックから引っ張り出して,その辺に置きながら,漸くアイゼンを取り出す.
こんなだらしないところを山旅スクールのガイドに見られたら一喝されるにちがいない.
「風雪の中でそんなことをしていたら,飛ばされてしまうぞ・・・!」
私がアイゼンを装着していると,ご常連のTさんが降りてくる.Yさんは,私の直ぐ隣で,アイゼンを脱着する.Yさんが私に話しかける.
「・・・今日は暖かですね・・・」
「・・・・」
「アイゼンを履かないと危ないですね.まあ大丈夫と思って,アイゼンを付けないで下山して,尻餅をつきましたよ・・・」
「そうですね.私も安全のために,なるべくアイゼンを装着しています・・」
「2番バスに乗っていたFさんと会いましたよ」
■山頂からの素晴らしい眺望
9時59分に金冷シを通過する.辺りは一面の残雪である.できれば10時前に塔ノ岳山頂に到着したかったが,もうそれは絶対に無理.ここから先は惰性で登り続けて,10時12分に塔ノ岳山頂に到着する.山頂は雪で真っ白である.全く人気がない.
素晴らしい好天なので,周囲の眺望は絶佳.私は尊仏山荘に入る前に,周囲の風景を写真に収める.
この素晴らしい風景を眺めると,今日も塔ノ岳に着て良かったなとつくづく思う.
<塔ノ岳山頂から富士山を望む>
■尊仏山荘の営業部長
尊仏山荘に入る.4~5人の先客が居る.尊仏山荘の営業部長の部下,Oさんが今日の小屋番である.先客に猫好きのSさんが居る.塔ノ岳山頂の10時の気温はマイナス6.7℃.
私が席に座ると,
「お茶で良いですね・・」
とOさんが私に念を押す.
「今日はflower-hillさんにしては,随分と遅いですね・・」
とSさんが話しかける.
「もの凄く遅いです.多分,最近の最低記録です.アイゼンをゴチャゴチャしている内に,2時間33分も掛かっちゃいました・・・」
「私などもっとひどくて,この間は3時間30分も掛かっちゃいましたよ・・」
と苦笑する.
営業部長が,どこからともなくノンビリと姿を表す.
Fさんが,早速,営業部長の世話を始める.ちり紙を取りだして,耳の中のふき掃除をする.
「ほら,こんなに真っ黒になっている・・・」
営業部長は,Fさんにされるままに身を任せている.
私が,Fさんに,話しかける.
「私もあちこち旅行するときに出会った猫の写真を撮ってくるんです・・」
「外国の猫は,口が尖って居るんじゃないですか・・」
「・・私も翌知りませんが,猫にも色々な種類があるみたいで・・・ただ,こいつ(営業部長)は,おっとりしていて,なかなか素直,いい猫ですね・・」
「そうですよ.こいつはとてもおっとりしていて気性が良い猫ですよ・・・何時か犬猫病院に入院させたときに,お医者さんが『この子は素直で良い猫だ・・』って言っていましたよ」
今日は,忠実な僕(しもべ)のOさんと,猫好きのSさんに囲まれ,営業部長は,とても機嫌がよい.
<Sさんと営業部長>
※Sさんの了承を得て,このブログに掲載
<ご機嫌な営業部長>
■花立場でアイゼン脱着
私は,大倉12時52分発のバスに乗りたいと思う.
営業部長と戯れている内に,尊仏山荘を出発する時間が,少し遅くなってしまったが,10時37分に下山を開始する.そして,やや急ぎ足で,山頂直下の階段を下る.最初の階段を下っているときに,同じバスに乗り合わせたご常連の方とすれ違う.
そして,金冷シ近くで,山旅スクール6期のNさんと鉢合わせする.Nさんは,相変わらず元気そうである.6本爪のアイゼンをシッカリ履いて居られる.私がNさんに,挨拶する.
「・・・暫く振りですね.相変わらず塔ノ岳ですか・・・」
「・・・今年になって,友人と登ってきましたよ・・」
10時59分,花立場でアイゼンを脱着する.
丁度そのとき登ってきた男性が,私がアイゼンを外しているのを見て,
「アイゼンなんか・・要りますか? 私は(この程度なら)アイゼン持参していませんが・・」
と話しかける.半ば,アイゼンを使っているのを,さげすんだような気配を感じる.
「私は安全のためにアイゼンを使用しましたよ・・」
と答える.
勿論,私は登山の素人である,とはいえ,実の所,今日の塔ノ岳程度の雪ならば,アイゼンなしで容易に歩ける程度の歩行技術は,登山学校で十分習得している.でも,全てを安全第一に考えて行動するように心掛けている.アイゼンを装着した方が安全と判断したら躊躇無くアイゼンを装着する.
大体,冬山にアイゼンを持たずに登ってくる人の気が知れない.
■克董窯の可愛い猫
今日は,すれ違う登山客の人数が,何時もより大分少ないようである.
花立山荘を過ぎて露岩帯に入った所で,空身のチャンピョンとすれ違う.チャンピョンは,
「やあ,今日は.今日は空身で登っているよ・・」
と私に挨拶してから,もの凄い速度で,坂道をグイグイと登っていく.
堀山の稜線から,富士山が相変わらず良く見えている.また,性懲りもなく写真を撮る.
少し速めに下り続けたので,バスの時間までに余裕ができる.私は風景を楽しみながら下り続ける.
12時35分頃,克董窯に到着する.建家の脇の茂みに,この窯の猫が居る.この猫は,平素,余程可愛がられているらしくて,とても人なつこくて可愛い.呼ぶと必ず「にゃ~」と返事をして,近くに寄ってくる.暫くの間,この猫と戯れる.
12時45分,大倉バス停に到着する.ローギャー氏と偶然同じバスに乗車する.
<克董窯の愛想の良い猫>
[ラップタイム]
7:37 大倉歩き出し
7:41 登山口
7:50 丹沢ベース
7:51 観音茶屋
8:02 分岐
8:11 雑事場ノ平
8:13 見晴茶屋
8:28 一本松
8:41 駒止茶屋
8:50 堀山(写真撮影)
8:58 堀山ノ家
9:15 戸沢分岐
9:17 萱場平
9:38 花立山荘
9:49 花立場(アイゼン装着)
9:59 金冷シ
10:12 塔ノ岳山頂 着
====================================
10:37 塔ノ岳山頂 発(-6.7℃)
10:56 金冷シ
10:59 花立場(アイゼン脱着)
11:04 花立山荘
11:21 萱場平
11:23 戸沢分岐
11:35 堀山ノ家
11:42 堀山
11:51 駒止茶屋
12:02 一本松
12:13 見晴茶屋
12:15 雑事場ノ平
12:22 分岐
12:25 観音茶屋
12:32 丹沢ベース
12:39 登山口
12:45 大倉 着
[山行記録]
■登攀・下降高度 1201m
■水平移動距離 7.0km(片道)
■登攀所要時間
大倉発 7:37
塔ノ岳山頂着 10:12
(所要時間) 2時間33分(2.55h)
登攀速度
1,201m/2.55h=470.9m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:37
大倉着 12:45
(所要時間) 2時間08分(2.13)
下降速度
1,201m/2.13h=563.8m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9ee64733b096408a37b1688b53fc0ac6
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5764c36c8b4b659fd9a3963d3f2f7543
猫がのんびりの丹沢:塔ノ岳(第4回)
(単独山行)
2009年1月15日(木)
■何時ものバスに乗車する
天気予報では,今日は北風が強く寒い1日になるとのことである.昨夜から,私は,今日こそ塔ノ岳を往復するぞと思っていたが,北風が強いとなると,どうしても出掛けるのを躊躇してしまう.出掛ける直前,どうしようかと随分迷ったが,結局は意を決し,家を出る.西の空には,満月を過ぎた月が,煌々と輝いている.
外は真っ暗である.誰一人歩いていない.私は寒さで身体を丸めながら最寄りの駅へ急ぐ.大船,藤沢,相模大野と電車を乗り継いで,7時12分,渋沢駅に到着する.途中,伊勢原付近で東の空が明るくなり始めるが,渋沢に到着する頃には,辺りはスッカリ明るくなっている.
定番の大倉行2番バスには.6~7名の登山客が乗り合わせる.その内,3名はご常連.ローギヤー氏も乗っている.さすがに厳冬期の平日なので,登山客も随分と少なくなっている.
■路傍の霜柱
登山口大倉の気温は良く分からないが,ピリッとしている.それでも,風がないために,それほど寒いとは感じない.7時37分に大倉を歩き出す.私より数分先に歩き出したご常連のFさんは,克董窯の軒先で立ち止まって,ストックの準備をしている.私は挨拶をして先に行かせて貰う.ところが,ものの数分も経たない内に,Fさんに追いつかれてしまう.
私はFさんに先を譲る.Fさんは,追い抜きざまに,
「・・・今日は天気が良くて気持ちが良いですね・・・」
と私に話しかける.二言三言雑談を交わした後,先行したFさんと私の間が,だんだんと広がっていく.それでも,暫くの間,私はFさんの10メートルほど後について歩いていたが,高原ノ家分岐を過ぎることから,二人の感覚は,徐々に広がってしまう.
8時13分,ようやく見晴茶屋を通過する.一本松に至る急坂に取り付いたときには,Fさんの姿はもう見えないほど,私は遅れてしまう.今日は珍しく,私の前後に登山客の姿は全くない.私は暫くの間,一人旅になる.
今日の路面の状態は,まあまあである.気温が低いのだろうか,まだ,それ程標高が高くないのに,路傍には霜柱が立っている.
■デジカメの電池
8時41分に駒止茶屋を通過する.何となくからだが重い.そのためか,大倉を歩き出してから,駒止茶屋までの所要時間が1時間04分とかなり遅い.正月休みで鈍ってしまった身体が,まだまだ本調子になっていないなと実感する.
8時50分頃堀山の尾根を通過する.南斜面に雲が棚引く富士山が雪を被って真っ白に輝いて見えている.私はここで富士山の写真を気が済むまで撮ることにする.ところが,またもや電池が消耗していてい,カメラが動かない.そういえば,前回,塔ノ岳に登ったときに,動かなくなった電池を体温で暖めて回復させて以来,そのまま使い続けてきた.もうこの辺が,今の電池を捨てる潮時かもしれない.そこで,仕方なく,デジカメに新しい電池に入れ替える.
<花立山荘前から見た富士山>
■ご常連のYさん
堀山ノ家の手前で,やや長い坂道に取り付く.3人の登山者が喘ぎながら登っているのに追いつく.申し訳ないが追い越させて頂く.
8時58分に堀山ノ家に到着する.目の前の小草平から,抜けるような青空の中に富士山が見えている.ここでも富士山の写真を撮る.そのとき,例の2本ストックのご常連,Yさんが上から駆け下りてきてベンチにどっかりと座り込む.そして小さなペットボトルを取りだして水を飲む.私はYさんに,
「・・・今日は,今日の山頂の気温は何度でしたか・・」
と伺う.Yさんはニッコリとしながら,
「・・・私が出るときにはマイナス8℃でしたよ・・・」
■霜柱が融け始めた萱場平
何となく身体が重くて,体調が本調子でないので,無理をしないように気を付けながら,急坂を登り続ける.登山道は,日中の泥濘が凍結したままになっている.無数の足跡が凸凹のままコチコチになっている.気温が低いのに,ユックリと登っているし,薄着なので,全く汗が出ないまま登り続ける.
9時17分に萱場平を通過する.凍結した地面が朝の太陽を浴びて融け始めている.柔らかくなり始めた地面が白から茶色の変わり始めている.辺りには誰も居ない.
<霜が融け始めた萱場平>
■花立山荘から上は残雪
全くの一人旅で急坂を登り続け,9時38分に花立山荘に到着する.堀山ノ家を通過してから40分も経過している.通常ならば所要時間35分の行程である.いくら路面が悪いとはいえ,ここで5分も超過してしまうのは珍しい.
先週日曜日(1月11日)にここを通過したときに比較すると,残雪は随分と少なくなっているが,それでも花立場から先は,凍結した雪が沢山残っていて,歩きにくい.
<金冷シ付近の残雪道>
■ご常連のYさん
9時49分,私は花立場の平で腰を下ろし,リュックの奥から軽アイゼンを取り出す.ところが,リュックの中の整理がついていないので,なかなかアイゼンが取り出せない.衣類や食料品をリュックから引っ張り出して,その辺に置きながら,漸くアイゼンを取り出す.
こんなだらしないところを山旅スクールのガイドに見られたら一喝されるにちがいない.
「風雪の中でそんなことをしていたら,飛ばされてしまうぞ・・・!」
私がアイゼンを装着していると,ご常連のTさんが降りてくる.Yさんは,私の直ぐ隣で,アイゼンを脱着する.Yさんが私に話しかける.
「・・・今日は暖かですね・・・」
「・・・・」
「アイゼンを履かないと危ないですね.まあ大丈夫と思って,アイゼンを付けないで下山して,尻餅をつきましたよ・・・」
「そうですね.私も安全のために,なるべくアイゼンを装着しています・・」
「2番バスに乗っていたFさんと会いましたよ」
■山頂からの素晴らしい眺望
9時59分に金冷シを通過する.辺りは一面の残雪である.できれば10時前に塔ノ岳山頂に到着したかったが,もうそれは絶対に無理.ここから先は惰性で登り続けて,10時12分に塔ノ岳山頂に到着する.山頂は雪で真っ白である.全く人気がない.
素晴らしい好天なので,周囲の眺望は絶佳.私は尊仏山荘に入る前に,周囲の風景を写真に収める.
この素晴らしい風景を眺めると,今日も塔ノ岳に着て良かったなとつくづく思う.
<塔ノ岳山頂から富士山を望む>
■尊仏山荘の営業部長
尊仏山荘に入る.4~5人の先客が居る.尊仏山荘の営業部長の部下,Oさんが今日の小屋番である.先客に猫好きのSさんが居る.塔ノ岳山頂の10時の気温はマイナス6.7℃.
私が席に座ると,
「お茶で良いですね・・」
とOさんが私に念を押す.
「今日はflower-hillさんにしては,随分と遅いですね・・」
とSさんが話しかける.
「もの凄く遅いです.多分,最近の最低記録です.アイゼンをゴチャゴチャしている内に,2時間33分も掛かっちゃいました・・・」
「私などもっとひどくて,この間は3時間30分も掛かっちゃいましたよ・・」
と苦笑する.
営業部長が,どこからともなくノンビリと姿を表す.
Fさんが,早速,営業部長の世話を始める.ちり紙を取りだして,耳の中のふき掃除をする.
「ほら,こんなに真っ黒になっている・・・」
営業部長は,Fさんにされるままに身を任せている.
私が,Fさんに,話しかける.
「私もあちこち旅行するときに出会った猫の写真を撮ってくるんです・・」
「外国の猫は,口が尖って居るんじゃないですか・・」
「・・私も翌知りませんが,猫にも色々な種類があるみたいで・・・ただ,こいつ(営業部長)は,おっとりしていて,なかなか素直,いい猫ですね・・」
「そうですよ.こいつはとてもおっとりしていて気性が良い猫ですよ・・・何時か犬猫病院に入院させたときに,お医者さんが『この子は素直で良い猫だ・・』って言っていましたよ」
今日は,忠実な僕(しもべ)のOさんと,猫好きのSさんに囲まれ,営業部長は,とても機嫌がよい.
<Sさんと営業部長>
※Sさんの了承を得て,このブログに掲載
<ご機嫌な営業部長>
■花立場でアイゼン脱着
私は,大倉12時52分発のバスに乗りたいと思う.
営業部長と戯れている内に,尊仏山荘を出発する時間が,少し遅くなってしまったが,10時37分に下山を開始する.そして,やや急ぎ足で,山頂直下の階段を下る.最初の階段を下っているときに,同じバスに乗り合わせたご常連の方とすれ違う.
そして,金冷シ近くで,山旅スクール6期のNさんと鉢合わせする.Nさんは,相変わらず元気そうである.6本爪のアイゼンをシッカリ履いて居られる.私がNさんに,挨拶する.
「・・・暫く振りですね.相変わらず塔ノ岳ですか・・・」
「・・・今年になって,友人と登ってきましたよ・・」
10時59分,花立場でアイゼンを脱着する.
丁度そのとき登ってきた男性が,私がアイゼンを外しているのを見て,
「アイゼンなんか・・要りますか? 私は(この程度なら)アイゼン持参していませんが・・」
と話しかける.半ば,アイゼンを使っているのを,さげすんだような気配を感じる.
「私は安全のためにアイゼンを使用しましたよ・・」
と答える.
勿論,私は登山の素人である,とはいえ,実の所,今日の塔ノ岳程度の雪ならば,アイゼンなしで容易に歩ける程度の歩行技術は,登山学校で十分習得している.でも,全てを安全第一に考えて行動するように心掛けている.アイゼンを装着した方が安全と判断したら躊躇無くアイゼンを装着する.
大体,冬山にアイゼンを持たずに登ってくる人の気が知れない.
■克董窯の可愛い猫
今日は,すれ違う登山客の人数が,何時もより大分少ないようである.
花立山荘を過ぎて露岩帯に入った所で,空身のチャンピョンとすれ違う.チャンピョンは,
「やあ,今日は.今日は空身で登っているよ・・」
と私に挨拶してから,もの凄い速度で,坂道をグイグイと登っていく.
堀山の稜線から,富士山が相変わらず良く見えている.また,性懲りもなく写真を撮る.
少し速めに下り続けたので,バスの時間までに余裕ができる.私は風景を楽しみながら下り続ける.
12時35分頃,克董窯に到着する.建家の脇の茂みに,この窯の猫が居る.この猫は,平素,余程可愛がられているらしくて,とても人なつこくて可愛い.呼ぶと必ず「にゃ~」と返事をして,近くに寄ってくる.暫くの間,この猫と戯れる.
12時45分,大倉バス停に到着する.ローギャー氏と偶然同じバスに乗車する.
<克董窯の愛想の良い猫>
[ラップタイム]
7:37 大倉歩き出し
7:41 登山口
7:50 丹沢ベース
7:51 観音茶屋
8:02 分岐
8:11 雑事場ノ平
8:13 見晴茶屋
8:28 一本松
8:41 駒止茶屋
8:50 堀山(写真撮影)
8:58 堀山ノ家
9:15 戸沢分岐
9:17 萱場平
9:38 花立山荘
9:49 花立場(アイゼン装着)
9:59 金冷シ
10:12 塔ノ岳山頂 着
====================================
10:37 塔ノ岳山頂 発(-6.7℃)
10:56 金冷シ
10:59 花立場(アイゼン脱着)
11:04 花立山荘
11:21 萱場平
11:23 戸沢分岐
11:35 堀山ノ家
11:42 堀山
11:51 駒止茶屋
12:02 一本松
12:13 見晴茶屋
12:15 雑事場ノ平
12:22 分岐
12:25 観音茶屋
12:32 丹沢ベース
12:39 登山口
12:45 大倉 着
[山行記録]
■登攀・下降高度 1201m
■水平移動距離 7.0km(片道)
■登攀所要時間
大倉発 7:37
塔ノ岳山頂着 10:12
(所要時間) 2時間33分(2.55h)
登攀速度
1,201m/2.55h=470.9m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:37
大倉着 12:45
(所要時間) 2時間08分(2.13)
下降速度
1,201m/2.13h=563.8m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9ee64733b096408a37b1688b53fc0ac6
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5764c36c8b4b659fd9a3963d3f2f7543
いつもブログ、楽しく拝見しています。
私は去年の12月29日に久しぶりに塔ノ岳に登ったのですが、あとで同じバスにflower-hillさんが乗っていたことをこのブログで知りました。
以前に一度お会いしているのに、何処でflower-hillさんとすれ違ったのか、全く分かりませんでした。
新しく作りましたブログに、12月29日の塔ノ岳登山のことを今日の日付でアップしておきました。
よろしかったらご覧になってください。
またいつかお会いできる日を楽しみにしています。それでは。
付記:
「一体,何で塔ノ岳に登っているんだろう?」の話、面白かったです。
当ブログにお越しいただき有り難うございました.
早速,諸澤さんのブログを拝見しました.12月29日には,私とほぼ同じ時間に塔ノ岳を登られていたようで,ビックリしております.
あの日は,怪しげな雲が下界に立ち込めていたものの,山頂は綺麗に晴れ渡り,とても気持が良かったです.また,塔ノ岳でお目にかかれるのを楽しみにしています.
諸澤さんの北鎌倉周辺の情報も楽しみにしています.
今年もよろしく御願い致します.