<混雑する長谷観音>
鎌倉:雨とアジサイ
(ARENA)
2008年6月21日(土) 雨ときどき曇
アジサイほど雨に似合う花はないかもしれない.
今日はARENAオフミというグループの鎌倉散策の日である.折角の夏至だというのに,朝から雨が降りしきっている.年と取ると,ただでさえ外出するのが億劫になるのに,降りしきる雨が,折角の出鼻をくじかれてしまう.私は心の中で「行く・・行かない・・」を何回も繰り返した後,まあ,兎に角,集合場所まで行こうかと,やっとの思いで腰を上げる.
天気が良ければ,家から集合場所の鎌倉駅まで,源氏山公園を越えて,浮き浮きと歩いて出るのだが,雨の中を,シオシオと歩いて出掛ける気がしない.だがら,端からバスに乗って鎌倉駅に出ようと決め込む.
「怠惰だな・・お前は!・・」と心の中に巣くっているもう一人の私が,表の今の私をからかう.
まあ,そんなこんなの葛藤の末,とにかくアジサイ見物に出掛けることにする.
成り行きで歩いた結果を図示したのが,このルートマップである.カシミールで測定すると,歩行距離9.7キロメートル.累積登攀高度276メートル,累積下降高度274メートルである.ただし,途中1箇所あるトンネルは,トンネルを潜らずに,トンネルに沿って山を直登,直下降していることになるので,登攀,下降ともに,10メートルほど差し引かなければいけない.
<ルートマップ>
■雨の中,集合場所の鎌倉駅へ
迷いながら,9時27分に家を出る.今日は気合いが入っていないので,リュックを背負う気にならない.そこで,ポーチの中に財布,敬老手帳など,極少量の必需品だけを入れ,コーモリ傘を片手に出発する.鎌倉中央公園から京急バスに乗車し,10時少し前に鎌倉駅西口に到着する.駅前のコンビニで,オニギリ1個,あんパン1個だけを買って,鎌倉駅表口に廻る.
今日は雨の土曜日.何時もの土曜日に較べると,駅前に屯している観光客の数は随分と少ないようである.まだ,集合時間まで,少々時間がある.そこで私は,駅前のマクドナルドに入り込んで,1杯100円也のアイスコーヒーを楽しみながら,時間を潰すことにする.たった100円ながら,このアイスコーヒーは結構風味があって美味しいような気がする.
集合時間少し前に改札口前に行く.今日の参加者は大分少なくて,たった4名である.参加者が少ないのは残念.
■ジャックと豆の木
幹事長のNさんの合図で,私達は10時30分に鎌倉駅前から歩き出す.傘をさすほどのこともない霧雨の中を,若宮大路に出て,下馬四つ角を右折する.とりあえずは,最初の目的地である長谷観音を目指して,由比ヶ浜通りを歩き続ける.浜通には,歩いている人がほとんど居ない.何時もゾロソロと歩いている観光客を見慣れていると,ガランとした街並みに随分奇妙な感じを受ける.
途中,立ち寄りたい所が沢山あるが,今日の主題はアジサイである.とにかく真っ直ぐに由比が浜通りを西へ西へと歩く.
途中,近くに「ジャックと豆の木」というパン屋があることを思い出した.本当に小さなお店だが,ここのパンはすこぶる美味しい.昨年も,今日のメンバーと一緒に,この見せに立ち寄ったことを,俄に思い出す.店の入口に「11時から開店」と書いてある.まだ,5分ほど時間がある.店の前で,何となく過ごす.
11時過ぎに,一同パンを購入する.私達がパン屋から出てくると,瞬く間に数名の客が集まっている.どうやら,この店が観光案内書に掲載されているらしい.
<ジャックと豆の木>
※左は開店前,開店するとたちまちの内に人集りがする.
■御霊神社
11時25分,長谷観音前の交差点に到着する.雨模様だというのに,どこから降って湧いたかと思われるほど,いきなり沢山の観光客でごった返している.ほとんどの観光客が,ここまで江ノ電で来ていると察しが付く.
観光客の波に乗って,11時29分,長谷観音の前に到着する.寺の入口に「待ち時間40分」という案内が出ている.
「入るの止めた~っ・・!」すぐに衆議一決.
そのまま駐車場を抜けて,路地に入る.例年通りに,路地に面した民家のお花畑で,時計草が咲いている.そのまま御霊神社に入る.雨模様の鬱蒼とした森林に覆われた社殿は荘厳な雰囲気を醸し出している.此処まで来ると観光客の数は激減する.私達は,社殿の裏にあるアジサイをユックリと観賞する.
<時計草> <御霊神社>
アジサイ小径の端に,十両,百両,千両,万両が並んでいる.草花のことは,私には良く分からないが,一箇所に十両から万両まで揃っているのは珍しいのではないかと思う.
ここの御霊神社は「ゴリョウジンジャ」と呼ぶ.ところが,深沢にある御霊神社は「ゴレイジンジャ」と呼ぶ.なぜ,「ゴリョウ」と「ゴレイ」の違いがあるのか,浅学の私には不明だが,何とも不思議である.どちらも鎌倉権五郎ゆかりの神社だと聞いているが・・・
そういえば,藤沢鎌倉街道を藤沢方面に進むと,道の北側に小さな丘がある.そこにある御霊神社も「ゴレイジンジャ」と呼んでいる.その証拠に,江ノ電バスに乗ると「ゴレイジンジャマエ」というバス停がある.蛇足だが,ここのゴレイジンジャの裏山には,もの凄く沢山のアジサイが植えられているが,果たして咲いているだろうか.これも今の内に確かめておきたい.
「ゴレイ」と「ゴリョウ」,これまた,私にとって,ホーホケキョと並ぶ不思議話である.
■成就院
御霊神社前の踏切を渡る.ここはアジサイをバックに江ノ電の写真を撮る絶好の場所である.沢山の観光客がカメラを構えて,電車の来るのを待っている.私も,一瞬,電車の写真を撮りたいなと思うが,電車を待っているのが面倒なので,すぐに諦める.
路地を進んで,極楽寺坂に出る.角にある力持屋は観光客に人気があるのか,沢山の人が店の前に集まっている.
鎌倉十井の一つである「星の井」の前を通り過ぎる.左手に見える成就院の階段は観光客で鈴なりになっている.ここには,般若心経の文字と同じ数(幾つか忘れた)のアジサイが植えられているという.
私達も人並みに揉まれながら,成就院の石段を登る.あまりの混雑で,心底からアジサイを楽しむ余裕はないが,とにかく見事である.人とアジサイがゴチャゴチャになった写真を数枚撮る.
ものの本によると,昔の極楽寺坂は,成就院と同じ高さにあったという.そういえば,もう10年ほど前になるが,成就院と反対側の階段を登り詰めて,少し山の中に入った所に,いかにも由緒正しい遺構があるのを見たことがある.一体あれば何だったのだろうか.勿論,10年も前のこと.もう時効だと思うので,ためらいながら記述するが,多分,私有地だと思われるので,二度と訪れていない.
<成就院前の賑わい>
<成就院のアジサイ>
■極楽寺
成就院の境内を一回りした後,極楽寺坂を下る.そして,11時52分,極楽寺に到着する.通用門を潜って境内に入る.すぐに満開のアジサイが数本並んでいるのが見える.
写真を撮ろうと思って近付くと,「写真,スケッチお断り」という注意書きがある.なぜ写真を撮ったらいけないのか良く分からないが,お断りというなら撮ってやるものかと,妙な反発心が沸いてくる.
境内は,参拝者が比較的に少なくて,落ち着いて見学ができる.
■十一人塚
12時丁度に極楽寺を後にする.
これからどこへ行こうかと迷う.七里ヶ浜住宅地の裏山を辿って,陣鐘山(標高50m)を経由して鎌倉山方面へ抜けるか,あるいは海沿いに江ノ島,あるいは鎌倉駅方面へ向かうかである.ただ,裏山の方へ行ってしまうと昼食を摂る適当な場所がない.そこで,取りあえずは,稲村ヶ崎で昼食を摂ることにする.
江ノ電沿いに海に向かって進む.途中,江ノ電の踏切を渡って,「日蓮袈裟懸松」の前を通過する.
「日蓮袈裟懸松」は,1271年(文永8年),日蓮が竜ノ口刑場に連れて行かれるときに,袈裟を地で汚すのは恐れ多いと説き,袈裟をおし戴いて,ここにあった松に掛けたといわれる.
再び江ノ電の踏切を渡って,「十一人塚」の前を通過する.
ここ「十一人塚」は大館次郎宗氏主従11人の墓である.1333年(元弘3年),鎌倉攻めのとき,大館氏は,新田義貞のもと,大群を率いて,極楽寺坂の切通に攻め入った.北条側の猛攻撃を受け,最後まで踏み留まった11人が力つきて自刃した所である.
『かまくら子ども風土記』によれば,十一人塚の石碑に「大館又次郎」と刻まれているのは,「大館次郎」の誤りだという.
■稲村ヶ崎
十一人塚近くの駐車場を横切る.
駐車場の片隅に,数年前にできた稲村ヶ崎温泉の建物の前を通り過ぎる.私は,まだ,この温泉に入ったことがないが,入った人の話を聞くと,温泉は黒い色をしているという.この温泉に,どんな効能があるのか,私も調べていない.
某レストランの前に出る.お店はほぼ満席のようである,どうやら若い客が多そうである.
横断歩道を渡って,稲村ヶ崎に到着する.石段を登って,12時14分に稲村ヶ崎の頂上に到着する.襲名の観光客がノンビリと休憩を取っている.私達も,ここで昼食を摂ることにする.
頂上からの眺望は広々としていて気持がよい.時々,小雨が降ってくる生憎の空模様なので,富士山や遠くの山は,全く見えないが.浅い靄に覆われた江ノ島が良く見えている.
私は,先ほど「ジャックと豆の木」で購入したパンを取りだして食べる.
食事をしながら,目の前にあるコッホ博士の碑文を読もうとするが,難解な漢字が沢山出てくるので,殆ど読めない.昔の日本人に比較して,私達の年代が,いかに国語の能力が不足しているかが分かり,慄然とする.
<稲村ヶ崎からの眺望>
■山あじさいの隠れ里
12時48分に稲村ヶ崎を出発する.
また,どちらへ行こうかと迷うが,まずは個人宅で山アジサイを育てて居られる「山あじさいの隠れ里」を訪れることになる.
ここ数年,私は,毎年,「山あじさいの隠れ里」を訪れているが,何時も道順がアヤフヤである.薄れている記憶を辿りながら,江ノ電を渡って階段道をどんどん登る.階段道は,途中,数カ所で,枝分かれするが,何とか迷うこともなく,見覚えのある所に到着する.
細い舗装道路を10数メートル登ると,「山あじさいの隠れ里」通用門に到着する.無事到着したので,内心「ホッ」とする.
アジサイが一杯の庭にお邪魔する.庭の中の狭い通路は,威勢の良いアジサイに囲まれていて,まるでジャングルのようになっている.アジサイをかき分けながら,見させて貰う.アジサイの木や葉に貯まった滴で,たちまちの内に全身びしょ濡れになってしまう.
庭先の展望台で一休みさせて頂く.眼下に七里ヶ浜が広がっている.海は少し荒れていて,地底の砂が舞い上がって濁っている.かなり大きなうねりが絶え間なくうち寄せている.
一回りして,母屋の前に出る.すると家の中から品の良い奥さんが出てきて,
「ようこそお出で下さいました・・・」
と私達に丁寧に挨拶をする.ほんの暫く,雑談をして,13時25分頃,隠れ里を後にする.
<山あじさいの隠れ里>
■秘境の切通
山あじさいの隠れ里付近の枝道を登ってみる.どうやら,山の向こう側には抜けられそうもない.仕方なく,七里ヶ浜側の道路を海に向かって下る.途中,西田幾太郎邸跡へ向かう三叉路を通過する.さらに道なりに下って,老人ホーム鎌倉静養院脇に出る.
一旦,江ノ電の踏切を渡って,稲村ヶ崎駅に出る.駅前を通り抜けて,暫くの間,北上する.そして.稲村ヶ崎2丁目10番の十字路を右折する.直ぐに,急傾斜の道になる.ここを喘ぎながら登ると,陣鐘山に通じる尾根に達する.
この尾根から,今度は東側の急斜面を下る.ここは余所の方々は知らない隠れた切通である.切通を下りきると,直ぐに江ノ電の踏切に出る.この踏切を渡って道なりに進むと,観光客で賑わう極楽寺駅に到着する.
■月影地蔵
14時丁度に極楽寺駅前を通過する.左折して地蔵堂,稲村ヶ崎小学校を通過する.その先で左折して,14時15分に月影地蔵に到着する.ここで,数分の間,休憩を取る.ここまで来ると,観光客は全く居ない.ときどき地元の方々が姿を表すだけである.
お堂の中に美しい地蔵像が見えている.『かまくら子ども風土記』によると,この地蔵は,元々,極楽寺駅先の月影ヶ谷(ツキカゲガヤツ)にあったが,何時の頃にか,現在の位置に移されたらしい.ご本尊は木像.ただ,過去に難解も火事に遭っていて,現在のお像もそれ程古いものではないという.
■火の見下
14時20分に月影地蔵前を出発する.畠や住宅が混在する谷戸を登り詰めて,笛田との境にあるトンネルを通過する.一部の方々は,このトンネルのことをお化けトンネルと呼んでいるようだが,お化けが出るかどうか定かではない.言われてみると,鎌倉には随分彼方此方にお化けトンネルがあることになる.
ちなみに,私は,いかなる場所でも,お化けになど会ったことがない.お化けなど,所詮は大脳の中にある妄想に過ぎない・・・といっていまったら物議を醸し出すかもしれない.
おばけは兎も角,人気のない笛田の谷を北上して,14時40分頃,藤沢鎌倉道路のバス停「火の見下」に出る.途端に自動車の騒音に悩まされる.
■泣きっ面橋
火の見下から,暫くの間,自動車道を西へ進む.途中から脇道に入る.梶原口を通過して,深沢小学校脇の「泣きっ面橋跡」を通過する.源頼朝の命で,仲の良い兄弟が別れ別れにならなくなり,ここにあった橋の袂で何時までも泣いていたという伝説があるらしい.
この辺りから,先ほど触れた深沢の「御霊神社」の森が見えている.
■深沢でお開き
15時05分,私達は深沢,湘南モノレールの車庫前の三叉路に到着する.ここで今回のアジサイ探訪は終わりにする.
近くの居酒屋「天狗」で,軽く懇親会.終わり.
(おわり)
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コメント有り難うございました.
折角,同じような所をあるいていたのにお会いできなくて残念でした.
ARENAの案内がジャイアンさんのところにも届くように,ロングテイルさんに連絡しておきます.
またの機会に,花のレクチャーをお願いします.