ぼくが安東民氏を知ったのは、東京での一人暮らしから田舎に戻ってきた(1981年・昭和56年)頃でした。町の本屋で手にした一冊の本。題名が、『放浪の四次元』(昭和56年6月2日初版発行)とあり、不思議な本でした。実際、本を読んだときの衝撃は大きく、「人間とは何か」「なぜこの世に生きているか」などの問に答えてくれていたのです。
でも、このリタイア生活となるまでの長い間、生活に追われる日々で・・・・。いつか安東民氏について、自分なりに何か書いてみたいなと思っていた願いが、ようやく訪れたようです。
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安氏は韓国人で、その出生は1931年とありましたが、死亡年は情報がなくわかりません。また、ぼくが師と仰ぐ、今は亡き本山博先生(1925年12月15日 ― 2015年9月19日)ですが、安氏が本山博先生と同じ魂を持っていると書かれていたことが思いだされます。安氏いわく、ときに魂はいくつにも分裂して生まれることがあり、霊界に戻ってまた一つになるということもあると言われていました。
ちなみに、安氏は、日本の大陸書房から六冊の本を出していました。『心霊治療』(昭和55年5月5日初版発行)『心霊診断』(昭和55年6月8日初版発行)『除霊』(昭和55年10月6日初版発行)『心霊問答』(昭和55年11月9日初版発行)『放浪の四次元』(昭和56年6月2日初版発行)『心霊界への旅』(昭和57年2月4日初版発行)です。
はじめに、『心霊治療』(昭和55年5月5日初版発行)より。
その序文によると、安氏は、三十代半ばまでは、ほとんど無神論者であったし、作家として個人全集も刊行し、80冊以上にのぼる外国の文学作品も翻訳した。またささやかながら、出版社も自営していたのであった。それが、四十代に入って、精神的にもまた経済的にも大きな試練に遭い、会社は破産して一時は自殺まで考えたということ。
そして、この時、安氏は初めて心霊の世界に対して目を開き、自分がそれまでどんなにおごりたかぶった生活をしていたかを痛いほど思い知らされたのであった。心霊の世界に対して目を開くと、一倍病弱であった安氏が、完全に健康を取りもどしただけでなく、超能力まで得るようになり、その後七年間にわたって、三万名以上の人々に心霊科学に対する全く新しい知識と「アウム振動水」及び「体質改善の理論」の普及とその実践に励むことができたのは、ひとえに私を守ってくださる保護霊様と創造主である大神様のおかげであると。
では、『心霊治療』、<人間と宇宙の神秘>より。
昔の人たちはそれなりに、人間を霊魂と肉体をあわせもった存在であると確信していたのであり、彼らなりの確固たる宇宙観をもっていたのだが、現代人の大部分は、目の前に見える世界だけが存在する世界の全部であるという錯覚の中に生きているのではないかと思う。
古代人達の素朴な宇宙観を見ると、この宇宙は陰陽五行が支配する世界であった。また人間の体も、陰陽の気が調和を保っていると健康なのであり、その均衡が破れると、健康が悪くなると考えたのである。
日本では疾病を普通「病気にかかる」という。病的な気運、即ち有毒ガスが体の中に多くこもっているのが「患っている状態」と表現したのである。また元気旺盛という言葉もある。これは宇宙の健全な本来の気、即ち宇宙のエネルギーが充満しているという意味じゃないかと、私は考えている。
われわれの肉体とはマイナス電気、静電気を帯びた炭素型生命体であり、精神体(霊魂)は、電磁波エネルギー生命体として、プラス電気を帯びたガスよう形態(電磁波エネルギー生命体)の生命体であり、肉体の神経組織に電流を流す経路を握っており、この経絡を通じて、体の中のあらゆる神経回路、動物電気を供給しており、夜には同じ経絡を通じて肉体と精神体の活動より発生せる種々の有毒ガスを体の外に排出しているというのが、私の主張して止まないおおかたの説であるのだ。
肉体は食べ物という栄養分を摂るけれども結局、終局的に摂取するのは食べ物という物質に含まれているエネルギー(カロリー)を吸収し、その結果できる食べ物のカスは、大小便として、また、汗、その他の分泌物として体の外に排出しているのである。
吸収したカロリーは、一部は種々な物質として還元させ(その役割は主として肝臓でしている)、一部は純粋なる電気エネルギーに変え、脊髄の端部分に貯えてエネルギー生命体である霊魂が必要としているエネルギーの供給をしている。
純粋なるエネルギー生命体である魂は、肉体を通じてエネルギーの供給を受けており、エネルギー生命体の活動によって生じる各種の廃棄ガスは、十四経絡を通じて体の外に出しているのである。夜、休息をとっている時、体の中にたまった種々のガスは自然に体の外に向かって排出されているのであり、グッスリねむったあと、心身がさわやかになるのもこのためであるのだ。
私の理論では、人体の中にあるといわれる十四経絡は、昼には神経系統に動物電気を流してくれる回路であるけれども、夜になるとその一部は、体内にたくわえられた有毒ガスを体外に出す回路として使用されている。
いっぽう、魂という純粋なるエネルギー生命体は、肉体という衣をまとっていない状態では、私達が住んでいるこの物質世界では全然、無力なる存在なのである。肉体を通じて生命エネルギーの供給を受けており、また肉体を通して、この物質宇宙がもっている種々の法則を学んでいるのである。
これは、私達が宇宙服を身に着けずに空気のない月世界で、一時たりとも生存することができないのと全く同じことなのである。
・続きは次回に・・・・。