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<陣鐘山付近から鎌倉市内を望む>
新緑の鎌倉;佐助稲荷・鎌倉山縦走
(山旅スクール5期「鎌倉トレッキング会」)
2012年5月21日(月) 晴
<ハイキング地図>
■さて,何処へ行こうか
今日は金環食の日.
鎌倉では未明にかなり強い雨が降る.気象レーダーの映像を見ると,細長い雨雲が三浦半島を南西から北東の方向に横切るように流れている.
今日,もともとは山旅スクール5期の皆さんと金時山へ登るつもりだったが,天気予報では午前中曇午後から雨ということだったので,金時山は中止した.曇で富士山も見えない上に,下山途中で雨に会うのではたまったものではない.
その代わりに,急遽,新緑の鎌倉を散策することに決定.
9時30分に鎌倉駅表口に集合する.参加者は塔ノ岳でもお馴染みのノシイカさん,トドさん,野菜漬物さん他総勢5名.私以外は山好きの女性の皆様である.
金環食の影響か,それとも天気予報の影響か分からないが,平日にしても今日の鎌倉駅前は,やや人出が少ないように思える.気温は幾分高く,湿度も多いらしく,蒸し暑い.
参加者一同,特段,何処へ行きたいという希望もない,ただ,適当に歩きたいと言うだけ.
実は,案内しようにも,適当にどこかへ行きたいというのが,どうしてよいのか分からないので一番困る.私のような素人の案内人泣かせなである.
「どんなところでもい・・・どこでも良いから連れて行け!」
という台詞は,男性の参加者から聞いたことがない.
内心,困惑しつつも,まあ,ともかくは歩き出す.
途中,途中で参加者の意向を聞きながら,適宜,コースを選んであるくしかない.その結果が,冒頭の「ハイキング地図」に示したコースを歩くことになる.
■佐助稲荷
9時35分に鎌倉駅から歩き出す.
まずは市役所通りを西へ向かう.トンネルを一つ越えてから,右折して狭い路地に入る.路地の奥まったところの大根料理店「福来鳥」の前で早速最初の道草である.
店の前で,おしゃべりをしていると,店の中から女将が出てきて,
「すみません,まだ営業時間前なんです・・・」
と私たちに挨拶する.
ついでに,お店のチラシを数枚貰って,サヨナラ.
路地を抜けて,銭洗弁天に向かう道に出る.観光客の姿がチラホラと見え出す.途中から左折して佐助稲荷参道に入る.
10時06分,佐助稲荷下社に到着する.
沢山の赤い鳥居と甘い幟旗が立ち並ぶ参道を登ると,むせかえるような新緑である,階段を登って上社に到着する.
社殿の前で,お参りをしていると,どこからともなく神主が現れて,
「ご苦労様です・・」
と私たちに挨拶する.
<緑滴る佐助稲荷上社>
■常磐緑地を抜ける
上社の裏手にある急坂を登る.早朝降った雨で,登山道の岩肌が濡れて滑りやすくなっている.
ほんの数分で,尾根道に突き当たる.
右折してから,30メートルほど尾根道を進むと裏大仏ハイキングコースに出る.さらに右折して,30~40メートルほど源氏山公園方向に歩いてから,今度は左折.常盤台緑地の中に入り込む.
ここ常盤台緑地は,広町緑地,台峯緑地とともに鎌倉三大緑地の一つである.鬱蒼とした大木の間を細い山道が続く.まあ,歩き易いトラバース道である.
ところどころで倒木が行く手を遮る.暫く進むと山道は二手に分岐する.右手の道は,尾根沿いに旧野村総研に通じている.そして,やがてはバス停梶原口近くで下山する.
分岐を左手に進むと,北条氏常磐邸跡に通じている.
ここでも,どちらへ行こうかと迷うが,結局は北条氏常磐邸跡へ向かう.
急傾斜の下り坂が連続する,鎌倉石が露出している路面が濡れていて滑りやすい.私はこの種の下り坂が苦手である.ノソノソと屁っ放り腰で,転倒しないように注意しながら下山し続ける.
<佐助稲荷の裏山から裏大仏ハイキングコースへ>
■北条氏常磐邸跡
新緑に覆われた山道は,とても気持ちがよい.何時の間にか,湿度が下がっているのか,そよ風がとても心地よい.
やがて,薄暗い森の中から飛び出すように明るい畑に到着する.毎度の事ながら,ここまで下るとヤレヤレと安堵する.畑の縁を通り抜けて,なお暫くの間ジグザグの下り坂が続く.
10時37分,北条氏常磐定跡タチンダイ方面へ向かう道との分岐に到着する.ここは北条政村別邸跡.氏谷間の下を通る市役所通りをより,少し標高が高い台地になっている.ここは「たちん台」と呼ばれている(資料1.pp.273-274).
「また,ここまで戻りますが,折角だからタチンダイを見学しましょう・・・」
ということで,ここで右折する.
目の前に雑草が繁茂する原っぱが広がる.たちん台の真ん中に1人がやっと歩けるほどの細道が続く.最近整備したらしく,木材チップが敷き詰められている.たちん台が突き当たる一番奥まで行ってみる.
突き当たりには,立派なヤグラが数基並んでいる.
ここは北条政村の常磐邸跡である.政村は,第2代執権北条義時の第4子,後に第7代執権になった人物である.
なお,「たちん台」の語源は,”館(たて)のあった台地”を意味する「館の台」,あるいは「立ち見台」がなまったものといわれている(資料1,p.274).
<たちん台>
<たちん台の奥にあるヤグラ>
■法華堂跡・北条義政屋敷跡
往路を戻り,10時51分,市役所通りに出る.市役所通りを右折.御所ノ内方面へ向かう.2車線の道路を,かなりの自動車が往来するので鬱陶しい.
常磐邸跡に引き続いて,進行方向右手には,民家がパラパラと立ち並ぶ.この辺りに北条義政,政村の持仏堂や墓堂があったらしく,この辺りを法華堂跡という(資料1,p.274).
続いて円久寺の手前に,北条義政の屋敷跡がある.
北条義政は第3代執権北条泰時の弟,北条重時の子である(資料1,pp.273-274).彼は長野県上田市塩田に領地を持っていたので,塩田武蔵野守義政と呼ばれていた.上田市といえば私の生家のある小諸市の近くである.また,私は上田市にある中学,高校に通っていた.そんな縁から,今でも“塩田”には懐かしさを感じる.
■火の見下
円久寺の手前,殿入下の三叉路を左折して,市役所通りの裏道に入る.川の名前は分からないが小川沿いの閑静な住宅地を歩き続ける.川沿いの土手にはイワタバコが生えている.何とも長閑な住宅地である.
やがて,この道は,バスが通る藤沢鎌倉道路に突き当たる.そこで左折,間もなくバス停火の見下に到着する.ここが大仏坂切通への西側入口になる.
<バス停火の見下;この案内板のすぐ先を左に入る>
■大仏切通
左折してバス停火の見下脇の路地に入る.路地はすぐに突き当たって右折,さらにいくつかの道に枝分かれする.少々分かりにくい所である.
民家の軒下をかすめるようにして路地を抜ける.
路地を抜けた途端に,いきなり山道になる.ここが大仏切通の始まりである.
深い谷間の道を登る.入口から切り通しに入って間もなく,進行方向左手にはやぐら群が見える.崩落の危険性があるのか,やぐら群の手前に虎ロープが張られていて,やぐらには近づけないようになっている.
ここで,数分の間,やぐらを眺めながら小休止.
そうこうしている内に,どなたかが,
「お腹が空いた・・・はやく昼飯に・・・」
と言い出す.まだ,11時15分なのに・・・・
切通を先へ進むと涼しい風が木立を抜けて吹いている.実に気持ちがよい.
<大仏切通のヤグラ>
<大仏切通>
<珍しい! 場所は秘密>
■長谷配水池で昼食
大仏切通を東側の入口まで抜ける.
切通の崖や巨石は新緑の苔に覆われていて,素晴らしい雰囲気を醸し出している.急坂を登り切ると,尾根沿いの心地よい散策路になる.
峠を越えると,一旦,階段道をかなり下の方まで降りて,切通東側の入口に到着する.ここから,大仏隧道の上を通過する長い階段を登る.結構大変である.
11時38分,階段を登り切って,長谷配水池に到着する.配水池に隣接する小高い場所にあるベンチに腰掛けて,少し早めの昼食を摂ることにする.
例により,野菜漬物さんから,沢山のおかずが提供される.何れも手造り.珍味で,大好評である.
<長谷配水池>
<野菜漬物さん提供の食べ物>
■月影地蔵堂
12時25分,昼食を終えて,極楽寺2丁目の谷戸を南に下る.狭い谷戸沿いの住宅地が続く.暫くの間,続く.
途中,民家の庭先の花で,しばしば立ち往生する.そして花を眺めながら雑談.
なかなか先へ進まないが,元々どこまで行くという宛もない.すべてを成り行きに任せ.まあ,適当な時間に然るべきところに到着して,
「今日は,ハイ・・・,ここでお仕舞いです」
で構わない.気楽と言えば気楽である.
12時45分,稲村ヶ崎小学校前の三叉路に突き当たる.
ここで,内心,少々迷う.左折して極楽寺を見学してから,成就院前を通って,鎌倉駅まで歩くのも,なかなか良いコースである.右折すれば,鎌倉山の高級住宅地辺りを通って深沢へ抜ける展望コースが楽しめる.
どちらに行こうかと迷うが,アジサイの時期には必ず成就院を訪れるので,今回は,鎌倉山コースを選ぶことにする.
今村が先小学校の前で右折,さらにその先の三叉路を左折する.この道を直進すると,一部の方が”おばけトンネル”と読んでいるトンネルを抜けて馬場ヶ谷方面に出ることができる.
トンネルを潜って,馬場ヶ谷に出ようか,あるいはお山の道を通って鎌倉山神社方面に行こうか,どうしようとまた迷う.
12時50分,どうしようか迷いながらも月影地蔵堂に到着する.
「月影地蔵って言う名前が素晴らしい・・・」
私はここを訪れる度に,そう思っている.
ここで小休止.
<月影地蔵>
■陣鐘山尾根道から鎌倉山へ
時間が未だ早いので,月影地蔵堂で左折して陣鐘山の尾根道まで登ることにする.
墓地の近くのジグザグ道を暫く登って陣鐘山の尾根に到着する.尾根筋に出ると,心地よい海風が吹き抜けている.実に心地よい.
稲村ヶ崎断崖沿いの尾根道に沿って,北北西にノンビリと歩く.やがて三叉路に到着する.左手の道を辿ると,ほどなく聖福寺跡付近を経由して稲村ヶ崎5丁目に住宅地に出る.聖福寺は聖福寺谷の突き当たりに位置している.ここは北条時頼が息子の時宗と宗政が無事に育つように祈念して建立した寺であったが,室町時代に廃寺になってしまった(資料1,p.167).
また,ここは新田義貞鎌倉攻めの時に,ここに陣地を置いたところでもある.
私は,一瞬,この史跡を訪れても良いなと思ったが,まあ,今日のメンバーには,史跡より眺望の方が良いかなと思って,側の道を進むことにする.
山道は間もなく終わって,鎌倉山の住宅地に到着する.
住宅地に入ったところが見晴らしの良い高台になっている.ここから,遠くに二子山,阿部倉山,逗子マリーナが連なって見えている.その手前には,鎌倉市内,材木座海岸が見えている.正に眺望絶佳の場所である.
<陣鐘山の尾根から稲村ヶ崎を見下ろす>
■鎌倉山神社・肉弾三勇士碑
ここから,由比ヶ浜と江ノ島を見下ろす見晴らしの良い道路が続く.ここは袋小路になっているので,自動車も通らない.お散歩にはもってこいの場所である.
13時17分,鎌倉山神社に到着する.小さな神社だが,手入れが良く行き届いている.ここは笛田の三嶋神社を分祀したところである.
続いて13時24分,三叉路脇にある肉弾三勇士碑を見学する.こんもりとした大木と雑草に覆われている.いかにも蚊が居そうなところなので,私は近付かない.
<鎌倉山神社> <肉弾三勇士碑>
■鎌倉山碑
鎌倉山1丁目19番地付近,林間病院入口から谷戸を北へ下る.山沿いの閑静な住宅地が続く.所々に飢えられているアジサイの花がそろそろ咲きそうである.
やがて進行方向左手の眺望が開け始める.長閑な雰囲気の畑の向こうに,常磐緑地が見えるようになる.さらに先へ進んで,バス停若松付近で鎌倉山さくら通りに突き当たる.この道はバスが通る表通り.自動車の往来が結構あって忙しない.
バス通りを,ほんの数分,鎌倉山ロータリー方面に歩いて,再び右折して裏道を歩く.敢えて舗装してない砂利道が続く.両側には広大な山林を抱える住宅が続く.チマチマハウスに住んでいる私などには想像もできない広々とした宅地が続く.
やがて13時55分,菅原通齋縁(ゆかり)の鎌倉山碑に到着する.
碑の近くのベンチで休憩.
一同,へたり込むような仕草でベンチに座り込む.私には,皆さんが果たして疲労しているのか,それとも余力があって元気なのか判断しかねる.くどくどと伺うがどうもハッキリしない.それでも元気なように思えるので,引き続き,鎌倉山の散策を続けることにする.
<裏道に入る> <ローストビーフ鎌倉山入口>
■ローストビーフ鎌倉山を経由して鎌倉山の駐車場へ
鎌倉山碑から,ほんの数分,右手の少し長い階段を登って,さくら通上の裏道に入る.展望の良い道である.
14時24分,レストラン「ローストビーフ鎌倉山」入口に到着する.バッチい格好をしている私たちは,当然,この店の中には入れない・・・・が,どうせ私には縁のない高級店.まあ,いいか.
さらに,くねくねと曲がりくねる裏路地を辿る.竹林の脇の細い道を通臨抜けて,鎌倉山ロータリー近くの駐車場に到着する.ここは展望の良い所である.目の前には,今日,これまで歩いてきた常磐緑地,鎌倉山が一望の下に見えている.下から吹き上げてくるそよ風も実に心地よい.ここでまた,一休み.
<鎌倉山から江ノ島を望む>
■笛田から深沢へ
駐車場から教養センター裏手を通る坂道を下る.沿道には竹林や墓地がある.やがて,萩郷団地入口で,笛田川沿いの谷戸に入る.谷戸には田園風景が広がる.
自動車道を避けて,上庭,八反目,亀山を通過する裏道を通って,14時50分,深沢の相鉄ローゼンに到着する.ここで,10分ほどトイレ休憩を摂る.
<鎌倉山ロータリー近くの駐車場からの眺望>
■喫茶店「コメダ」で懇親会
15時02分,深沢の喫茶店「コメダ」に到着.
お茶を嗜みながら,懇親会を開催する.
例によって,話題は尽きないので,瞬く間に,おしゃべりが,1時間余り続く.話の途中で,ノシイカさんから.箱根の浅間山,鷹巣山のアジサイを見に行こうという提案が出たが,すぐに話が脱線して,うやむやになる.私は話が脱線してしまったことに気がついたが,敢えて放置する.
16時過ぎ,藤沢行きバスの時間より早めにお開きにする.
「どうせ,バス停近くの八百屋に立ち寄るんでしょうから,早めに出ましょう・・」
と促す.
「今日は立ち寄らないでまっすぐ帰ります・・・」
とどなたかが言う.しかし,結局は,この八百屋に立ち寄って,私以外のほぼ全員が,
「これ安いね・・」
と言いながら,なにがしかの買い物をする.
私は心の中で,
「やっぱり!・・・結局,私が言ったとおりでしょう・・・」
と,ほくそ笑む.
バス停深沢で,藤沢駅や大船駅へ向かう皆さんをお送りしてから,ブラブラと坂道を登って帰宅する.
今日の散策は,水平歩行距離約9キロメートル,累積登攀下降高度は350メートル弱.極々軽い散策だったが,歩かないよりは,よほどまし.予想以上に天気に恵まれて,楽しい一日であった.
<コメダのコーヒー>
<ラ」ップタイム>
9:35 鎌倉駅歩き出し
10:01 佐助稲荷下社
10:06 佐助稲荷上社
10:15 裏大仏ハイキングコース
10:37 タチンダイ入口
10:40 タチンダイ
10:51 市役所通り
11:07 バス停火の見下
11:16 大仏坂切通ヤグラ
11:33 大仏坂切通入口
11:38 長谷配水池(12:25まで昼食)
12:45 稲村ヶ崎小学校
12:50 月影地蔵
13:13 鎌倉山住宅地
13:17 鎌倉山神社
13:24 肉弾三勇士碑
13:55 鎌倉山碑(14:03まで休憩)
14:14 ローストビーフ鎌倉山
14:24 鎌倉山ロータリー駐車場
14:50 相鉄ローゼン(15:00まで休憩)
15:02 深沢(コメダ)着
[ハイキング記録]
■水平歩行距離 9.1km
■累積登攀高度 349m
■累積下降高度 348m
■所要時間(休憩時間込み)
鎌倉駅 発 9:35
深沢 着 15:02
(所要時間) 5時間27分(5.45h)
水平歩行速度 9.1km/5.45h=1.67km/h
[参考資料]
資料1:鎌倉市教育センター(編),2009,『かまくら子ども風土記』鎌倉市教育委員会
(おわり)
「鎌倉あれこれ」の前回の記事
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