<花立山からの富士山>
爽やかな秋空に富士山を眺めながら登る丹沢;塔ノ岳(今年48回目)
(単独山行)
2014年9月27日(土) 晴
■車窓から富士山が良く見える
何時もの通り,4時10分に自宅を出発する.真っ暗.でも雲ひとつなく晴れ渡っているらしく,満天の星空である.
寒い.多分15℃程度だろう.コーロギの啼き声が弱々しい.
大船から東海道線下り一番電車に乗車する.1~2週間前までは,大船から電車に乗車する事になると,夜が明けていたが,この頃では,まだ薄暗いままだ.涼しくなるのは有り難いが,夜明けがつるべ落としに遅くなるのは何とも淋しい.
それでも,電車が平塚辺りまで来ると,夜が明け始める.そして,国府津を過ぎて,小田原に近付く頃,何本もの電車の架線が交錯する向こうに富士山と矢倉岳が見え始める.
“今日は良い天気だな…塔ノ岳登りも最高だな…”
と思いながら,小田原駅で小田急線に乗り換える.
<東海道本線の車窓から富士山と矢倉岳を望む>
■富士山と矢倉岳のデュエット
小田原で小田急電車に乗り換える.今日は土曜日.通勤客が少ないので,電車は平日より空いている.
すっかり夜が明けて,青空が広がっている.
“今日は富士山と矢倉岳のテュエットの写真,バッチリだな…”
と期待しながら,まるで子どものようにデジカメを構える.
案の定,富士山と矢倉岳がとても良く見えている.ただ,余りに天気が良すぎて,電車の車内が窓ガラスに反射して,写真の邪魔になる.そんなわけで,電車の反対側にある乗降口が画面に映り込んでしまう.でも,こればかりは仕方がない.
<富士山と矢倉岳>
■常連の皆様と一緒に大倉から歩き出す
6時15分,渋沢駅に到着する.
大倉行バス停には,なぜか1番乗り.何時もの土曜日には,駆けっこの若手が私より先にバス停に到着しているが,今日はこの若手の姿が見えない.その代わりに,土曜日のマドンナさんが何ヶ月ぶりかに姿を現す.
小田急線の電車が到着する度に,バス待ちの列がたちまちの内に長くなる.そして,一番バスの発車時間直前に,臨時バスが出る.
臨時バスと1番バスに乗り合わせた常連は,毎日登山のTGさんとYKさん,久々のIIさんとSSKさん,TDさん,KIさん,MTさん,YUさん,HDさん,STさん,THさん,ヤングのTDさんなど.
6時58分,バスは大倉に到着する.
YUさんは,バスが大倉に到着してすぐに歩き出す.
7時10分,TGさん,IIさん,SSKさん達と一緒に,大倉から歩き出す.
毎度のことながら,皆さんの歩き出しの速度がとても速いので,とても,とても,付いて行けない.勿論,頑張れば付いて行けないこともないが,老境に達した私の辞書には「頑張る」という単語はない.私は頑張らずに,先を行く常連さんから少し遅い速度で登り始める.
今日は快晴で湿度もそれほど高くないので,最高の登山日和である.気分最高.でも身体がなかなか私の言うことを聞いてくれない.ジリジリと先行のグループから遅れはじめる.
<常連の皆さんとほぼ一緒に大倉を出発>
■見晴階段
7時17分,登山口を通過して,いよいよ登山道に入る.私の前後には,沢山の登山者が列を作って歩いている.私は,常連の皆さんの後ろを何とか追って歩き続ける.
7時26分,丹沢ベースを通過する.この辺りになると,毎度のことながら,列が大きくばらけてくる.そして,私はほぼ一定速度で歩いているが,当初俊足だった方々の歩行速度が,この辺りからぐっと遅くなる.私は平らな所だけは先に行きますと挨拶して,先頭に出させて貰う.ただ,今日は.何時も俊足のTGさんも遅くなった方に合わせて歩かれている.
7時35分,観音茶屋を通過する.そして,分岐を通過する頃には,私は完全に一人旅になる.
7時54分,見晴茶屋を通過する.大倉からの所要時間は44分.やっぱり遅い.まいぺーすを守りながら,40分程度で歩きたいところである.
すぐに見晴階段に差し掛かる.何時もの通りに定点観測の写真を撮る.私より先を歩いている三角髭のTDさんの後ろ姿が小さく写っているはずだが…
見晴階段を頑張って登ってしまうと,花立山荘辺りでバテてしまうのは自明である.私は自制しながら,焦れったいほどユックリの速度で登り続ける.心の中では,
“これでいいのだ…コレデイイノダ…”
と絶えず自分に言い聞かせながら…
<見晴階段>
■駒止階段
モミジ坂も自重しながら登る.
一本松の手前で,後から登ってきた若い女性TDさんに追い抜かれる.
「…あら,FHさん…YUさんはどの辺りでしょう…」
「…もう,大分先まで行っていると思いますよ…」
「そうですか,ちゃあ…追ってみます」
ということでアッサリ追い抜かれる.若さは羨ましい.
8時11分,やっと一本松を通過する.涼しい風が山麓から吹き上げてくる.実に気持ちが良い.
大倉から一本松までの所要時間は1時間01分.それにしても,なんとも情けない遅速である.つい数年前までは,大倉から一本松までの所要時間を,50分から55分ぐらいに設定していたのに,今はこの体たらくである.でも仕方がないなと一人で愚痴りながら,一本松上の平坦地に差し掛かる.
一本松上のベンチでは,今し方私を勢いよく追い越して行った若手グループ数名が倒れ込むようにして休憩を取っている.無理が利く若手を羨ましく思いながら,先に行かせてもらう.
やがて難所の駒止階段に差し掛かる.正直,シンドイ.イヤだなと思う.私は実にのそのそとだらしなく登り続ける.
8時24分,やっと駒止茶屋を通過する.気温17℃.大倉からの所要時間は1時間14分.ここも,できればマイペースで頑張らずに1時間05分程度のラップで通過したいところである.
■堀山の尾根道
駒止茶屋を通過して堀山の尾根道に差し掛かる.大倉尾根を歩いていて一番楽しいところである.今日は快晴.富士山の眺めを期待しながら,富士山が良く見える場所に到着する.
案の定,今日の富士山は最高.
私はデジカメを望遠にしたり,空に焦点を当てたり…いろいろ条件を変えながら数枚の写真を撮る.そのなかで何とか富士山が写ったのが下の写真である.カメラのことなどからっきし分からない私は,この程度の写真で満足する.
私が写真を撮っている間に,SSKさんが私に追い付く.ここから堀山の家までは,SSKさんと一緒に歩く.
<堀山の尾根道からの富士山>
■小草平から萱場平へ
8時41分,小草平に到着する.
堀山の案内標識を通過した辺りから,胃に違和感を感じ始めた私は,早めに常備薬のツムラ17を服用しようと思う.そこで,堀山の家にベンチでリュックを下ろして,常備薬を取り出す.その間に,SSKさんが,
「…ユックリ先に登っています…」
と私に挨拶して,私を追い越して行く.
その後,私は,SSKさんから,40~50メートルの距離を保ったまま花立山荘に向けて歩き続ける.今日の目標は,気温から判断して,小草平から花立山荘まで所要時間42分で歩きたいなと思う.
途中,何人もの若手の登山者に追い抜かれながら,自分のペースで登り続ける.
8時59分,戸沢分岐の少し手前で,2番バスで来られたFTさんに追い抜かれる.FTさんは相変わらずの俊足である.
9時03分,萱場平に到着する.私のすぐ前を行くFTさんとSSKさんが萱場平のベンチに座り込む.何やらFTさんがSSKさんに写真を見せているようである.反対側には土曜日のマドンナさんが休憩を取っている.
私は萱場平をそのまま通過する.今度は再び私がSSKさんやFTさんより先を歩くことになる.
<萱場平>
■後七分坂
9時16分,後七分坂(花立階段)に到着する.相変わらず富士山が良く見えているので,階段の登り口で,富士山の写真を撮る.そして,階段を登り始める.
登り始めてすぐに,後ろから快調に登って来る人の足音が聞こえる.先ほど萱場平でストップしていたFTさんである.
「ちょっと休んでいる間に,こんなところまで登っているんですね…」
と言いながら私を追い越して行く.彼の俊足がウラヤマシイ.
<後七分坂>
■花立山荘
9時23分,花立山荘に到着する.大倉からの所要時間は1時間13分,遅い! 小草平からの所要時間は目標時間より1分速く41分.ということは,ヤッパリ歩き出しの速度がちょっと低速すぎたかな.
山荘前のベンチでは屈強な感じの若者が数名休憩を取っている.その向こうには相変わらず富士山が良く見えている.
歩き出してエネルギーをセーブしたためか,体力にはまだ十分余裕がある.私は自然体のまま花立山に向けて歩き続ける.
<花立山荘>
■素晴らしい見晴の花立山
花立山荘を通過してから,暫くの間,なおも階段道が続く.私にはこの階段道が大倉尾根の中で一番きつい所だなと何時も思っている.
でも,この階段道を通り抜けて,ガレ場に入ると,歩き易くなると同時に,晴れていれば展望が開ける気持ちが良いところでもある.
今日は最高.
こうなるとラップもヘッタクレもない.展望を楽しみながら沢山の写真を撮る.1枚の写真を撮ると平均15秒のタイムロスを生じることは“承知の助”である.
<花立山山頂付近から富士山を望む>
■秋の兆し
9時23分,花立山山頂を通過する.
ここまで登れば,後は随分と気楽である.私は周囲の風物をジックリ楽しみながら,ノンビリと登り続ける.
やがて馬の背の尾根道の差し掛かる.この辺りから上の木々はそろそろ紅葉し始めている.今年の紅葉は例年に比較して少し早いような気がする.
私は淋しいような嬉しいような気持ちで,紅葉し始めた風景をデジカメに収める.
<色付き始めた鍋割山稜>
■金冷シ
9時40分,金冷シを通過する.気温15℃.
ここまで来れば,塔ノ岳山頂まではあと僅か.急いでもユックリでも,所要時間の差は,せいぜい1~2分程度である.
正直なところ,気分はぐっと楽になる.私は秋の兆しを感じながらユックリ,ユックリと登り続ける.
金冷シから最初の階段を登っているときに,後ろから猛スピードで近付いてくる人の気配を感じる.KMさんである.
「あれ…2番バスですか…?」
「いえ,鍋割山を回ってきました…」
私,ビックリ.
KMさんは私を追い抜いて,どんどん先に行ってしまう.
2番目の階段を登り切る頃,今度は下山してくるYUさん,TDさんとすれ違う.お二人とも早々の下山である.お二人の体力にあやかりたいところである.
<金冷シから上の階段道>
■塔ノ岳山頂
9時55分,塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間45分.花立山荘からは32分,金冷シからは15分である.気温14℃.今日のような好条件の日だったら,2時間30分台で登りたいものだと思うが,なかなかそうはいかない.
山頂に着いてみると,目の高さに雲が湧いてきている.そのために,つい先ほどまで良く見えていた富士山が雲に隠れてしまった.残念.
山頂にはやや冷たい風が吹いているが,日射しがあって心地よい.私より先に山頂に到着したKMさんとTHさんが,山頂の石に腰掛けて日向ぼっこをしている.私もお二人の近くに鎮座して,軽く食事をする.今日は尊仏山荘に入るのは“ヤア~メタッ…”である.
3人で雑談をしていると,どこからともなく鬼神出没のTDさんが現れて,私達の車座に加わる.
10時を少し過ぎた頃,SSKさんが到着する.SSKさんは尊仏山荘へ向かう.さらに,10時10分頃,IIさんが山頂に到着する.
<沢山の登山者が休憩を取っている塔ノ岳山頂>
■下山開始
10時18分,たまたま山頂で一緒になった常連お三方と一緒に下山開始.
途中,山頂直下の階段で登ってくるHNさん,STさんとすれ違う.
階段道の道端で,見事なリンドウに出会う.素晴らしい紫色に感激して思わず写真を撮る.
10時25分,金冷シを通過する.
10時29分,花立山を通過する.
<美しい花に感激>
■梨をご馳走になる
3人で揃って,花立山荘に向かって下山し続ける.
もう少しで花立山荘に到着するところで,いきなり,
「FHさん…」
と女性が声を掛けてくる.街道歩きのお仲間である.
「梨食べますか…?」
食べ物には卑しい私である.一も二もなく,
「はい…食べますよ! 喜んで…」
ここで同行のお二人には先に行ってもらい,私はここでナシ1切れをご馳走になる.そのナシの美味しいこと.山歩きにはナシが良いなと再認識する.
■堀山の家からはTDさんと一緒
10時28分,花立山荘を通過する.山荘前のベンチは登山者で鈴なりである.
ここからは一人旅.せっつくわけでもなく,だらだらでもなく,引力に全く素直にしたがって下山し続ける.途中,沢山の登山客とすれ違う.
11時16分,堀山の家に到着する.
堀山の家に立ち寄ろうかと思ったが,目の前をTDさんが歩いているのを見付けたので,そのまま堀山の家には立ち寄らずに,TDさんと一緒に下山し続ける.
<緑陰の中下山し続ける>
■無事帰宅
TDさんと雑談しながら,ノンビリと下山し続ける.
12時14分,バス停大倉の駐車場入口に到着する.丁度そのとき,渋沢行のバスが出発していく.
「ありゃ~っ…! シマッタ.ノンビリしていないでちょっと急げば,あのバスに間に合ったな…」
私は,土曜日のタイムテーブルでは,多分12時10分頃だと思っていたら,5分遅い12時15分であった.まあ,良いか.
何時もの通り,渋沢から小田原経由で大船駅へ.何とも心地よい陽気である.小田急電車でも,東海道本線でも,眠くて,眠くて,大変である.寝過ごしてはイカンと思いながら,結構色々な夢を見ている.それでも,寝過ごすこともなく,14時少し過ぎに大船に到着する.
“さて,明日は,某山仲間グループと一緒に,金時山ハイキングに行く予定だ…今日は余り道草せずに真っ直ぐ家へ帰ろう…”
という訳で,今日も良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:10 大倉歩き出し
7:35 観音茶屋
7:54 見晴茶屋
8:20 駒止茶屋
8:41 堀山の家
9:23 花立山荘
9:40 花立山
9:55 塔ノ岳 着(14℃)
10:18 〃 発
10:25 金冷シ
10:38 花立山荘
11:16 堀山の家
11:24 駒止茶屋
11:45 見晴茶屋
11:57 観音茶屋
12:14 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:12
塔ノ岳 着 9:55
(所要時間) 2 時間45分(2.75h)
水平歩行速度 7.0km/2.75h=2.59km/h
登攀速度 1,269m/2.75h=461.5m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:18
大倉 着 12:14
(所要時間) 1時間56 分(1.93h)
水平歩行速度 7.0km/1.93h=3.62km/h
下降速度 1,269m/h=657.5m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0b9f6557ba23644b43c73bd34be91047
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/04a13aca8ebc8c80651de73fe5527639
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