『快楽の園』
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先日、本屋で一冊の本『謎解き ヒエロニムス・ボス』小池寿子著に出会いました。そのボスの不思議な絵は以前、白黒の挿絵として見たことがあるだけで、その挿絵からは、何が描かれているのかよくわかりませんでした。それが今回、カラー印刷で掲載されていましたので、ボスの世界について何か書いてみようと・・・・。
ルネッサンス初期のネーデルランドの画家(1450年頃 - 1516年)ヒエロニムス・ボスですが、驚いたのは、その画風です。たとえば、ボスの代表作『快楽の園』ですが、その奇想天外な表現には圧倒されます。それが、今から500年も前の作品であることに、尚更の驚きでした。ともかく、その画は、500年前に描かれたというより500年後の未来からやって来たといってもおかしくないなと思った私です。
『快楽の園』ですが、『エデンの園・天国』、『地上の楽園・現世』、『地獄』の三つのパネルからなっています。
はじめに、真ん中のパネル『地上の楽園』から、自分なりの紹介です。
その画面には、奇妙な五つの建物がありますが、これなんか、別の星の世界に展開する景色なのではと思ってしまいます。そこには、さまざまな鳥が存在し、馬や馬に似た不思議な生物や空に舞う不思議な魚などが描かれています。そして、その不思議な世界での人間は、幼子が遊園地で楽しく遊んでいるように見えてくる私です。なぜって、人間はみな裸であるのです。
中央の赤いテントのような木に止まる大きな一羽の鳥のくちばしには赤い実があり、その下では、口を開けている人間がいます。
また、中央の丸い建物の輪に乗っている逆立ちの人、その輪にのぼろうとしている人たち・・・・。
それぞれの建物には、それぞれのアトラクションがあるのでしょうか。
そして、眼を左下方に移すと、赤い果実の花でしょうか。果実の中には、ガラスの筒でしょうか。一匹のネズミが、果実のなかから顔を覗かせた人を見ているのでしょう。その果実の上の透明な球体のなかには、幸せそうな男女が描かれています。愛し合う恋人でしょうか。
でもよく見ると、その右側には、貝に挟まれた二人の姿と二つの真珠玉?が伺えます。その上には、大きなぶどうの実を運ぶ人たちの姿があります。
また、別の画面では、イチゴを囲んだり、タマゴのなかに入ったり、お尻に刺された花があったり・・・・。
・次回に続きます・・・・。