アンデス・ブランカ山脈紀行;プロローグ(2);催行決定・準備開始
(アルパインツアーサービス)
2016年9月6日(火)~9月16日(金)
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http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b7f21fb6b46462a6596dab0c8f55b785
出発日42日前;2016年7月27日(水)
<旅行準備を始める>
■まずは軽登山靴の靴底に張り替え
登山者検診を何とかパスしたので,ツアーを主催する旅行社,アルパインツアーサービスに申込書類一式を郵送し,申込金若干円を送金した.これで,私は正式にツアーを申し込んだことになる.
出発日は9月6日(火)に決まっている.参加者は7月末日現在で5人(男性3人,女性2人)とのことである.
さて,そうなると,そろそろ旅行の準備のことも考えなければならない.
今,私が一番心配しているのは履いていく軽登山靴のことである.歩く予定のトレッキングコースの登山道がどの程度の感じなのかは良く分からないが.標高4,800メートルを超える高地を通ることになっている.それに数日連続のトレッキングなので,それなりの靴を準備しなければならないような気がしてくる.
そこで,毎週末に塔ノ岳に登っているときに履いている軽登山靴より,ちょっと格が上の革製の軽登山靴を持参することに決める.ただ,この靴は平素余り履いていないので,靴底の減り方が中程度だが,すでに購入してから3年以上経過している.これだけ年数が経っていると,何時靴底がはげ落ちるか分からない.
7月27日(水),私はこの軽登山靴を藤沢にある登山用品専門店に持参して,靴底の張り替えを依頼した.
私の目論見では,出発日までまだ1ヶ月以上時間があるので,十分間に合うだろうと思っていた.ところが,8月にお盆休みがあるので,張り替えが完了するのは9月中旬以降だと言われてしまう.毎日がお休みの私は.世の中では8月はお盆休みがある特別な月だということをすっかり忘れていた.
「どんなに遅くても出発日の前日の9月5日に仕上がらないようでしたら,この靴は諦めます…」
とお店の方にお話ししてから,ともかくこの靴を店に預けることにした.
数日が過ぎた頃,お店から電話で連絡がある.
「…靴底の張り替えは8月末日には仕上がります,料金は13,000円余りです…」
とのこと.
今月末に間に合うんだったら異論はない.正式に張り替えをオーダーする.
■最新の登山用品に感激
ここ3~4年の間,海外の高山に出掛けていなかったので,登山用品をシゲシゲと見て回ることはなかった.
折角,登山用品店に来たんだから…ということで,店内を隅から隅まで見て回る.
まずは登山靴コーナーを見て,陳列されている靴の様子が以前とはがらりと変わっているのに驚く.
私が靴底の修理を依頼したような,革製の重たい靴は,売場からほとんど姿を消している.代わりに色鮮やかなプラスティック素材の靴が並んでいる.手に取ってみるとどの靴も私の革靴より2~3割ほど軽量である.
ついでビックリしたのが雨具である.今,私が愛用しているのはセパレート型でゴアテックスの雨具である.ところが今はもっとずっと軽量で小さく折りたためる雨具が主流のようである.
靴も雨具も,見た途端に買いたくなるが,ここはグッと堪えて,店を出る.
出発日37日前;2016年8月1日(月) 曇
■箱根山ハイキングのお誘い
元勤務先のOM先生の紹介で数年前に仲間に入れて貰った軽登山専門のグループから,8月11日(山の日)に箱根へ行かないかというお誘いがある.勿論,
「…はい,参加させて頂きます…」
と即断即決.
このグループはほぼ全員が男性,しかも石油関係の元偉いさんや大学の先生などが参加している.普通はどこのグループでも女性が多いが,このグループだけは特別である.
今回のコースは箱根のバス停畑宿から歩き出して,飛龍の滝,鷹巣山,鞍部,千条の滝へ下るなかなかユニークなコースである.
ハイキング終了後,底倉温泉で汗を流してから,風祭のどこかで懇親会を開く計画である.
私は,懇親会はスキップするかもしれないが,とにかく今から楽しみである.
■水彩画の制作
すでにこのブログ記事でも記録したように,今日辺りから水彩画の制作に本腰を入れはじめる.
なにしろ,展覧会搬入日の直前まで,ブランカ山脈トレッキングに出掛けることになるので,絵の制作は,かなり計画的に進めないと,まごつくことになるぞと自分自身に言い聞かせる.
水彩画1枚目の作業進捗度は現在30パーセント程度.
まだまだ頑張らなければ…
出発日35日前;2016年8月3日(水) 雨後晴
■塔ノ岳に行きそびれる
夏休み.いよいよ本格的な夏である.
”そろそろ水曜日の塔ノ岳登山を復活しようかな…”
と数日前から思い始めていた.
早朝3時過ぎに起床する.
ところが,残念ながら雨が降っている.天気予報を子細にチェックすると,どうやら日中は雨が止むようだが,さすがに雨が降っている最中に家を出発する気にはなれない.軟弱者の私は,登山を中止してしまう.多分,後になって出掛ければ良かったのに…と後悔するだろうと思うのだが,出掛ける勇気がない.
案の定,鎌倉では10時を過ぎる辺りから,青空が広がり始める.
午前中,雑務をこなしてから,絵の制作と,数年前に登ったペルーのピスコ山の資料の見直しを始める.
絵の方の作業は一気に進んだので,何となく完成するのも近いなという感じになる.我ながら,まあまあ良い絵になるのではないかと予感する.
午後から,恒例のお散歩に出掛ける.
今日は目先を変えて,手広から藤沢方面のブラブラ歩きを楽しむ.もっぱら街歩きなので,ブログ記事にして記録することもないが,お散歩の途中で,東京方面に巨大な積乱雲が立ち上っているのを見る.
”あの雲の下は,多分,豪雨だろうな…”
と思いながら,雲の写真を撮る.
<東京の上空に湧き上がる入道雲>
■スケジュールの確認
夕方,ブランカ山脈トレッキングの日程表を改めて確認する.
今回のトレッキングの日程は,つぎの通りである.
(引用);アルパインツアーサービス社のHPより(月日曜日は筆者記入).
日程 | 発着地 | スケジュール/食事/宿泊地 |
---|---|---|
1 |
9月6日(火) |
午前、東京北米経由都市で乗り継ぎ、ペルーの首都リマへ。 食事機-- 宿泊地 リマ泊 [ホテル] |
2 |
9月7日(水) |
専用車でパンアメリカン・ハイウェイを北上。ユネスコ世界遺産に登録されたワスカラン国立公園の山並みを一望するコノコーチャ峠(4,050m)を越え、ペルー最高峰ワスカランなどを望むワラス(3,050m)へ(約8時間)。 食事朝昼夕 宿泊地 ワラス泊 [ホテル] |
3 | 9月8日(木) ワラス 発静寂の氷河湖 ラフコルタ湖往復 (高所順応日) カルワス 着 |
朝、ワラス発、高所順応を兼ねて、専用車で特別入域許可が必要な静寂のラフコルタ湖(4,250m)を往復。名峰ワンツァンの大氷壁から氷塊が氷河湖に崩落する光景は圧巻です。その後、ワラスより400m低いカルワス(2,650m)へ。 食事朝昼夕 宿泊地 カルワス泊 [ロッジ] |
4 | 9月9日(金) カルワス 発ウルタ谷往復 (高所順応日)ケウシュ 着 |
朝、専用車でウルタ谷からウルタ峠(4,890m)付近を往復。氷雪が美しいコントライェルバス、鋭峰ウルタ、チョピカルキなどの氷雪峰を望みます。広々としたウルタ谷をハイキング(徒歩約1時間)の後、国立公園手前の好展望地ケウシュ(3,500m)へ。
食事朝昼夕 宿泊地 ケウシュ泊 [テント] |
5 |
9月10日(土) |
朝、車で、ワスカラン、ワンドイなどのアンデス屈指の大パノラマがひらけるヤンガヌコ峠(4,767m)を越えて、チョピカルキを望むヴァケリア(3,700m)へ。ロバのキャラバンと共にトレッキング開始。鋭いチャクララフ東峰を眺め、ゆるやかなワリパンパ谷を進み、ピラミデ、パロンを望むパリア谷の出合(3,800m)へ(徒歩約5時間)。
食事朝昼夕 宿泊地 バリア谷出合泊 [テント] |
6 | 9月11(日) トレッキング2日目パリア谷出合 発 タウリパンパ 着 |
タウリラフを仰ぎながら谷をつめ、コースのハイライトのひとつ、ウニオン峠(4,750m)へ。タウリラフ、キタラフなどの雪山と氷河の大パノラマが展開します。広い圏谷のタウリパンパ(4,100m)へ下ります(徒歩約8時間)。
食事朝昼夕 宿泊地 タウリバンバ [テント] |
7 | 9月12日(月) トレッキング3日目 タウリパンパ 発 |
アルパマヨ、キタラフ、タウリラフなどを眺めながら、湖と草原と林が美しいサンタクルスのU字谷を歩き、ヤマコラル(3,600m)へ(徒歩約5時間)。
食事朝昼夕 宿泊地 ヤマコラル泊 [テント] |
8 | 9月13日(火) トレッキング4日目ヤマコラル 発 カシャパンパ 着/発 ワラス 着 |
ヤマコラルよりカシャパンパ村(2,900m)に下りトレッキング終了(徒歩約3時間)。専用車でサンタクルスやワイドイなどの雪山を眺めながらワラスへ。
食事朝昼夕 宿泊地 ワラス泊 [ホテル] |
9 | 9月14(水) ワラス 発 リマ 着 |
専用車でリマへ(約8時間)。深夜、リマ発北米経由都市へ。
食事朝昼夕 宿泊地機中泊 |
10 | 9月15日(木) 北米経由都市 着/発 |
北米経由都市で乗り継ぎ 東京へ。
食事機 宿泊地 機中泊 |
11 | 9月16日(金) 東京 着 |
午後、東京着。
食事機 |
<ヤンカヌー湖>
<ペルー回想>
■懐かしい気分に浸る
この日程表を見ると,ピスコ山に登ったときに訪れたことのある場所も幾つかあるので,懐かしい気分になる.
ヤンカヌー湖の湖水の色は今でも目に焼き付いている.
カルワスやワラスも懐かしい.
ピスコ山で大変お世話になった登山家三井さん,それに現地ガイドのクラディオさん,お二人ともワスカランで遭難されてしまった.クラディオさんの息子さんや奥さんは今どうされているんだろうか(冒頭の表紙).
下の写真は,三井さんとクラディオさんが経営していたコップ山荘で,大宴会が開催されたときのごペルー流の大馳走である.
このご馳走を作るために,クラディオさんの奥さんをはじめ数名の方が集まって朝からずっと料理造りに専念されていた.現地の皆さんのご厚意には,今でも頭が下がる思いである.
<ペルーの大御馳走>
■ペルーを愛する2本の方々
この大宴会のときに,三井さんをはじめペルーを愛する日本人の方々が集まった.
プライバシィのこともあるので,お名前をここで披露するわけにはいかないが,お集まりの方々のお話にとても感銘を受ける.
<コップ山荘に集まった日本の方々>
<鎮魂の旅>
■忘れられない方々
前回のペルー訪問のときには,沢山の方々のお世話になった.今でも感謝の気持ちで一杯である.
沢山の方々にお会いして,大変啓発され勇気付けられたが,その中でも,数年前ワスカラン山で雪崩に遭って犠牲になられた三井さんとクラディオさんのことが,私の頭の中にこびり付いていて離れたい.
左下の写真は三井さん.コップ山荘で夕食の前に挨拶されているところ.
右下はクラディオさん.ピスコ山から下山する途中で,一番ビリカスになった私を優しく労りながら,
「冷たい水でも飲んでください…」
と言いながら,私に水を渡す.
ここからベースキャンプまでの道のりはまだまだ遠い.
<三井さん> <クラディオさん>
■鎮魂のワスカラン
お世話になった三井さんとクラディオさんはワスカランで遭難された.
下の写真はワスカラン.ワスカランは双耳峰である.この写真は向かって右側の峯である.
ピスコ山に入山する途中で,威風堂々のワスカランを仰ぎ見た.
お二人が双耳峰のどちらの峯を目指していたかは私には分からないが.この写真を見る度に,お二人のことが偲ばれる.
今回のブランカ山脈トレッキングに参加しようと思い立ったキッカケの一つは,お世話になったお二人へ哀悼の意を捧げたいということである.
<ワスカラン>
(つづく)
つづきの記事
↓
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4fce88558bbd4b6bfbe9279f32ad6413
「ブランカ山群トレッキング」の目次
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/3ac14bd1d44b99a378555e26864f76b7
「ブランカ山群トレッキング」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9e3ba704d9bf4f7278473747420c4534
[参考資料]
ペルー周遊記(ピスコ山登頂);インデックス
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f78082280c7a6bb87b1810478b6786ea
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