(株)藤川建設のブログ

地元の山の木を使った家づくり

この椅子・・いいっすね~

2014年05月15日 | 螺旋階段のある店
店舗改装の現場に合う家具を探しに店主さんと市内の家具屋さん(矢沢木工所)にお邪魔しました。

どちらかというと、テーブルの大きさや雰囲気、価格を割り出したかったのですが、家具屋さんの店内を物色していると、椅子が一番重要なのだと気づきました。

来店するお客さんが一番接する「椅子」・・

この椅子が座り心地が良くなければくつろげない。

家具屋さんの店長さんは、

「椅子は工事費の予算があって、一番最後に余った予算で決めるから、ロクなモノが購入できていない・・」

と、他の店舗での例を話してくれました。

ネットだと、価格表示や写真だけの情報で購入してしまいますが、実際の使い心地は座ってみなければわからない・・・・


矢沢木工の店内


テーブルや椅子が所狭しと並んでいます


無垢の一枚板を使ったテーブル


飛騨高山の職人の作った椅子、テーブルセット


勉強机もある


8万円の椅子は座り心地抜群です。
さすが、8万円!


座り心地の良い椅子は、高い値段です。安いものはそれなりの座り心地でしかない・・

回転数を増やして、どんどんお客が入って出て行く店の場合は、安い椅子でも良いのでしょうが、ゆっくりと寛いでもらいたい店の場合は、それに合ったコンセプトで臨まないとでしょう。

テーブルセットは、矢沢木工さんで調達が可能だという事が確認できたのですが、次なる問題は、カウンター用の背の高い椅子です。

「顔を合わせながら、カウンターでやりとりをしたい・・」

という店主さんの要望を満たす椅子が見当たらない・・

業務用の椅子ならばあるのですが、なかなか良い椅子がない・・


そういった要望に応えるには、特注で作るしかないと、アドバイスを頂きました。

地元で、広葉樹を主体としたオリジナルな家具を作っている人が居るので、そこに注文することがしばしばある・・

とのこと・・

そして、その人が、以前から付き合いのある「茂岱(もたい)さん」だった・・・・

山の木を使おうというグループを10年前に立ち上げて以来、個々に活動をしてご無沙汰をしていたのですが、再び繋がろうとしている。

不思議な縁です。



茂岱さんの工房にて・・・




東京に活動を広げている茂岱さんの工房では、特注の家具の作成中でした。独自のペースで作っているので、大量生産もコストダウンも難しいのですが、お客さんから「こういった家具が欲しい」と言われれば、それに沿った家具を製作してくれます。



作りかけのテーブル


茂岱さんとコーヒーを飲みながら、店舗のコンセプトと椅子の概略を伝えました。

他の雑談の方が多いのが、我々、作り手の悪い癖・・

若い方が「家具」の道に入ってくるのは、だいたい二通りあって・・

技術・・木の加工や組み合わせ・・「職人」に憧れて入って来る人。

デザインから入ってくる人

の二つに分かれ、どちらかと言うと、デザイン系の人が当たりやすいとの事・・ネットで写真を掲載すれば、注文が来る世の中なのは、どの業界でも同じでしょうか・・

ただし、家具・・特に椅子に関しては、(いや、他の家具もそうだとおもうのだが・・)「使い勝手」「使い心地」が重要なのではないか・・それが第3の道だと思います。

どんなに職人芸で凝った造りでも、デザインが良くても、使い心地が悪くては、価値が半減してしまう。


それは、住宅でもそうなのでしょう・・


お互いの共通点のようなものを再確認しながら、椅子の注文をする・・

まずは、プロトタイプ・・「こういうの、どうでしょう?」みたいな所から始めて、改良を加えていくのも面白い。

商品開発は、幾つもモデルを作って、吟味をしますが、それらは全て廃棄されてしまう・・

最期に決定するまで、膨大なモノを作らなければならないのですが、そういった見えない部分にお金がかかります。

「使い心地の良さ」「使い勝手の良さ」を追及するならば尚更でしょう・・


カウンターには、合計6個の椅子が必要ですが、同じデザインではなく、進化の過程が見れるような・・最後に商品で売れるような椅子に仕上げられれば・・そして、それを体感して、気に入ってもらえば、茂岱さんに作ってもらう・・というような広がりがあってもいいのではないでしょうか?


店に来た人が、椅子に座って・・

「この椅子、いいっすね~」

と言わしめたい・・・


椅子から始まる、店舗改装があったっていいじゃないか?



で、

6月に品評会があるので、それに合わせて、試作してみるとのことです。




椅子のイメージ伝達はこれだけです・・・

どんな作品ができるのか、楽しみです。





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