戸隠山・飯縄山登頂(3)<戸隠小舎>
<山旅スクール挑戦コース>
2007年10月13日(土)~15日(月)
第1日目 10月13日(土)(その3) 晴時々曇
<戸隠小舎>
■まずは風呂に入る
物見岩で岩稜演習を終えた私達は,川中島バスの路線バスと,戸隠小舎の送迎バンを乗り継いで,16時28分に戸隠小舎に到着する。
戸隠小舎の建物の中に入る。少々狭い玄関を入ると目の前と右手にドアーがある。左手には小さな売店がある。右手のドアーの奥には食堂があるようだ。
<戸隠小舎の送迎バン> <戸隠小舎の外観>
目の前のドアーを開けて中に入る。かなり広い談話室になっている。どこの団体か分からないが,10数人の中高年男女が談話室を占有している。私も談話室に入ってみるが,何とも居心地が悪い。タバコの匂いもする。私は,堪らず,すぐに談話室を飛びだす。
添乗のヤマさんが部屋割を発表する。私は同性の方と2人で6畳の和室に案内される。山の中の宿としては,十分な広さがあるので大満足である。とりあえずは,部屋の隅に,リュックを置いて,テーブルの前に座り込む。今夜の夕食は,混雑しているので,少々早く,17時30分からだという。まだ夕食までには,少々時間はあるが,外を散策するほどの余裕はない。それでは,夕食前に風呂に入ってしまおうと思う。
風呂は1階の少々ややこしいところにある。談話室の手前のドアーを開ける。すると直ぐ左手に女性用の洗面所が見える。その一寸奥を右手に曲がると男性用の洗面所がある。この洗面所を抜けると,突き当たりが風呂場,左手奥がトイレになっている。廊下と洗面所には段差があるので,よほど注意して歩かないと,すぐに蹴つまづいてしまう。通路が左右に曲がりくねっているので,戻るときに,間違えて女性用洗面所に飛び込みそうになる。
それはともかく,こんな山奥で,お風呂に入れるのは有り難い。出発前に貰った案内では,お風呂には,タオルや石鹸の類は何もないという説明を受けていたが,実際には,シャンプーとボディソープは備え付けられている。馬鹿でかい入れ物に入ったシャンプーとボデーソープが,洗い場の片隅に,数本無造作に置いてある。
浴槽は数名の客が入れるほどの広さがある。お湯の温度は少々ぬるいような気がする。とはいえ,時間がまだ早いせいか,風呂は空いている。ユックリと湯船に浸かって,お湯のぬくもりを楽しむ。ただ,私は平素ほん2~3分で風呂から出てしまう。だから,ユックリといっても,10分足らずで,他人から見たら,やっぱり,烏の行水に思えるだろう。
入浴後,談話室に戻る。いつの間にか,団体さんは何処かに消えている。やっと静かになった談話室で,仲間達とコーヒーを楽しむ。
傍らの暖炉では,薪がトロトロと音もなく燃えている。私は,暫くの間,何も考えずに,ただ,ただ,静かに燃える炎を,ジッと見詰め続ける。
<トロトロ燃える暖炉の火> <戸隠小舎の食堂>
■美味しい夕食
17時30分頃から夕食である。食堂に入る。暖房が入っていて,ふんわりと暖かな空気に包まれる。思わずホツとする。宿の人に案内されるまま,適当な席に座る。
直ぐに食事となる。例により,美酒が大好きな女性群は,直ぐに生ビールで盛り上がる。下戸である私は,平素,ほとんどアルコール類は飲まないが,明るい食堂に雰囲気に,気分が高揚してくる。そこで,自動販売機で軽いアルコール飲料を購入して,その半分ほどをコップに注いで,少しずつ,舐めるようにして嗜む。美味しい!
私がアルコールを口にしているのを目ざとく見付けたサンダーさんが,
「あれ,珍しい! flower-hillさんが,飲んでますね・・」
と私を茶化す。でも,私が飲めたのはコップに注いだほんの少々。残りは同行の男性に押しつけてしまう。
戸隠小舎の料理は,実に素晴らしい。以下の写真のように,大変,手の込んだ美味しいコース料理が,次々と食卓に並ぶ。もう,大満足。どれも,これも,とても美味しいが,特にサラダのドレッシングは,もう最高!
<戸隠小舎の夕食>
※この写真の他に,ご飯,味噌汁が付く。
使われている皿類は,素晴らしい陶器である。お皿の美しさが料理の味と美味しさを引き立てている。目で楽しむ料理は日本食だけかと思っていたが,戸隠小舎の夕食は,「和」と「洋」が渾然一体となっていて,和洋折衷の楽しさを醸し出している。私は,料理のことは何も分からないが,運ばれてくる料理の奥底に,料理人の繊細な心遣いと意気込みが,感じ取れる。私には,この「感じ」が,とても貴重なもののように思える。
■所在なく・・・
夕食後,ガイドから明日の行程と留意点について簡単な説明を受ける。明日は午前4時出発だという。何時ものように,大変早い出発である。
部屋に戻る。食堂から部屋へ戻る途中の壁や廊下には,あっさりとした色調の水彩画が沢山飾ってある。多少,絵に興味を持つ私は,こうした絵を見歩くのが,楽しくて仕方がない。絵を見ながら,もし,自分が同じ場所を描くなら,どんな構図にするだろうか,どんなタッチでデッサンするだろうか,どんな色調で彩色するだろうかと想像する。これがまた格別に楽しい。
絵を見ている内に,私も急に絵を描きたくなるが,残念ながら,今回はスケッチブックを持参していない。
まだ寝てしまうには早すぎる。暫くの間,談話室でユックリとした時間を過ごしたいと思う。しかし,談話室は,またもや,あの団体客で占有されている。部外者の私が図々しく入り込める雰囲気ではない。
仕方なく,自室へ戻る。明日の早朝出発に備えて,まずは荷物の整理をする。小舎に預けていく荷物と,登山に携行する荷物とを仕分ける。もともと,私は,ほんの少ししか荷物を持参していないので,小舎に預ける荷物は,着替えの下着一式程度しかないが,明日楽をしたいので,置いていけるものは,ちり紙1枚でもリュックから出して,極力,荷物の軽減に留意する。
荷物の仕分けが終わったら,全く所在がない。部屋のテレビに「戸隠ケーブルビジョン」とやらの映像が写るけれども,どのチャンネルも,何となく馴染めないので,早々にテレビは諦める。
19時頃,押入から布団を勝手に持ち出して敷く。そのまま布団の上に寝転がって,暫くの間ボンヤリと過ごす。
■また歯痛に悩まされる
19時30分頃,「明日早いから寝ましょう・・」ということになる。
天井の電気を消す。真っ暗な中で仰向けに寝ころぶ・・・が,寝ころんだ途端に,今まで余り感じていなかった右上奥歯の痛みが気になり始める。跳びあがるほどに痛さではないが,ジワー~ッとした痛みが頭に響いて来る。この痛みが気になって,全く寝付けない。
仕方なく私は,暗闇の中で,傍らのリュックをたぐり寄せる。音を立てないように気を遣いながら,そ~っ・・と,中から,キャメルバックの中の吸い口を引っ張り出す。そして,キャメルバックの中から冷たい水を吸い出して口に含む。そして,顔を横にしたまま,寝転んで,この水が患部に当たるようにする。すると歯痛がかなり軽減される。しかし,ものの2~3分も経たない内に,水が暖まって,また歯が痛くなる。そこで,口に含んだ水を飲み込んで,また新しい冷たい水を口に含む・・・こんなことを,暫くの間,繰り返す。
その内に,歯痛と眠気のイタチごっこが始まる。私はいつの間にか,口に水を含んだまま仰向けの姿勢になって寝込んでしまう。すると,水が気管支の方へ流れ,思わず大きく咳き込んで目を覚ます。同室の方に迷惑を掛けたくないのだが,
「ゴホン,ゴホン・・・」
と咳が止まらなくなる。私は慌てて部屋の外へ出て,1階のトイレに急ぐ。何回も咳をして,やっと治まった頃,今度はトイレに行きたくなる。トイレを住ませてから,洗面台でうがいをしてから,改めて多めの水を直接口に含み患部を冷やす。洗面台の前で,こんなことを数回繰り返すが,埒があかない。諦めて自分に部屋に戻って,また横になる。
そんなことを小1時間ほど繰り返している内に,潮が引くように歯痛が和らいでくる。そして,ようやく私も眠り込む。それからどのくらい時間が経ったか分からないが,1階から聞こえてくる騒々しい話し声で,また目が覚めてしまう。でも,心配していた歯痛は殆ど感じなくなっている。
「明日の朝,まだ歯痛が続くようだったら,ガイドに脱退届を出して,早く家に帰ろう」
と腹を据えると気分が楽になる。そして,目を閉じたまま,騒々しい声を何となく聞いている・・・そうこうしている内に,いつの間にか本当に眠ってしまったようである。
こうして,「岩」と「歯痛」の第1日目は終わった。
(つづく)
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