不思議活性

廃墟(アサマモーターロッジ)と私  7



   7

 振り返って見ると、みんな幻なのかも知れません。そう思えば、つまずいたこと、しりきれとんぼのような別れ・・・・、それはそれなんだと。時をかける少女のように、青春の夢に再び出会うことがあるのだろうか・・・・。

 ふと、ひとりのきみが書いた詩の紹介です。

 『空』

空は何時もそこにある
姿を変えながら
空は永遠にそこにある

たとえば
この空に浮かぶあの雲に乗れば
いつか君の所にたどりつけるの?

夜空にぼんやり浮かぶあの雲に乗れば
あの願い星に手が届くの?

空は
そんな沢山の思いを一瞬駆け巡らせる魔法をかける

遥か遠く高い所にある空は
何時もそこにある

みんなの思いと共に姿を変えながらそこにある

 再び、電子書籍・詩集『夢の翼』より。

 『木漏れ日と透明人間』

誰もいない
木漏れ日のなか
ひとつの人影が
足もとのどんぐりを
浮かびあがらせます

ふと 目にとまったのは
あかげら
悠然と どんぐりの幹を
餌を 啄ばみながら
上へ上へと

すると
チィ チィ チィー
サッと 風を切る音が

見あげると 今度は
紅葉した雑木林の
葉から葉影へと
青い痩せた小鳥たちが
飛び交っています

誰もいない やわらかな
木漏れ日のなか
雑木林は 風に揺れ
ぼくは
透明人間になりました

『廃墟と私』。想い出はまだまだありますが、ひとまず終わりにしたいと思います。いつか、再び透明人間となって、時空を自由に旅できたらな・・・・・。

       * * * * * * *

・終わりに、電子書籍・写真詩集『廃墟と恋人たち』の紹介です。

 『廃墟と恋人たち』
 
かさこそと 音をたてて 忍び込むのは誰だ
すっかり裸となった ぶな林が 風に揺れている

廃墟では 時々 プロモーションビデオ撮影が 行なわれ
若者たちの 楽しい音楽が 風にのって 流れていった

音楽とともに 映像を逆戻ししてみよう

遠く 遠く あの光まで届いてほしい
ひとりぼっちが切ない夜 星をさがしている
あした きみがいなきゃ困る あの光まで届いてほしい

もう 昔のように 不安になったりしない
だまって おれについてこいなんて
きみがいれば 木枯らしに勝てるさ ふたりで ずっと

おれは おれでありたかった 哀愁ただようあの町 
町の色は 透明だった オレンジ色の 田舎の景色
おれは おれであり続けるのか そして 夢を・・・・

廃墟であるおれは それらが 風のたよりに
スターゲイザー 冬の口笛 哀愁交差点 であることを
知った 朽ちかけた 廃墟の番人であった おれ
おれは おれであった 通り過ぎた 青春

おれは 朽ちかけた廃墟が なぜか好きだった
おれは赤煉瓦が ところどころ剥げ落ちた
その廃墟が いまでは
すっかり 裸になったからまつ林と 
まぶしい青空と光の風が

おや かさこそと 音をたてて 
忍び込む 恋人たちの影が


 最後までお付き合いありがとうございました。これは48歳から十年間の 拙い自分史というところでしょうか。


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