まことに小さな国が,開化期をむかえようとしている。
その列島の中の1つの島が四国であり,四国は讃岐,阿波,土佐,伊予にわかれている。伊予の首邑は松山。
城は,松山城という。城下の人口は士族をふくめて三万。その市街の中央に釜を伏せたような丘があり,丘は赤松でおおわれ,゜その赤松の樹間(このま)がくれに高さ十丈の石垣が天にのび,さらに瀬戸内の天を背景に三層の天守閣がすわっている。古来,この城は四国最大の城とされたが,あたりの風景が優美なために,石垣も櫓も,そのように厳つくはみえない・・・。
(司馬遼太郎著「坂の上の雲」第1巻~春や昔,文春文庫刊)
文庫本にして全8巻という大作を,一気に読んだのは20年前のことでしたが,TV化されたのを機に3巻まで再読しましたが,その後は続いていません。
前半は,明治期の若者の青春を描き,後半は,世界情勢の変化と日露開戦,そして刻々と迫るバルチック艦隊と,決戦となった日本海海戦を鮮やかに描破しています。
またしても巡ってきたこの日に,今まではお気に入りの楽曲を紹介してきました。
05年 バレエ「アパラチアの春」(コープランド)
07年 嬉遊曲(イベール)
08年 ジークフリードの牧歌(ワーグナー)
10年 交響曲第1番ホ短調(シベリウス)
11年 小組曲(ドビュッシー~ビュッセル編)
12年 ピアノ四重奏曲第1番ト短調(ブラームス~シェーンベルク編)
13年 歌劇「ローエングリン」~第3幕への序奏(ワーグナー)
・・・といった感じですが,今回は趣向を変えて,上記「坂の上の雲」のサウンドトラックからの1曲を貼ることにします。
作曲は久石譲。
一連のジブリのアニメや,大林宣彦監督による「尾道三部作」等での劇伴は,見事の一語に尽きる大ヴェテランを起用したことでも,NHKが本作に賭けた並々ならぬ心意気を感じることが出来ます。
「坂の上の雲」のサウンドトラックCDは三種類有るようですが(3つ目は,総集版に近い),当曲は2枚目のトラック2でした・・・。
明治という開化期に,若者が希望を胸に懸命に生きていく様を描いたような・・・とでも言えばよいのでしょうか・・・。
否,楽曲から受ける印象は,それぞれ違うでしょうから,自分だけの印象を持てば宜しいのでしょう・・・。
・・・ということで,今年は珍しく自虐・自嘲的な楽曲ではなく,明朗で希望に満ちたものを選びました。
ま,そのへんからして私らしくないのかもしれませんが・・・。
「坂の上の雲」~少年の国(久石譲)
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