中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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歩いて巡る甲州道中四十四次(第8回);第1日目(5);信濃国に入る

2014年04月29日 05時59分42秒 | 甲州道中四十五宿

                                                                              <山口の関所跡>

    歩いて巡る甲州道中四十四次(第8回);第1日目(5);信濃国に入る
             (五十三次洛遊会)
       2014年4月18日(金)~20日(日)

第1日目;2014年4月18日(金) 
つづき)

<ルート地図>



<上教来石から山口へ>

■山口素堂生誕地
 巡礼四国八拾八箇所供養塔を訪れた私たちは,15時23分,山口素堂生誕地に到着する.新緑が芽吹き始めた静かな台地に大きな石碑が立っている.
 この大きな石に刻まれた文字は幾分摩耗していて読みにくいが,資料2(p.349)によると,一番右に山口素堂先生生誕地と刻字してあるようだ.そしてその左に有名な俳句,
 “目には青葉 山ほととぎす はつ松魚”
が彫り込まれているようである.
 物事に疎い私は,松魚が鰹のことだと,初めて知った.
 確かにここに石碑は立っているが,このあたりのどこが山口素堂の生誕地かは,と下津狩りの私たちには良く分からないが,まあ,仕方ないということにしておこう.
 それにしても,この辺りには山口素堂に関連する石碑が多い.歌や文学に疎い私でも,“山口 who?” 少々気になる.
 資料4には,山口素堂は,「上
教来石村(現・北杜市),元禄8年(1695年)に甲斐を旅した『甲山紀行』によれば甲斐は亡妻の生地と記されており,異説もある.家業として甲府魚町で酒造業を営む家庭に生まれ,幼少時に甲府へ移る.20歳頃に家業の酒造業を弟に譲り江戸に出て漢学を学ぶ.・・・延宝2年(1674年),京都で和歌や茶道,書道なども修める.翌延宝3年(1575年),江戸で初めて松尾芭蕉と一座し…退隠し,互いに親しく交流した.…元禄8年(1695年)には甲斐を旅し翌元禄9年(1696年)には甲府代官櫻井政能に濁川の開削を依頼され,山口堤を築いたという伝承がある…」と紹介されている.
 どうやら,この地方に大変な貢献をした人物のようである.


<山口素堂生誕地碑>

■鳳来山口の関所跡
 15時25分,大目沢橋を渡る.
 15時27分,山口の関所跡に到着する.道路沿いに「山口の関所跡」と書いてある大きな案内柱がある.その近くに先端が尖った大きな石塔が置かれている.石塔の右には関所跡の案内板が立っている.
 私たちは山口の関所跡で10分ほど休憩を取ることにする.
 資料1およびこの案内板によると,藩士2名,下番2名が厳しく取り調べを行っていたという.甲斐国と信濃国の国境に設置された番所である.「女御改め男手形いらず」甲斐24関の一つだという.
 
<山口番所跡碑>                            <西番所跡碑>

■「目には青葉…」の歌碑
 休憩を終えて,15時34分に番所跡から歩き出す.暫くの間は田園の中を一直線に続く長閑な道が続く.
 15時45分,国道20号線との交差点に到着する.
 地図には,この交差点付近にコンビニがあると記載されているが,廃業したのかコンビニは見当たらない.
 コンビニ跡らしき広場の奥に,大きな石碑が置かれている.
 近付いて見ると,この石碑にも「目には青葉…」の句が刻字されている.

<「目には青葉…」の歌碑>

<信濃国へ入る>

■旧道に入る
 資料1の地図にしたがって,国道20号線を横断して,草道の旧道に入る.どこかの会社の駐車場のような所を抜けて草道が続く.
 「こんなところ通って良いのかな…?」
と訝りながら先へ進む.

<草道の旧道に入る>

■国界橋
 15時51分,黒界橋に到着する.
 随分と古い橋である.橋の名前が右から左に向けて書いてある.
 橋の上には枯れ葉が堆く降り積もっていて,最近人が通った形跡がない.
 「どうもおかしいな…」
と思いながらも黒界橋を渡る.
 橋を渡った先には,全く思いがけないことだが,電流ネットが張ってある.
 “あじゃ~ぁ…!”
 ここは通行止めになっていたのだ.
 歩きながら,何だかおかしいなと思ってはいたが,とにかく今は先ほどの国道20号線に沿って新国界橋を渡るしかない.
 これから甲州道中の旅をする人は要注意.
 何れにしても,私たちはいよいよ長野県諏訪郡に入る.
 
<国界橋>                                               <国界橋のプレート>

■敬冠院の日蓮上人高座石
 15時58分,新国界橋から約100メートル先へ進んだところにY字形の三叉路に到着する.この三叉路が敬冠院である,傍らに「南無日蓮大菩薩」の石碑が立っている.この石碑を目印に急な坂道を少し登って,案内板にしたがって右折する.
 狭い道を10~20メートル奥へ進んだ左手に日蓮高座石がある.近くにある説明文によると高さ2.4メートル,周囲5.45メートルである.当時,村には疫病が流行していたので日蓮はこの岩に座って三日三晩説法とともに加持祈祷をして霊験をあらたかにしたという.
 資料1によると,流罪の佐渡から鎌倉に戻った日蓮は,文永11年(1274年)5月甲州の見延山に移り住み,この石に腰掛けて説法をしたらしい.
 説明板の記事によると,「敬冠院の境内とその付近にはサルスベリ,ヤブツバキ,シュロ,ビワなどが繁茂しているが,この辺りのような高冷地でこれほどの大木に成長しているのは珍しいという.特にサルスベリは推定樹齢200年」だという.

<日蓮高座石>

■真福寺
 高座石前のY字型三叉路を右に入る.やや急な登り坂である.どうやら堂坂というらしい.道の両側には立派なただずまいの家が連なっている.下蔦木の集落のようである.
 16時05分,坂道の突き当たりにある真福寺に到着する.立派なお寺である.
 資料1および資料2(p.351)によると真福寺はもともと真言宗の寺だったが日蓮に感応して日蓮宗に改宗したという.
 私たちは真福寺で参拝を兼ねて,休憩を取る.

<真福寺>

■真福寺の浄行菩薩像
 真福寺の境内入口に大きな一枚岩を削って作った池がある.この池の真ん中に浄行菩薩の立像が安置されている.
 それにしても,この大きな石,いや岩だ.もともとここにあったのだろうか.それともどこかから運んできたのだろうか.この岩の上をくり抜いて池にしている.とにかく大きな岩にびっくりである.
 浄行菩薩の向こうには今が見頃なサクラ(?)が見えている. 
 仏教のことに疎い私には,浄行菩薩のことが良く分からない.資料4によると,「日蓮宗・法華宗では,『法華経』に登場する上行(じょうぎょう),無辺行(むへんぎょう),浄行(じょうぎょう),安立行(あんりゅうぎょう)を四菩薩(あるいは四士)と称する.」とのことである.
 これ以上ぐだぐだと書き連ねるのは,ご一緒頂いた皆様には,正に「釈迦に説法」になるので,この辺りで浄行菩薩に関する記述は打ち止めにておこう.

<真福寺の浄行菩薩>

■道祖神など石塔群
 16時09分,真福寺を出発する.
 真福寺の前のY字型の三叉路を左折する.三叉路には沢山の道祖神などの石塔が立ち並んでいる.
 辺りは一面の田んぼと森である.

<道祖神など石塔群>

■庚申塔と子の神
 16時15分,再び国道20号線に接近する.そこで国道20号線と並行する畑中の道と合流する.この合流点に3基の庚申塔が並んでいる.
 合流点を挟んで庚申塔と反対側の土手上に大きめの石塔が2基並んでいる.資料1の津図によると,この石塔はどうやら子の神のようである.
 地図で現在地を確かめる.どうやら次の蔦木宿も間近なようである.
 
<畑中の道祖神>                                <子の神>
                                            (つづく)
[参考文献]
資料1;完全踏査街道マップシリーズ「ちゃんと歩ける甲州道中四拾四次」五街道ウォーク事務局
資料2;今井金吾,1998,『今昔三道中独案内 日光・奥州・甲州』日本交通公社
資料3;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E7%B4%A0%E5%A0%82                                    
資料4
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E8%8F%A9%E8%96%A9
                                          (つづく)


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