<小原の里で一休み>
歩いて巡る甲州道中四十四次(第4回):(5)小原宿から相模湖駅へ
(五十三次洛遊会)
2013年6月9日(日) 晴 (つづき)
<ルート地図>
※再掲(ただし小原宿周辺は詳細に記載)
<小原宿に到着>
■小原宿の概要
資料3には,小原宿は「東西に2町半(約270m)と小さかったが,難所である小仏峠の甲府側に位置するため,重要な宿場であった.西隣に位置する与瀬宿と対応して片継ぎの宿場となっており,江戸・小仏方面から来た人や荷物は当宿から与瀬宿を通り越して2つ先の吉野宿へと継ぎ立てるが,信州・甲府方面から来た人や荷物は与瀬宿から当宿を通り越して小仏宿へと継ぎ立てられた.つまり江戸方面から甲府方面に向かう場合のみこの宿場を利用できる.旅籠は7軒あり,一般の旅人だけではなく身延山や富士山への参拝客も泊まっていたという.前後の宿場は,小仏宿=(小仏峠)=小原宿=与瀬宿となっている.」という説明がある.
資料2(p.288)によれば,小原宿の宿内人口数は275人.内,男151人,女124人.宿内惣家数61軒,内,本陣1軒,脇本陣1軒,旅籠7軒だったという.
■「小原の郷」に到着
13時13分,郷土資料館「小原の郷」に到着する.
広い庭がある立派な建物である.
蒸し暑いので喉が渇く.私は,建物の横にある自動販売機で飲料水を購入して,外のベンチに座って飲む.涼しい微風が吹き抜けて,気持ちがよい.
“もう,ここまで来れば,今日の終点相模湖駅も間近だ…!”
<小原の里>
■「小原の郷」で資料を頂戴する
飲料水を飲み終えてから,建物の中に入る.
大半の仲間が建物の中の椅子にへたり込むように座っている.多くの方は大分お疲れのようである(冒頭の写真).
資料棚にある観光資料を何枚か頂戴する.
<頂戴した観光資料>
■高札場跡
休憩を終えて,13時25分,小原の郷から歩き出す.広い駐車場を抜けると,人通りが殆どない住宅地になる.立派な石垣沿いの歩道を歩く.
13時28分,高札場跡を通過する.
<立派な石垣> <高札場跡>
<小原宿本陣>
■小原宿本陣に到着
高札場のすぐ隣が小原宿本陣である.13時27分,小原本陣着.
資料4によると,
「小原宿本陣は,清水家の建物が使われた.この本陣を利用したのは,信州の高島藩,高遠藩,飯田藩の大名と甲府勤番の役人で,この本陣に泊まりきれない家来たちは,脇本陣や旅籠に分かれて泊まった.
大名の宿であった本陣という建物は,神奈川県下では,東海道と甲州道中で合わせて26軒あったが,現在建物として残っているのは,この小原宿本陣1軒のみで,大変貴重な建物となっている.」
という.
まずは,立派な門構えに驚く.
<小原宿本陣の門>
■小原宿本陣
門を潜って,本陣の境内に入る.
庭の向こうに立派な建物がある.これが神奈川県下に残るっている唯一の本陣かと感銘を覚える.
<小原宿本陣の建物>
■建物の内部
本陣の建物の内部は無料で拝観できる.靴を脱ぐのが面倒なので,2階は見なかったが.どうやら展示場になっているようである.
1階は広い玄関から左手に控えの間,中の間,上段と続く.玄関の奥には納戸,右手には広間,茶の間,お座敷さらにその右奥に土間,勝手がある.控の間には大きな囲炉裏がある.
<小原宿本陣の間取り;パンフレットから引用> <小原宿本陣の1階「控えの間」>
<小原宿散策>
■「かぶとのくわん道」道標(なら嬉しいが?)
13時43分,本陣を出発する.
道なりに歩いて,13時47分,大きな石碑(石の道案内?)を見付ける.何か文字が彫ってあるが,余りに達筆すぎて,悔しいけれども,全く読めない.「湯沢道■かな(?)」 いや,違う.
資料2(p288)によると,この辺りに「かぶとのくわん道」という古道が分岐しているはずだが,分岐の場所は,もっと本陣近くの筈である.だから,多分,この石塔はかぶとのくわん道とは無関係だろう.
同資料によると,かぶとのくわん道は,本陣入口の左手から分岐していて,この道を300メートルほど下ると相模川河畔に出るという.江戸町奉行を勤めた根岸肥前守鎮衛はこの地の出身だという.また,この道は相模湖ができる前の津久井渓谷の面影が残る唯一の場所だとのこと.
<字が読めない石塔>
■ひかえ宿「小松屋」はどこ?
資料1の地図を頼りに,ひかえ宿「小松屋」を探す.資料1の記事によると門構えだけが残っているというが,どこにあるか分からないまま通過してしまう.
資料2(pp.288-289)によると,「ひかえ宿小松屋勇右衛門」は,本陣,脇本陣で足りぬときの控えだという.
そうこうしている内に,まもなく小原宿を通過する.
■旅館「ひらの」の前で右折
13時43分,旅館「ひらの」前の三叉路に到着する.
この三叉路を右折して,緩やかな登り坂を進む.進むにつれて高度が増し,しだいに視界が開ける.
私たちは,もうすぐ与瀬宿に入る.
<旅館「ひらの」>
<与瀬宿>
■与瀬宿の概要
資料2(p.289)によれば,与瀬宿は小原宿より西へ19町のところにある小さな宿場.宿内人口は566人.内,男281人,女285人.宿内惣家数114軒.内,本陣1軒,旅籠6軒の規模である.
今回は与瀬宿の一角にあるJR相模湖駅までの旅である.従って,本陣跡などの見学は次回ということになる.
■えんどう坂
暫くの間,緩やかな登り坂が続く.進行方向右側から道幅が狭い舗装道路が合流すると,やがて峠を越えて下り坂になる.資料1の地図によると,進行方向右手に小さな祠があるようだが,見落としてしまう.
さらにその先で右手から舗装道路が合流する.進行方向左手の谷間に中央本線の線路が見えているが,線路はトンネルの中に消える.私たちはこのトンネルの上を歩いている.
すぐに三叉路になる.どちらの道が甲州街道か少々迷う.
まずは,三叉路を右折して20~30メートル先へ行ってみる.すると眼下にJR相模湖駅が見えている.道路は真っすく相模湖駅に北側に下るようである.
“この道は違うな…”
と直感的に判断する.
念のため,詳細地図を預けたナビゲーション担当に,道を確かめるようにお願いするが,ハッキリしない.
「多分,こっちですよ…間違っていたらゴメンナサイ,そのときは元へ戻ります」
ということで,三叉路を真っ直ぐ進む.
14時00分,三叉路から100メートルほど進んだところで,「甲州道中えんどう坂」と書いてある案内杭を見付ける.
“この道で良かったんだ!”
とホッとする.
えんどう坂は階段道である.階段の段数は数えていないが,ざっと100段ぐらいはあるだろうか.階段の下に住宅が建ち並んでいるのが見える.
<えんどう坂>
■相模湖駅が見える
えんどう坂を下ると中央本線の線路沿いに出る.すぐ先に,今回の終点,相模駅が見えている.もう,終点も間近である.
今回は,大して迷うこともなく,予定通りに全行程が終わりそうである.ナビゲーション地図を用意した私としては,迷わなくて良かったと心底から思う.
<もうすぐ相模湖駅だ>
■相模湖駅に到着
道なりに南へ向かう.前方に与瀬歩道橋が見えている.跨線橋の先に桂北小学校の校舎が見えている.
“シメシメ,地図通りだぞ…”
与瀬歩道橋のところで右折する.道路の両側は,何となく賑やかで,華やいだ雰囲気になる,駅が近いぞと直感する.すぐそこに駅前の信号が見えている.信号で右折する.
14時07分,私たちは,無事,本日の終点である相模湖駅に到着する.
次回の集合場所や時間などを確認してから解散する.ここからは自由行動である.
<JR相模湖駅前>
<懇親会・そして帰宅>
■喫茶「SAGAMI」で帰宅
希望者だけで…と,言っても,結局は全員が参加で,駅前の喫茶店「SAGAMI」で軽くお茶を飲むことにする.
SAGAMIはそれほど大きなお店ではないので,私たちだけでほぼ満席になってしまう.
例によって,また,男性群と女性群に分かれて着席する.
私は400円也のアイスコーヒーを所望する.私は何時もホットコーヒーしか飲まないが,何となく付和雷同で.今回は飲み慣れないアイスコーヒーである.アイスコーヒーも美味しいが,コーヒーの香りを楽しむのなら,やっぱりホットコーヒーだなと改めて思う.
<こーひーしょっぷ「SAGAMI」> <アイスコーヒー>
■やっぱり浜線経由だ!
相模湖駅14時39分発上り電車に乗車する.電車や1分ほど遅延しているようである.
15時05分に八王子駅に到着する.ここは大きな駅なので混雑している.私は混雑が苦手だが仕方がない.運良く15時10分発浜線快速桜木町行電車に間に合う.各自バラバラに空いている席に座る.
私は終点の桜木町で根岸線の大船行に乗り換えるつもりである.多少時間が余計でも乗換が1回で住むので大助かりである.
桜木町で乗り換えるときには,同じ電車に一緒に乗った同行者はどこかに消えていて,私1人になっている.一人旅も気楽で気兼ねなくて良いものである.
結局,17時頃,無事帰宅する.
今回の旅も無事終わった.良かった! 良かった!
<ラップタイム>
8:56 JR高尾駅前から歩き出し
9:05 両界橋
9:15 旧齣木野病院
9:32 バス停荒井
9:42 高尾道分岐
10:00 国際マス釣場
10:21 小仏バスターミナル(10:29まで休憩)
10:31 浅川神社
10:35 宝珠寺(10:37まで見学)
11:52 水垢離場(11:57まで休憩)
11:28 小仏峠(12:00まで昼食)
12:52 美女谷橋
13:11 小原の郷(13:25まで見学・休憩)
13:27 小原本陣(13:43まで見学)
13:48 旅館「ひらの」
14:00 えんどう坂
14:07 JR相模湖駅着
[歩行記録]
■水平歩行距離 11.2km
■累積登攀高度 563m
■累積下降高度 530m
■所要時間(休憩時間を含む)
高尾 発 8:56
相模湖 着 14:07
(所要時間) 5時間11分(5.18h)
水平歩行速度 11.2km/5.18h=2.16km/h
[参考資料]
資料1;完全踏査街道マップシリーズ「ちゃんと歩ける甲州道中四拾四次」五街道ウォーク事務局
資料2;今井金吾,1998,『今昔三道中独案内 日光・奥州・甲州』日本交通公社
資料3;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%8E%9F%E5%AE%BF
資料4;http://www.sagamiko.info/honjin/
(第4回終わり)
(第5回に続く)
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