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イギリスボランティア留学&アフリカオーバーランドツアーの後はアメリカ移住。今は日本で子育て中です。

ゴースト・ボーイ

2024-04-07 14:04:56 | 映画とか本とか
12歳で脳感染症から植物状態になり、3年後には意識を取り戻した男性の自伝。
なんか、すごい人ってイメージで読み始めたら、ちょっと違いました。
耐えるしかないので耐え続け、ようやくコミュニケーション手段を得る。
子供時代をすっぽり抜かして、大人として人生をスタートしているも同然で、
とっても怖がりで純粋な様子が伝わってきました。

暑い寒い愛してる、そんな簡単なことを伝えたいという思いは叶い、現実はさらにその先へ。
複雑な人間関係、社会に徐々に入り込んでいくものの、なかなか適応できない。
何かを選択したことはないし、当たり前に健康な人が当たり前に思うことが分からない。
みんながほめてくれるけど、どうしてだろう?と理解できない。
意識だけあった9年間は、周りの人がどう思ってどういう関係にあるか分かったのに、
自分がその中に放り込まれて当事者になるとさっぱり分からない。
とまどいながらも成長していく様子が書かれていました。


 ゴースト・ボーイ | マーティン・ピストリウス, ミーガン・ロイド・デイヴィス, 長澤 あかね


1988年1月(12歳)にのどの痛みを訴えたのが始まり。
数か月後には何も食べなくなり、ついには人の顔も分からなくなる。
16歳くらいで意識が戻り始め、19歳になるころには完全に回復していた。
1994年にネルソン・マンデラが大統領になったことはぼんやりと、
1997年にダイアナ妃がなくなったことははっきり覚えている。

幼いころの記憶は失っていて、意識を取り戻した時点からの記憶しかない。
それでも家族という概念を理解したり、言葉の意味が分かったり。
脳機能の一部は生きていたということかな?

意識を取り戻しても体は動かず、周囲の人には気づいてもらえない。
22歳の頃には肺炎で死にかけ、死により「煉獄から解放」されたいと願う。
介護施設の職員からは虐待され、人生と取り戻した後も悪夢に苦しむ。

2001年7月(25歳)、この人、意識があるかも?と気づいたスタッフの進言により検査を受ける。
ノートパソコンを買ってコミュニケーション手段を得る。
2003年には週に1回、医療センターでボランティアで働き始める。
コンピューター関連に強く、修理しているのに驚き。
すぐに有給職員(週1日)となる。
働き出して4か月でスピーチを行うなど、目覚ましい変化が生じる。

2005年には犬を飼い始める。
コミュニケーションセンターで週3日、学術研究所でコンピューター技師として週2日働く。
この頃、大学の過程を修了する。
2007年にはコミュニケーションセンターをやめ、学術研究所の常勤へ。
大学で学位を取ろうとしたら、まず高校を卒業しろと言われて戸惑う。
別の大学をトップクラスで卒業したばかりなのに、今更高校?とショックを受ける。
特別扱いではなく社会の一員として普通に扱われている感じがした。
コミュニケーション手段を得てたった6年で。
2008年4月(32歳)、結婚して英国へ移住。
現在はすっかり力強くなって、車いすレースの選手になっているようです。

10年間の植物状態から回復し父親に 南ア男性が半生語る - BBCニュース

マーティン・ピストリウスさんは10年以上「閉じ込め症候群」となり、コミュニケーションが一切取れなくなった。

BBCニュース

 


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