虹色を呈する鉱物
無色透明な水晶などの内部に現れる虹は素敵だ。ここで言う虹とは、結晶内部に生じている隙間で起こる光の屈折や反射、回折、干渉などが要因の色の滲み。もっとも有名なのがオパールの遊色だろう。オパールは、小さな二酸化ケイ素の粒が規則正しく沈殿したもので、その層間に生じた隙間で起こる干渉が要因である。
即ち、干渉が起こる程度の層を持つ鉱物であれば、どのような鉱物でも虹は発生すると考えて良い。また、質の異なる二種類の長石や不純物が層を成して成長したサンストーン、ムーンストーン、ラブラドライトなどは、シラーのような独特の呼称が付された光の滲みを持つ。
虹の発生源である結晶内に生じた隙間には、大きく分けて2種類ある。一つは割れ。二つ目は、結晶と結晶の狭い隙間。また、表面に付着したごく薄い鉄の酸化被膜などにより、結晶内部と同様に皮膜と結晶面の間で干渉が起こり、虹が生じることもある。虹色を呈するシャボン玉が結晶の表面にあると考えれば分かりやすい。
割れによる虹を貴重なものと考えて有り難がるのはどうかと思うが、綺麗であれば良いではないかと、頭の一方では許す気持ちもある。だが、求める際に後成的な欠陥か、天然のものかは理解しておいた方が良いだろう。もちろん割れであっても天然の成長に伴う割れがあり、採集時の衝撃による割れとは異なることから許容される方も多いだろう。
天然の割れとは、高温で結晶した鉱物の温度が下がる際にひずみが生じて割れになったもの、また地震などで結晶内部に潜む劈開部分に生じたものが多い。蛍石や魚眼石、トパズなどは、劈開が強いことから、ちょっとした衝撃で内部にひずみや割れが生じる。
オパール Opal SiO2・nH2O
Mintabie opal field, Mintabie district, North West Province, South Australia, Australia
オパールの遊色は、微細でしかも粒の大きさが揃った球状のシリカが規則正しく並んだ、回折格子と同じ構造状態にあるために起こる。ここに入射した光が回折を起こして虹彩を呈すると同時に、珪酸の層間に空隙があって薄膜状となり、層間で干渉が起きる。この二つの虹彩が重なり合って見えているのである。ブラックオパールと呼ばれる濃密な色合いの虹は素敵ではあるが、このような穏やかな虹彩も魅力的である。
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